第十三話 脱出
霜月と歩き出してからかなり時間が経った。
思っていたより霜月は体力があるようだ。
順調だけど、俺の中で問題が発生する。
思っていたよりも体力を取られ、水がなくなってしまう。
猿田に
「見通しが悪いな」
なんて言っておきながら、何をしているのだろうか。自分に同じ言葉をかけたい。森を抜ければきっと買えるだろうが、かなりキツイ
「楓くん?大丈夫ですか?」
「あ、ああ大丈夫だ」
「顔色悪いですよ」
「本当か?」
「ホントです。」
確かに少し頭がクラクラしてきた。
「止まってください楓くん」
少しよろけそうになっていると、霜月に止められる。
「大丈夫だ、霜月。早く森を出よう」
「水、なくなってるじゃないですか。これ飲んでください」
霜月は俺に水を渡す。新品ではない。
「あ、ごめんなさい。」
飲みかけということを気にして霜月は謝る。
「いや、そう言うわけじゃ」
ん、なんて言うのが正解なんだ?
「私は構わないので、飲んでください。」
霜月からの水をありがたく飲んだ。
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水無月蒼空は緑岡林太郎を見失う事なく追いかけていた。
「おい!緑岡!一旦落ち着け!」
俺(水無月蒼空)は緑岡に追いつこうと走る。だが、やはり緑岡の足は早い。
しばらくして、緑岡はやっと足を止めた。
「すまん水無月。楓と霜月さんは」
「見失ったよ。心配なのは分かるが、走ったからってすぐ見つかる訳では無い。」
「ちょうど電波がここ通らないんだ。せめて、電波が通れば」
緑岡の言う通り俺のスマホも電波が通らない。
楓との合流も厳しそうだ。楓たちとは森を抜けて合流すれば何とかなりそうだが、如月はどうだろうか。
「どこかの班と合流できてたらいいけど、、、」
「ブー」
すると、俺のスマホの通知が鳴る。
「電波繋がったぞ」
楓からメッセージが来ている。
「俺と霜月は大丈夫だ。このまま森を抜けようと思う。先で待ってる。又は待っててくれ。如月も見つかったら教えてくれ」
「緑岡。楓たちは大丈夫そうだ。」
頷く緑岡は如月に電話かけているが出ない。
すると電話の音が耳に入る
「あれ、電話の音してないか?」
もしかしたら如月かもしれない。
音を頼りに捜索する。
「鈴花!」
緑岡が走っていく先に、如月が倒れているのが見える。それを俺も追いかける。
「林太郎?来てくれたの、、みんなは無事?」
「来るに決まってるだろう。どうしてそうなったんだ」
そうして緑岡は鈴花を起こそうとする。
ここで俺は重大なことに気づく
「やべ、救急バッグ、楓がもってるわ。」
「マジかよ。鈴花とりあず俺の水飲め」
緑岡は如月に水飲ませる。
俺はタオルを差し出し、緑岡は鈴花についている葉っぱや泥を取る。
「ないものはしょうがない。鈴花は俺が抱えていく。道はお前に任せる」
そうして緑岡が如月を背負い、俺たちはなんとか森を抜けた。
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「何とか抜けれましたね」
俺は霜月と何とか森を抜け出した。
「ここで水無月たちを待とう」
木々に囲まれたベンチを見つける。
しばらく動いていてアドレナリンが出たのか、疲労骨折をしているのを忘れていた。。
色々あったため、痛みを忘れていたのだろうか、今になって痛みが一気に来る。
俺はベンチに倒れこむように座る。霜月には心配させたくないため平然を取り繕う。
俺も霜月も喋る元気はなく、無言で水無月たちを待った。
「楓!」
水無月の姿が見える。後ろには如月を背負った緑岡の姿もある。
みんなと合流できて安心した俺は、如月のために救急バッグを取り出し、緑岡に渡した。
そして、緑岡は如月の傷などを治療した。
如月もだいぶ元気になった。
「ごめん。なにがあったか教えてくれるか」
