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第3章 恋愛も事件も全部俺がスパイする
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124 駒

「でさ、うちらが言うのもあれなんだけど、文化祭はどうなんだ?」


そう聞いて来る谷田部。


「まあ、なんとかはなってる。もしいいなら、手伝ってくれるとありがたいが。」


「申し訳ないとは思ってるんだが、クラスの現状も現状だ。文月殿もわかるな?」


殿?八木の言葉使いに困惑する。


「まあ、しょうがないとは思う。正直、誰も信じられないのが現状だろうな。」


「この場に噂を流してる奴がいるかもしんねえって考えると怖いな。」


後ろで北村と綿引が言い合う。

それを聞きながら、俺たちの会話にも注目している渡良瀬。


「なあ、文月。なんでクラスにっていうか、委員長に協力してるんだ?それは霜月さんもだけど。」


谷田部が聞いてくる。

確かに、なんでだろうな。

友達が困っていたから。

でも、新島も別に友達ってわけじゃなかった。


「新島が噂を流してるとは思えなかった。だから協力した。」


実際、新島が噂を流している可能性は低い。

話すようになってからそれは確信に近付いていっている。

新島はシンプルにいいやつだと思う。


「新島さんはいい人ですよ。」


有栖もそう言う。


「谷田部。お前らは噂を流してるやつを見つけようとしているのか?」


「まあ、気にはなる、程度だ。」


「え、谷田部探してるいってたやん!」


後ろから北村が突っ込んでくる。


「お前ら余計なことは言うな。」


八木が注意している。


「ハア。やれやれ。」


「もういいんじゃないか?琥珀。」


八木がそう言う。


「ああ。じゃあ、文月。」


「お前が犯人だったりしないか?だろ?」


「チッお見通しか。っつても可能性が高いんじゃないか?って思ってるだけだ。」


「ああ。分かってる。」


「文月。お前はウチ達を犯人だとは考えないのか?」


「考えないな。」


「へー。目星はついてるのか?」


「ついてない。」


ここは嘘をつく。

わざわざ俺の考えを披露する必要性は少ない。

ここでは谷田部達に信用を得ること、そしてちょっとした情報収集役になって貰えたら完璧だ。


「なんかそれっぽくなくねーか?」


谷田部が八木に問いかける。


「ああ。文月殿はなんか、何もなさそうだ。」


「信じてもらえるなら良かった。」


「ああ。すまなかったな。」


もちろん、心の中で完全に俺への疑いが無くなった訳では無いだろうが、ひとまずOKだろう。


「もし、俺に力になれることがあったら言ってくれ。」


「それは協力してくれるということでいいのか?」


「構わない。」


「じゃあ、文月殿。連絡先だけ教えてくれるか。」


「ああ。」


そうして俺は八木と谷田部だけ連絡先を交換した。


「じゃあ、俺はここら辺で失礼する。行こう有栖。」


ーーーーーー


「すまないな。有栖。」


「何がですか?」


「いや、話が盛り上がってしまった。つまらなかっただろ?」


「いや別に、私はこの手の話好きですよ?」


「そうか。じゃあ、有栖はどう思う?」


「どう思う。とは犯人のことでしょうか。」


「まあそれもだが、なんだろうな。真相というか。」


そう、この噂は複数によって流されてる。

少し複雑なのだ。


「まあ、何人かいるんでしょうね。流してる人が。」


「まあそうだろうな。」


「問題はあれですね。最近他のクラスにも噂が出回ってる件。あれはどうなんですか?」


「Aクラスの噂がそのまま他のクラスに流れてる。他のクラスの噂は特にないっぽい。


「楓くんは今誰が怪しいと思ってるんですか?」


「まあ黄瀬川だろうか。」


「何人かいるんですよね?」


「まあ、個人的には伊達だ。あと、見当はまだついていないが、他のクラスにいる気がする。」


伊達についてはもう確定して本人とも話したのだが。


「なるほど。」


なんだか有栖は意味深な笑みを浮かべた。


「どうした?」


「いや、なるほど。伊達さんですか。面白いですね。」


「有栖。何か知ってるのか?」


「いいえ。別に。」


「そうか。」


「なんだか怪しいぞ。有栖。」


「いえ、私は何もありませんよ。ただ…」


「ただ?」


「いえ、いつか話しますよ。」


それがどういう意味かは分からなかった。


ーーーーーーー


次の日の朝。文化祭2日目だ。


「すまないな。文月。」


「ああ、今日は二人だけか。」


呼び出された場所はカフェ。

もちろん、歌うのが目的ではない。

この場にいるのは、谷田部と八木。

文化祭か始まる前に少し話し合いをすることになった。


「そうだな。真面目な話はウチと八木担当だ。」


「なんというか、Aクラスの現状について考えてくれてる人がこういると、なんだか嬉しいな。」


「まあ、早速話に入ろうか。文月」


「ああ。」





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