128 文化祭二日目
「で、どうするんだ?」
「そんなの簡単や。うちらに仕事任せていってらっしゃいすれば終わりや。」
「まあ、そうだけど、、楓とか断りそうじゃないか?」
「んーあ。そういえばこれ残っとるわ。」
心は財布からチケットを取り出す。
「ああ。それか。」
「そうや。このクレープ半額チケットちょうど2枚あるわ。ええなあ。これあげたろ。もったいないから、食べて〜て言うてな。」
「悪くないな。まあ、任せるわ心。」
「任せときい!」
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文化祭二日目は早くも昼となった。
昼休憩と言いたいところだが、軽い食事も取り扱っているため、昼の方が人が来る。
更に仕事が増えるのだ。
今は麻雀に来ている人もいないので、俺はカフェの方を手伝う。
いつもの五人プラス水無月と神楽坂の七人で協力して、なんとかピークを乗り越える。
「昨日よりだいぶ人きたねえ。」
新島が嬉しそうに言う。
「そうだなここからはあまり人も来ないだろう。」
文化祭午後の所昼過ぎに食事系に来る人は結構少ない。
「楓。ちょっとこっちこい。」
水無月に呼ばれ、神楽坂も含めた三人で話す。
「最後くらい遊んで来い。一日目俺ら任せっぱなしにしちゃったからな。残りは任せてくれ。」
「ありがたいお言葉だが、今更遊びたいとも思わないな。」
「楓くんんこれ食べてきいや。半額券持ってるんや。」
「クレープか?」
「そうやで。結構美味しかったんやで〜もう一日目に食べたから、うちらはいらんやわ。」
「そうか。でも2枚はいらないぞ。」
「もう〜有栖ちゃん!」
神楽坂は有栖を呼んだ。
「どうしました?」
「有栖ちゃん〜これもったいないから食べてきてくれへんか?仕事はうちらに任せて大丈夫やから。」
「クレープですか?でも、クラスの‥」
「もう、人も少ないしウチらで人では足りるから大丈夫や。ほら、楓くん。有栖ちゃんに一枚渡してや。」
「ああ。」
俺は言われた通りに有栖クレープ半額券を渡した。
「あ、ありがとうございます。」
「よし。じゃあ、楽しんできてな〜」
神楽坂が手を振って見送る。
「せっかくだし、行きましょ、楓くん。」
そういえば、もう最後の文化祭だろうか。
来年は、もうない。
「そうだな。」
最後くらい、楽しまないとな。
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楓と有栖が去った後、緑岡と新島が話す。
すぐ近くに神月も。
「新島、楓はどこに。」
「ああ。霜月さんと遊び行ったらしいよ。なんか神楽坂さんが言ってた。緑岡くんも遊びに行ってもいいよ?」
「そうか。だからこいつ、、、」
緑岡の視線の先には少し不機嫌そうな神月の姿。
「うるさいわね。別に嫉妬じゃないから。」
「あ、、、そうだったね、、まあ、楓くんの気持ちがどうかはまだ分からないしね。ね、緑岡くん。楓くんは誰が好きなんだろうね〜」
「知らない。」
新島が頑張ってフォローしようとするのをことごとくぶち壊す緑岡。
「だが、個人的に願望を言わせてもらうならば、神月だな。私情はないぞ。」
「それはどうして?」
「別に理由はないぞ。そっちの方がなんだか雰囲気的にも展開的にも俺好みだ。」
「展開的?」
「もういいって、、、別に私のことは。」
「う、うん、、ごめんね。」
「別に、私先に少し遊んだし、、、」
だらけた体制で窓の外を見る神月は緑岡と新島の耳には届かないような声でそう言った。