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第3章 恋愛も事件も全部俺がスパイする
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117 協力者

 

「なるほどね~」


 俺は神月と噂のことについて話している。

 よく来るおしゃれなカフェで、お互いに飲み物を手に添える。

 今日は休日だ。どうせ暇だし、神月と作戦会議をすることにした。

 俺は猿田のことを神月に言うか迷った。

 猿田の一件から、少しわかったことがあったので、猿田に許可をもらい、神月だけに伝えた。


「伊達くんねえ。全然話したことないや。クラスでもなんというか、普通だよね。」


「そうだな。」


 俺は、伊達に焦点を当てている。

 伊達は噂に絡みすぎている。


 まずは紅。

 紅の浮気相手とされていた。

 俺は紅と関係がある有栖に頼み、少し話を聞いてきてもらった。

 すると、紅は浮気してなかったことが判明した。

 話を聞いている限り、紅と柊の間ですれ違いが起こってしまっただけで、誰も悪くないように見えるが、少し伊達の立ち回りに違和感を感じた。


 そんな中、猿田の件。

 猿田が妹の窃盗を謝っているところを、伊達の妹である伊達風香に見られた。

 それが偶然なのかはもちろん分からないが、おそらくそこから兄である伊達幸正にもれたのだろう。


 そして、伊達が噂を流した。

 色々な嘘を混ぜながら。


 これが今の段階で一番可能性が高いと考えられる。


「伊達君が噂を流す犯人。または黄瀬川の手下ってことね。」


「その可能性が高いだろうな。」


「でも、こっからどうするの?目星はついても、解決策がなくない?」


「とりあえず、今から来るから待ってろ。」


「さっき言ってた、協力者のこと?」


「ああ。」


 俺はとある協力者をここに呼んだ。

 実は結構前から協力者になってもらっていた。

 なってもらってから全然話してないのだが、今日やっとこの場で色々と聞ける。

 協力者を選ぶにあたって必要だったのは、友達の多さ、人気度だ。


「ごめん。遅れちゃった。」


 協力者はあわただしい様子で姿を現した。

 制服でなく、私服なため、少し違和感だ。


「大丈夫だよ。夜ちゃん。」


 そう。協力者は神無月夜。

 一年の頃から、部活で何かとかかわりがある夜。

 クラスでは友達も多く、男女問わず人気者だ。

 噂の情報源を探るため、俺は夜に声をかけた。

 夜はクラスでも人気だし、友達も多い。

 噂が入ってくることは多いだろう。

 他にも候補がいたが、夜はバスケ部での関わりもあって、助けてくれるだろうと思い、夜に声を掛けた。


 軽く説明して、少し調査していることを伝えると、夜は快く協力してくれた。


「夜、例の件。どうだ?」


「ちょっといきなりすぎない?」


 怒ってるとかそんな様子ではなく、少しカフェを楽しみたいのかなといった様子が見られる。


「何が飲みたいんだ?」


「ミルクティーかな、え、奢ってくれるやつ?」


「ちょっと待ってろ。」


 協力してもらう側だし、1杯くらいいいだろう。

 神月にも奢ったことだしな。


 俺は立ち上がり、速やかにレジへ。

 ミルクティーを注文して、受け取る。


「はいよ」


「ありがとうね。」


 少しして、夜が口を開く。


「じゃ、そろそろかな?」


「もうカフェは満足できたか?」


「おかげさまでね。」


「それは良かった。」


 俺と夜のやりとりを目線を合わせずに聞く神月。

 目線を合わせずというか、スマホをひたすらスクロールしている。

 俺はそれについて特に触れずに、夜との会話に入る。


「で、あれでしょ?噂の情報源が知りたい。で合ってるよね?」


「ああ。分かったのか?」


「正直、確実に誰とは言えないかな。」


「それは承知の上だ。」


 そういうと、夜は静かに続けて言った。


「噂は毎回、男子から始まってる。」


「なるほどね~」


 いつの間にかスマホをしまい、真剣に話を聞いていた神月。


「夜、お前的には、今回の件はたまたまだと思うか?それとも誰かの企みだと思うか?」


 俺は質問を問いかける。


「まあ、後者だと私は思うよ。」


「夜、俺は今のところ伊達幸正が怪しいと思ってる。」


 特に隠す意味もないので、俺は自分の考えを伝える。


「ん~なるほどね~」


 そう言って人差し指を口元に寄せて考える様子の夜。


「私目線、その考えは悪くないと思う。ただ……」


「ただ?」


「一人だけじゃない気がするんだよね~」


「それはどういう意味だ?」


「いや、ただの直感だよ。」


 少し間が空いて、神月は俺に話しかけてくる。


「あのことは言わないの?」


 すこしこそこそ話のような感じで喋る神月だが、絶対夜には聞こえている。


「何のことだ。」


「黄瀬川だよ。」


「黄瀬川くん?」


 俺と神月の話に夜が入り込んでくる。


「黄瀬川かどうかは知らないが、伊達が犯人と仮定するなら、それを操る誰かがいるんじゃないかって考察だ。」


「その線で行くなら、その操られてる側が複数いると思う。」


 夜はそう言う。


「複数か……」


「まだまだ解決は遠そうね…」


 神月が呟く。


「もうそろそろお開きにしよっか。夜ちゃん、ありがとね。」


「うん。また何かあったら教えるね~」


 そう言って夜は去っていった。


「神月。夜の言うことは信じられるか。」


「まあ、夜ちゃんが敵ってことはなさそうじゃない?」


「そうだな。仮に敵だとしても、俺らが調査してることが夜にばれるくらいは問題ない。」


「だね。」


「ああ。」


 数秒沈黙が続く。

 神月が自分のアイスティーを口にし、それをテーブルに置く。

 氷とグラスの綺麗な音が目立つ。


「なあ。噂がどんどん広がってるの気づいているか?」


「まあクラスのみんなが知るくらいにはなったよね。」


「違う。」


「え。」


 目を丸くさせる神月。


「他のクラスにも噂が出回ってる。」


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