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第3章 恋愛も事件も全部俺がスパイする
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127 神楽坂心の計画

「すまん。遅れた。」


 文化祭の手伝いのため、教室に戻る。

 一日目よりも、人がなんだか来ている気がする。

 谷田部などが、手伝ってくれてる訳でもなく、昨日と同じように有栖、緑岡、神月、新島だけだ。


 てか、やっぱ緑岡がやってるのはよく分からんし、面白いな。


「よく働いてるな。緑岡」


「黙れ楓。俺だってやりたくてやってる訳じゃない。なんなら今日は遊んでやってもいいんだが、神月がうるさいんだ。」


「神月?」


「うん。私が働かせてる。」


「この通りだ。神月がうるさい。めんどくさい。だからやってる。」


「そうか…」


 緑岡も去年とかなり変わったな…


 そんな雑談を軽くして、仕事に励む。


 今日は忙しそうだ。

 麻雀も昨日ほどはできなそうだ。


「楓くん。」


「どうした?」


 仕事中神月に話しかけられる。


「あれ、どう思う?」


「あれ?」


 神月の目線の先には緑岡と新島。


「あの二人かどうしたんだ?」


「なんかいい感じじゃない?」


「あー」


 いや、分かる。

 とてもよく分かる。


 なんかよく言えないけど、分かる。


「でもな…緑岡が、恋愛はもう…なんかな。」


「まあそうね。別に応援してる訳では無い。」


 緑岡の恋愛となると如月との件を思い出してダメだ。

 たぶん、緑岡に恋愛は向いてない。


 あれ?でも、新島なら緑岡に釣り合ってるというか、新島って優秀だよな?


 もし緑岡が新島に気があって、それで手伝ってるとかだったらかなり面白いが、あまり考えたくはない。


 そう、緑岡は恋愛なんかしない方がいい。


「ねえ、楓くん。ちょっと抜け出して遊び行こうよ。」


「遊びたい気持ちはあるが、今はきついだろ。」


「もーちょっとだよ。バレない程度にさ。」


「バレるだろ。どう考えても。」


「じゃあ私はトイレって言うからさ。隣のお化け屋敷にでもササッと寄ろうよ。」


「大丈夫か?」


「よし、、決まり。緑岡!ちょっと来て!」


 いい感じとか言ってた癖にそれをぶち壊す神月。

 そして俺の意見は聞かない神月。


「なんだ?」


「トイレ行ってくるから会計してて!」


「はあ。」


 神月が出ていってから、俺もこっそりその場を離れる。


「楓。お前はどこに。」


「自販機」


「飲み物ならここにいくらでもある。」


「ちょっと後輩と遊んでくる。バスケ部の。」


「早く帰ってこいよ。」


「ああ。分かってる。クレープでも食ってあげるだけだ。」


 適当に嘘を吐いた。


 ーーーーーー


「って、めちゃ並んでるじゃないか。」


 お化け屋敷は大行列だった。


「へへへ。」


 奇妙な笑い声を上げながら神月はチケットを見せてくる。


「優待券?」


「そうよ。コネで手に入れたの。」


「そうか。なるほどな。その、コネとやらの言い方はやめてくれ。友達がいるだけだろ」


「それがコネっていうんでしょ。」


「いいから〜行くよ!」


 神月とお化け屋敷に挑むのだった。


 ーーーーーーー


「なんだよ。申し訳ないが全然怖くなかったな。」


 特に見所はなかったためお化け屋敷中のシーンはカットだ。


「ホントね〜私も楓くんも一言も発さず終わっちゃったんだじゃない?」


 まあ文化祭のお化け屋敷となればこの程度だろう。


「お前はうるかったぞ。」


「えー」


「演技ってのは分かってるからな。」


「私が場をよくしてあげたんでしょ!」


「そんなの分かってる。楽しかった。ありがとう神月。」


「え、うん。」


「そろそろ教室に戻ろう。」


 ーーーーーー


 教室に戻ると教室には新しく二人、手伝ってくれる者が。


 水無月と神楽坂だった。


「あ、楓。すまん。昨日は手伝えなくて。」


「あ、いや、全然構わない。」


 昨日水無月と神楽坂が別れてたと聞いて、色々あって水無月は神楽坂の所へ向かったのだが、その後のことは知らなかった。

 この感じだとちゃんと仲直りしたとみていいのだろう。


「楓。ありがとな。」


「あ、ああ。俺は特に何もしてない。」


 水無月は例の神楽坂の件について、俺が後押しした事を恐らく言っていると解釈した。

 まあそれ以外ないだろう。


 当たり前だが、隣で聞いている神月は話が分かっていない様子だ。


 俺は水無月に近づき、水無月の耳元で話す。


「一応聞くが、仲直りしたと見ていいよな?」


「ああ。心配かけたな。」


「それは良かった。」


 と、会話を交わすと直ぐに俺は水無月から離れる。


「じゃあ、お互い文化祭がんばろーな!」


「ああ。」


 水無月の言葉に答えて、俺は仕事に戻った。


 ーーーーーー


「なあ。蒼空〜」


 俺は心と共にカフェで注文されたドリンクなどを作り、提供する仕事をしている。


「どうした。」


「さっきの楓くんとの会話。どういうことなんや?」


「ああ、あれか。んーまあ楓が相談に乗ってくれたんだ。」


「あーそういうことか。楓くんにはいつもお世話なっとるなあ。」


「ああ。ホントにな。」


「そういえば、ウチらが話すようになったのも、楓くんきっかけやったなあ。」


「そうだな。何か俺も力になりたいけどなー」


 そう。俺が心に一目惚れして、楓に色々してもらったな。霜月さんも協力してくれた。


「だからな、蒼空~午後楓くん遊ばしてあげよーや。ウチら二人が入れば、抜けた穴はちゃんと埋めれるやろ?」


「まあそれはそうだが……」


「あ、蒼空。勘違いしないといてな?楓くんだけじゃないからな?」


「ん?どういうこと?」


「バカだな〜蒼空。一言で言うとあれや。」


「ほう。」


 心は更に小さな声で周りに聞こえないように言う。


「楓くんと有栖ちゃん文化祭でくっつけちゃおう作戦や。」



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