123 クラスメイト
「大変でしたね。」
一日を振り返るように言う有栖。
「まあ、半分くらいは麻雀打ってただけだけどな。」
「そ、そうですけど!仕事なんですからそれが!」
仕事だと言い張る有栖。
まあ、実際麻雀カフェなのだからその通りなのだが。
「あ、あれって‥‥」
有栖の視線の先にクラスメイトの姿が。
「確か、北村くん、八木くん、綿引くん、谷田部さん、渡良瀬さん、でしょうか。」
おそらく有栖の言う通り、
北村蓮華
八木寿人
綿引真
谷田部琥珀
渡良瀬紫苑
の五人だろう。
面識があるのは北村だけだが、北村も決して仲がいいとは言えない。
「明日はどうするー?」
そんな会話が聞こえてくる。
「文化祭の話っぽいな。」
「ちょっと気になりますね。」
「どうせ、あいつらもこのまま駅まで歩くだろうし、話は聞こえるんじゃないか?」
「ですね。」
そうして、少しだけ歩くペースを早め、少し耳を傾けることに。
「俺らののクラスって結局どんな感じなん?」
そう言っているのは北村。
「まあ、どうなんだろうね。今日遊んだし明日手伝ってみる?」
谷田部がそう言う。
悪いやつではなさそうだ
「嫌だよ。仕事してる人みんな話したことないし。」
少し小さめの声でそう言うのは渡良瀬。
「誰が仕事してるんだ?委員長以外に。」
綿引がそう質問する。
それに答えるのは八木だった。
「霜月さん。神月さん。緑岡さんに文月さんだな。」
「全員話した事ねえよ。いい子ぶってるだけじゃねえのか?」
悪気なくそう言っているのが綿引だ。
「でも、神月さんも霜月さんもめっちゃ可愛くねえか?」
北村が言う。
「まあ確かに。俺らのクラス可愛い人多いよな。」
共感する八木。
「その二人なら彼氏いてもおかしくないんじゃない?」
谷田部が言う。
「まじ?頼むよー」
北村がそう言う。
「ほんと女好きね北村は。私たちで我慢しろや。」
北村の方を一度も見る事なくそう言う谷田部。
「なんか、いい女って感じですね。」
隣の有栖がボソッと呟く。
「今のクラスの状況じゃ、誰も信用できないからな。明日もあまりお前ら以外とは関わりたくない。」
八木が真面目な話に戻す。
八木はしっかりしてそうでいいやつそうに見える。
「そうだね‥‥私もあまり他の人とは関わりたくないです‥」
ずっと声が小さいのが渡良瀬のようだ。
「おい、八木。」
そう言って、谷田部は八木にだけ言葉を伝える。
もちろん俺と有栖には聞こえない。
「いい機会だと思うぞ。」
「だな。」
そう言って谷田部、八木が後ろを振り返る。
視線の先ははおそらく、俺と有栖。
「文月くんに霜月さん。合ってるよね?」
「ああ。」
「私は琥珀。谷田部琥珀だ。」
「えー霜月さん彼氏いんじゃん!」
後ろで北村が騒ぐ。
「ちょっ黙れ!」
と後ろで綿引が言う。
「ほう、お二人さん付き合っているのか?」
八木がそう言う。
「つ、付き合ってないです!」
有栖が少し顔を赤らめて言う。
「え、彼氏いないの?」
「いないですよ。」
「まじ?きたー」
後ろで北村と綿引が二人でわちゃわちゃしてる。
「あ、あの‥‥」
言葉が詰まる有栖。
「あの?」
北村と綿引は嬉しそうに反応する。
「ぼ、募集は‥‥してません!」