緑岡はそう言う。
「私が勝手に転倒しただけだから、そのあと迷って、坂でまたころんじゃったの」
疲れもたまっているだろうから足に力が入らなかったのだろう。
「私はもう大丈夫だから先を急ごう。遅れをとっちゃう。」
「大丈夫なのか鈴花。」
「そうだ。俺らのことは気にしなくていいぞ」
緑岡と水無月はそう言うが、それでも如月は大丈夫というので、俺たちは出発することにした。
「あ、コンビニ!」
ついに俺たちはコンビニに遭遇した。
みんな水を買い新鮮な水に感動する。
「よしラストスパートだ」
水無月の言う通りチェックポイントはもうないため、後はゴールを目指すだけだ。
他のグループが全然見えないが、俺たちは今何位くらいなのだろう。
俺たちは一言も喋らずゴールへ向かった。
ゴールへ着くと、すでにゴールしているチームは2チームしかいなかった。
意外にも早くゴールできたようだ。
「え?三位まじ?」
水無月は大興奮だ。
すでにゴールしているのは最初のほうに会った、Cクラスの神月のグループと猿田と柊たちのグループだ。
続いて、綾華たちのグループがゴールした。
「うわ!楓に負けた!くそおおお」
本木はまだまだ元気なようだ。
30分ほどして、全グループがゴールした。
「結果発表!!」
Aクラスの担任が声を上げる。
「三位 Bクラス 水無月チーム 5時間46分」
「二位 Bクラス 柊チーム 5時間25分」
「一位 Cクラス 神月チーム 4時間42分」
一位が大差をつけており、場がざわつく。
その一位は神月のグループ。
二位は猿田と柊のグループだ。
前話したときから思っていたが、神月はなんとなく天才肌な感じがする。
「総合順位がまだあるぞ~沈まれ~」
Aクラス担任が言う。
「クラスごとにゴールタイムを平均して順位をだした。
一位 Bクラス 平均6時間4分
二位 Aクラス 平均6時間7分
三位 Cクラス 平均6時間32分
四位 Dクラス 平均7時間2分
一位のBクラスだけ景品が後ほど送られるぞ~
じゃあ各グループ旅館に行く準備しろ~」
そういって、ウォークラリーは幕を閉じた。
バスの中で俺は目をつぶりながら、バスケ部のことを考える。
林間学校では考えないようにしようと思ったのだが、どうしても考えてしまう。
俺は、何人かにメールを送った。
「夕食のあとの自由時間になったら売店前にきてくれ」
ホテルに到着し、各部屋に向かい、みんな大浴場に向かう。疲れた後のお風呂は非常に気持ちよく、腰の痛みもなくなったような気がした。
風呂が終わるとお待ちかねの夕食タイムだ。
席は「グループのメンバーで座るように」と言われている。
右に霜月、左に水無月が座り、目の前に如月と緑岡が並んで座っている。
テーブルにはすき焼きが並べられる。
かなりおいしそうだ。
食事が始まると、緑岡と如月は二人だけの世界にはいっているため、俺は霜月と水無月の三人で話した。
霜月と水無月もかなり仲良くなっているようで、楽しそうにしている。
すき焼きは非常にうまく、すぐ食べ終えてしまった。
三人で明日の自由行動について話していると、解散さんの時間になる。
ごちそうさまをすると、皆自分の部屋に向かう。俺も霜月に
「また明日ね」
と言い、水無月と部屋に向かった。
水無月たちの部屋は俺の部屋の隣にあるようだ。
俺は部屋で少し荷物をまとめて、部屋をでて、約束の場所に向かう。
誘ったのは俺なので早めに行っておこうと思ったが、意外にもみんな早くついていた。
「おそいよ」
そういわれるが、俺は気にせず話始める。
「集まってくれてありがとう。綾華に徳永、それに新田。」
今から、バスケ部の真剣な話をする。
その場にいる者にはそう感じただろう。
そして、なぜ綾華がいるのかと、疑問に思っただろう。
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