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第3章 恋愛も事件も全部俺がスパイする
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134 神月桜は落としたい

 少し噂について話こんでしまったが、せっかく遊び来たんだしこの辺にしとこうかとなって、レストランからでて噂の件の話は止めた。

 ちなみにご飯代は割り勘となった。


「楓くん。映画…いいかな?」


 映画か。なんだか俺は映画と縁があることが多いかもしれない。


「ああ。いいぞ」


 映画は嫌いじゃないし、なんならどちらかというと好きな方だろう。

 内容は関係なく、映画の雰囲気とかが落ち着く。


「私見たいの三つあってね。どれがいいかな?」


 そうしてスマホの画面を三個俺に見せてくる。

 恋愛系、ホラー系、コメディ系と綺麗に分かれている。

 コメディはあんまり好まないというかしょうもないと思ってしまうことが多いため、恋愛かホラーがいい。


「コメディ以外で。」


「恋愛かホラーねえ。どっちにしようか。」


「ちなみに、どういう系の恋愛なんだ。」


 甘酸っぱい系とか、複雑系とか、細かく言ってしまえば記憶失う系とか恋愛ジャンルは豊富に存在する。キラキラしたやつとかはあまり好まない。正直一番好きなのは、バッドエンドとまではいかないが、儚い系が一番好きだ。ヒロインとはもう会えない、とかそういう系だ。


「広告見た感じ、キラキラはしてないかな。どっちかというと複雑っぽいかな。」


「よしそれにしよう。」


「え。ああ。うん。」


 関係性が複雑なちょっとドロドロしている奴も結構好きだ。


 そうして、その映画を神月とみて、午後を過ごした。

 映画の感想としては、まあ中々に面白かった。最初はちょっとつまらなく感じるところもあったが、最後に一気に進んでいく所は中々に見物だった。


 映画も終われば、もう夕方になっていた。

 少し人気が少ないベンチに腰を掛けて休憩をする。


「今日はありがとうね。楓くん。」


「ああ。こちらこそ楽しませてもらった。」


「ほんと?それならよかった。」


「ああ。神月とは結構調査のことで会うことが多いからな。」


「まあ、そうだね。ま、また今度どっか行こうよ。」


「ああ。そうだな。」


 ベンチに隣合って座っている神月。

 視線はお互い前を見たり、下を見たり、景色を見て、時にコモがかかった夕日なんかを見る。


 神月がこちらに視線を向けてくるのを感じた。

 そして神月は俺の肩に頭を寄せる。


「楓くん。覚えてる?」


「何がだ?」


「去年のクリスマスのこと。」


 去年神月とイルミネーションに行ったことのことだろうか。


「イルミネーションに行ったことか?」


「そうだけど。違う。」


 何を言っているのか理解できない俺は言葉が詰まってしまう。


「私が告白したことだよ。」


 さらに反応に困る俺。


「そしてさ。言ったよね私。返事はいらないみたいな。」


「ああ。」


「その時さ、楓くんに好きになってもらうように頑張るって言ったんだ。でもさ、頑張れなかったんだ。」


「……」


「私がさ、頑張るなんて言ったのにさ。あれからあまりアピールというか、なんかそんな感じのことしなかったの。」


 よく考えてみれば、そう言われたのに、それから神月とは基本的に調査のことでしかかかわってない気がする。

 俺はもちろんあの時のことを覚えているが、神月を前にするとそんなことわすれてしまう。


「なんかさ、あれから考えちゃったんだ~恋愛対象に入ってないんじゃないかなとか、あの子には勝てないなとか。」


「だからさ、私、一回諦めたんだ。楓くんのこと。そう、だから、私は返事いらないって言って、逃げて、返事待ってるからとか言って、一人で勝手に諦めちゃったの。」


 俺はもうその話を聞くことしかできなかった。

 まだ神月は俺の肩に寄り添っている。


「最初はね、こうやって友達として、相棒としてかかわっているだけで幸せだっし、いいやって思えてた。でもね、やっぱ違うんだって思ったの。」


「楓くんを見るとねやっぱ好きなんだなって。」


「私今日ずっと言おうと思ってたの。私、まだ、楓くんのこと好きだからね?って。」


 そうして、神月は俺の肩から離れると思いきや、神月は俺に抱きついてくるようにして。神月の頭は俺の胸のところへ。


「だからさ……」


 数秒後、神月は顔を上にあげて、俺の目を見る。

 少し涙ぐんでいるように感じるのは気のせいだろうか。


「だからさ……」





「もうちょっと私のこと…見てよ……」




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