それお前がやってるだけやん
仕事は家に帰るまでが仕事とはよく言ったものだ。
運転していると感じる事だが、プライベートで乗りたくねぇーなって思う。それは下手とかそーいう類なのかもしれないが、割に合わないよな。
自転車で小さな逆U字の橋を昇っていく間。前方の信号は赤であり、橋の真ん中で停車中。
とりあえず、青になるまで歩道で待つか。
ゆるゆると降りていきたいと思っている時。
車道側ではバイクが一台、その後ろには乗用車が一台。バイクの方は左ウィンカーを出して左折を待っているようだった。
バイクの機動力を考えると、自分が信号を渡る間にはバイクは左折するだろうなって、仕事の関係も相まってほんの少しだけ考えている。信号の向こう側には誰も歩行者も自転車もいなかったのだが、バイクと車の後ろから結構なスピードを出して信号に向かって直進しているロードレーサーに、大きなカバンを背負ってる人。ウーバーの人であった。
自転車は車道と歩道の間。同じ方向に飛ばす人なら路肩を走行するべきだろう。ウーバーの人は守っていたのだ。速度からして青信号になったら、そのスピードで突っ切るだろうな。
いちお、自転車側も危険である事は確かなのだ。ヤベェっと思ったのは
ブオオオォォッ
「え?」
前方のバイクがまだ赤信号なのに発進したと思ったら、左折をし始めたのだ。
自転車の人は自分のタイミングで信号を突っ切れると思ったのだから、ブレーキなんかかけていない。前方のバイクが信号が変わる前で左折するとは思ってなかった。
だが、事幸い。
バッ
「おわぁっ!?」
自転車のスピードが相当速かった事と彼のハンドル操作が上手かったこと。後続の乗用車がウーバーの人に気づいていたためか、発進をまったくしなかったこと。諸々がカバーして、事故を回避。ウーバーの人は車道側に進路変更をして、衝突を回避したのだ。
念のために言うが、ウーバーの人はちゃんと青信号になった時に信号を渡っている。バイクが待ちきれないで発進していた。
「危なっ」
バイクの左折事故の大半は、後ろから猛スピードで来る自転車のケースが多い。
なのでなるべく、バイクや車は左側に停めて、左から自転車が入られないようにしよう。そして、左折する時も目視をしてからの左折をしよう。
……そんな話で終わるんだったら、良かったんだが。微妙に続きがある。
ビイイイイィィィッ
「あぶねぇだろ!!馬鹿野郎!!」
ウーバーの人が言った!……のではなく、なんと左折するバイクの人が叫ぶのである……。叫んだりするのならまだいいのだ。確かにあのスピードはどうかと思うのも、分からなくもない。ただ。
バイクの人は何をし始めたのか。左折を途中で止めて、ウーバーの人を追いかけるためか、ウィンカーも変えずに直進に切り替えたのだ。これには後続の乗用車も発進を急に止めた。自分も前が青信号だったが、そのバイクの動きにビックリして停止していた。
ウーバーの人は橋を全力で昇ったところで、先に左折しただろうバイクが、何か知らんけどこっちに向かって来た事に気付いた……ようだが、シカトをしていた。忙しいんだろうな。
「テメェのせいで左折できなかっただろうが!!止まれ、ボケェ!!」
いや、あんたが勝手に左折を止めたやないかーい……。ってツッコんで欲しいのか。バイクの人を良く見ると、暑かったせいか顎紐が外れていた。ウーバーの人はちゃんとヘルメット付けてるんだよな。
自分が停まっている位置にウーバーとバイクが来たとき。
「おい、タコ!!運転マナーも守れねぇか!!バーーカ!」
自虐か?
そう思うくらいバイクの人は、ウーバーの人に体当たりしてでも分からせようと接近するのであった。路肩を走る自転車に向かって、路肩に突っ込んで来るバイク、超こええぇっ。
ウーバーの人は自転車を停めずに進んでいく。ちゃんとしているなーって思う。橋を越えたちょっと先の交差点でウーバーの人は右に行かないといけなかったのだろう。隣のバイクが危ない中、右に自転車を向けており、青信号になったところで渡った。
「無視すんじゃねぇーぞ!●●●●、下手くそーー!!」
バイクの人は罵声を発しながら、ウーバーの人を追いかけるように右へ。
……字面にすると、そしたらぶつかってしまうんじゃないかと思うかもしれないのだが。バイクもウーバーの人を執拗に並走するのだ。
とはいえ、ウーバーの人は路肩から歩道に乗ったのだ。さすがにバイクで歩道を走ったらヤベェのは馬鹿でも分かるんだろう。目的地もそうだし、危険でもやったんだろうな。
じゃあ、なんでバイクは右にハンドルを切ったのか。こいつ、信号手前でUターンを始めやがった。
「バーーーカ!!死んでろ、テメェ!!」
そうして、バイクの人はまた橋を昇り始めて、本来左折するべき道に戻ろうとしていたのだ。
余談だが、この人が信号手前でUターンをした時。左折して入ってこようとした乗用車があり、クラクションを鳴らしていた。
また、自分と同じく信号待ちしていた後続の乗用車も、橋の中心でバイクの人が視界から消えてくれるまで停車していた。救急車が近づいてくる並に避ける姿勢だった。
おかげさまで信号を2回も待ってしまったよ。