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54.アクサン視点/馬鹿

(アクサン視点)


「ぐぬぅ……お前がこんな愚かなことまでしでかしてしまう男だとはな。これまで遊び惚けていたのを度々咎めてきたというのに……もともと王族としての資質がないとは思っていたから、せめて有能な伴侶を持つことでフォローできるのではと思っておったというのに」



くそ! 遂に王族の資質が無いとまで言いだしやがった! 何だよ王族の資質って、父上だって偉そうに命令するばかりじゃないか。王族ってのは偉いから命令すればいいだけなんじゃないか! それなのに有能な伴侶でフォローって、私が無能みたいなことまで言いだすのか! もう何なんだよ! 私は産まれた時から有能だし、エリザは口うるさいだけだ! 父上まで馬鹿にしやがって!



「エリザ嬢との婚約が無くなってしまっては、もうお前はまともな女性とも結婚できなくなるのだぞ」


「はあ!? 何故です!?」


「……相手は有能で人望もある公爵令嬢だ。そんな彼女に婚約破棄されたとあれば、たとえ王族であろうと誰も近寄らんだろう。相当馬鹿な女でなければ今のお前など相手にするわけがなかろう」



……父上こそ馬鹿じゃないのか? いや、馬鹿だな。私はすでに新しい女性と婚約を交わしているのだぞ? ワカマリナと婚約したことはまだ言っていないから、聞いたらきっと驚くだろうな。



「ふふふ、父上はそんな心配は必要ありません。私は父上が想像もできないようなまともな女性とすでに婚約しているのです」


「は? 何だと?」


「エリザと婚約破棄したその日に、私は真に愛する女性と婚約したのです!」


「……正気か?」



正気を疑うとは悲しいな……。父上はもっと息子である私が有能であると知っておくべきだ。だからこそ、言ってやろう。私の婚約者であるべき女性の名を!





「この大馬鹿者がぁ! お、お前は何という馬鹿げたことをしたのだ! もう一度言ってみろ、その新しい婚約者の名を!」


「ワカマリナ・イカゾノスです!」


「聞き間違いではなかったのか! ああ、何ということだ……これではお前だけでなく王族そのものの支持率が低くなる可能性すらあるではないか!」



あ、あれ? 父上の反応が私が思ってたのと違うぞ? 頭を抱えてしまうなんてどういうことだ?



「お前はどうしてイカゾノス家の次女なんぞを婚約者にしたのだ!? しかも、エリザ嬢との婚約破棄されたその日に婚約? 行動が早すぎるわ! 世間体とか頭にもないのか!?」


「愛を貫くためです!」


「誇らしげに言うな! いいか! ワカマリナ・イカゾノスという娘はな、今評判が悪いことで有名な最悪の貴族令嬢なんだぞ!」


「さ、最悪!?」



何だって! どういうことだ!?



「かなりの美貌をもって多くの男を誘惑して弄んだり、実家の財産を好き勝手散財して遊びつくす。しかも、誰に対しても傍若無人で自己中であるからして性格も最低最悪という話もよく聞こえるのだぞ! お前は社交にも疎い! 貴族としての耳も悪いというのか!」


「そ、そんな馬鹿な!」


「馬鹿はお前だ! よりにもよって最低の不良物件を選ぶとは……お前は本当にろくなことをしないのだな!」



何を言っているんだ父上は! 財産を散財したり異性を弄んで遊ぶなんて、貴族なら誰でもやっていることじゃないか! それを最悪? ふざけるな! ワカマリナの家が裕福である証拠というだけだ!

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