第十一話 イベント
柊が告白するのを目撃してしまってから一日が経った。
紅が断ったことも朝日先輩から言われた人物も未だに信じられない。
柊のことは知らないフリをしておこう。
狸についてだが、とりあえず、吹雪先輩と綾華たちに言っておこう。
狸は何をしたのだろうか。
でも狸は朝日先輩と夜が付き合っているのを知らない様子だったし、俺と一緒に捜索していたはずだ。まさか演技だったというのか。でも俺にはそうは思えなかった。
もしかしたら狸は自分が何をしているのか気づいてないのだろうか。
考えるほど何も分からなくなっていく。
せっかく、朝日先輩に教えて貰ったのだが、しばらく休憩しないと頭がおかしくなりそうだ。
とりあえず、今日も学校に行かなきゃな。
「おはよう。楓くん」
「おはよう」
霜月の席で紅と話をしているようだが、横を見て挨拶をしてくる。
霜月は紅と少し話すようになっているようだ。友達もこれから増えそうで良かった。紅の声が大きくて、少し話が聞こえた。
「仲良くなりすぎて、付き合うなんて考えてなかったの」
まさか、昨日の話をしているのか霜月は。
どうやってその話になったのか非常に気になるが、紅はそう考えていたのか。確かに柊はもっと早く告白しても良かったかもな。
ホームルームが終わると、霜月が話しかけてくる。
「さっきの話聞こえました?」
「紅の仲良くなりすぎて〜みたいなのしか聞こえてないぞ」
「茜さんは付き合うことを考えてなかったみたいです。でも、告白されると意識しちゃうかも。なんて言ってました
よ」
「じゃあ、まだこれからかもな」
「ですね。恋バナは面白かったです」
霜月は少し笑ってそう言う。
「昨日俺たちが聞いてたのバレたのか?」
「茜さんにはバレてたようです。柊くんは分かりませんが。」
「あいつはきっと告白に精一杯で気づいてないだろう。そっとしておいてやろう」
「そうですね」
そうして、今日も平凡な一日を送っていた。
すると五時間目、楽しい時間が訪れる。
「そろそろ林間学校が始まるから、色々決めるぞ〜」
先生の言葉で俺は林間学校があることを思い出す。もう一週間後だ。夏にやる予定だったのだが、色々あって延期になっていたのだ。寒くて辛そうだがきっと楽しいに違いない。
「林間学校があったのですね。ちょうど私も参加できそうで嬉しいです」
クラスのみんながざわついている中、霜月はおれに言ってくる。
「説明するから黙れ〜」
先生はそういい説明をした。
「じゃあ班決めと部屋決めするぞ。ここからは上久保よろしく」
そういい委員長の上久保が仕切り始める。
「じゃあ班決めからするか!男子と女子混合で合計5人か6人で、開始!」
さて、どうしようか。柊と猿田が無難だろうか。
柊は紅と組めるのだろうか、見所だな。
「ごめんなさい。楓くん。私と一緒になってくれますか?」
霜月が俺を誘ってきた。
「もちろん。よろしくな」
そう言うと霜月は嬉しそうに笑う。
俺は誰かから誘われるのを待ってるかと思い、霜月と二人でいると
「楓!班組もうぜ!」
意外にも水無月から言われる。もちろん断ることはない。
「霜月も一緒でいいか?」
「霜月さん!よろしく」
そうして、水無月と組むことになった。
「後、緑岡と如月でいいか?」
水無月はそう言う。
「もちろんいいが、あいつらはいいのか」
「三人で話して、楓にしよって話したんだぞ。あと一人考えてたから霜月さんがいて良かったよ」
猿田と柊とはいつもいるから、この機会に水無月、緑岡とももっと仲良くなれそうだ。そもそもこういう班活動は当日になると色々な班と合体したりするのもあるあるだ。
結構早く、他の班も決まったようだ。
柊は紅と組むことができたようだ。加えて猿田、鴨志田、委員長で班を組むそうだ。
委員長がどうしてそこに入ることになったのかは知らないが、
猿田と鴨志田もいい感じだし、委員長が余ってしまいそうで心配だ。
「茜さんと柊くん。同じ班みたいですね」
ニヤリとした感じの顔で霜月が言う。
「楽しい林間学校になりそうだな!」
水無月は言う。
その後、スムーズに部屋割りも決めた。
部屋はいつも通り、猿田と柊一緒になった。
もちろん男女混合の部屋はNGだ。そんな事考えれば分かるだろうが、柊が残念そうにしてて少し面白かった。
「あ、ウォークラリについて言い忘れてた。」
そう言って先生が話し始める。
「今回は山登りじゃなくて、ウォークラリーをする。森とか色んなところを予めこちらでルートを決めておく。マップは当日に配布だ。色々なルートを用意するから、他の班について行っても同じルートとは限らないぞ。ルートといってもマップに赤い印をつけておく。そこをチェックポイントとして途中でスタンプも押してもらう。それを全部集めてゴールだ。チェックポイントにたどり着くならどこを通っても問題はない。」
なるほど。山登りは嫌いなので俺としては嬉しい。かなり楽しそうだ。
「ただやるだけじゃ面白くないから、タイムアタック形式で競い合うことになった。他のクラスとも競い合ってもらう。トップ3には景品もあるらしいぞ」
「まじかよ!」
「おもしれーじゃん!」
クラスは大盛り上がりだ。
「じゃあ残りの時間は班で自由行動の話し合いをしろ〜」
俺の班は緑岡の席に集まり話し始める。水無月が話を進めて、スムーズに決まった。
「楓くん、林間学校楽しみですね」
霜月は言う。楽しそうで良かった。
「そうだな」
ーーーーー
「楓!」
放課後になると、本木が教室に入ってきて俺のところに来た。
綾華、武藤も一緒だ。
「林間のこと決まったか?ウォークラリー面白そうだよな」
本木は大興奮だ。
「協力することになるかもしれませんし、その時はよろしくお願いしますね」
武藤は言う。
「楓と班組みたかったなー。他のクラスと組めたらなー」
綾華はおれに言ってくる。他のクラスと組むのもまた面白そうだ。
「俺も楓と組みてえ!!」
本木は本当に声がてでかい
「お前らホントに元気だな」
「本木だけだよ」
俺の言葉に綾華はそう言う。
朝日先輩に言われたことは一旦置いといて、林間学校を楽しむことにしよう。俺はそう思った。
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