表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
  作者:
第3章 恋愛も事件も全部俺がスパイする
114/141

114 調査

「どうしたの?せーんぱいっ」


 俺よりも早く目的地についていた凪。

 よそのものに見られないよう、カラオケボックスに集合することになった。

 俺に続いて、緑岡も合流しする。


「黄瀬川にについて知っていることを教えてくれ。」


 俺は率直に聞いてみることに。


「え?私のこと知りたいの?何でも教えてあげるよ。」


 語尾にハートがつくような喋り方。

 そういえば、こいつも黄瀬川ということを忘れていた。


「清一郎のことだ。」


 そういったのは緑岡。


「なーんだ。清ちゃんのことか。ざーんねん。」


「何かしってるな。凪。」


 緑岡はトーンを変えずそう告げる。


「あのさー何が言いたいのかさっぱりなんだけど、ちゃんと説明してくんない?」


 なぜかずっと俺の方を見つめている凪。


「じゃあ、この前黄瀬川がお前だけに話していることがあったよな?


「この前の生徒会会議の時のやつ?」


 凪はすぐに理解した様子。


「そうだ。その時なんて言ってた。」


「あのさー私口軽いと思われてる?そんな馬鹿みたいに言いふらさないよ?いくら楓先輩でもあしえてあげらんないなあ。」


 やっぱり語尾にハートがつく凪。

 緑岡は黙ったままだ。


「じゃ、それだけなら私、言うことないし、帰るね~」


 そう言って、凪は立ち上がる。

 少し遠回りして、俺の横をわざわざ通り。俺の耳元に顔を近づけてくる。


「一つだけ、教えてあげる。私は清ちゃんの敵じゃないけど、味方でもない。」


 俺はそれを聞きつつも、反応を示さない。


「またね~かえで先輩。」


 最後にウインクを残して、凪はその場を去っていった。


 わざわざ最後にあんな言葉を残すということは、黄瀬川は敵ということを遠回しに伝えてくれたのかもしれない。


 ただ一つ言えることは……


「聞く相手を間違えたようだな。」


 緑岡が俺の思っていることを言ってくれるのだった。


「そういえば楓。テストは明日だが、大丈夫なのか?」


 そういえば明日に迫っていたな。


「まあ、お前に負けない程度には。」


 そう言うと、緑岡は不敵な笑みを浮かべて、その場を去っていくのだった。


 そして、三日ほど、テスト日課が続いた。


 ーーーーー


 五日後……


 一位 神月桜

 二位 霜月有栖

 三位 新島なのか

 四位 文月楓

 五位 緑岡林太郎

 六位 水無月蒼空 

 七位 神楽坂心

 八位 如月鈴花

 九位 猿田紫耀

 十位 黄瀬川清一郎


 テスト順位表を眺める。

 最低でも緑岡に勝ったからいいだろう。

 今回の注目ポイントはなんといっても新島だろう。

 今年から転校してきたようだが、かなり頭がいいようだ。

 そして黄瀬川。

 ランクインしたのは恐らく初めてだろう。

 緑岡に聞いた過去によると、努力をしてここまで上り詰めたんだろう。

 実は努力家なんだな。

 にしても、全員Aクラスか。

 Aクラスは本当にスペックが高い人が多い。

 誰がこのクラスを決めたんだか。


 さて、テストも終わったことで、本格的に学校は文化祭ムードになるだろう。

 文化祭まで以週間ほどだ。

 うちのクラスも雰囲気が悪いわけではない。

 仲のいい者同士では、楽しみにしている様子が見られる。

 クラス全体で見たら、もちろん雰囲気がいいとは言えないが。

 だが、新島の努力と、神月や緑岡、有栖のサポートで、何とかなりそうだ。


 そんな中、今は他に解決しないといけないことがある。

 猿田紫耀のことだ。

 あいつはテストが終わってから学校を休んでいる。

 シンプルに体調不良の可能性もあるが、三日も連続で休んでいるので、心配だ。

 なんといっても、猿田は窃盗をしたという噂によってクラスでは少し浮いていた。


 俺は、一人で猿田の家に向かった。

 一度昔言ったことがある。

 その時の記憶を頼りに、なんとか猿田の家にたどり着く。


 ピンポーン


 チャイムを鳴らし、反応を待つ。

 反応はなかった。


 ピンポーン


 二回。


 ピンポーン


 三回目で、やっと足音が聞こえた。


「楓?」


 インターホン越しに聞こえてくるのは猿田の声。


「ああ。俺だ。」


「見舞いにでも来てくれたのか?」


「大丈夫なのか?」


「ああ。体調はいいぜ。」


「違う。」


「はあ。やっぱり。窃盗のことか?お前なら来る鴨とは思ったけどな。」


「ああ。やっぱり、それのせいで休んだのか?」


「まあ、とりあえず上がってくれよ。お茶くらい出すよ。」


「じゃあ。お邪魔します。」


 俺は猿田の家に足を運ぶのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