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3.婚約破棄/自慢話

「な、何!?」


「「っ!?」」


クァズも、リーベエとフミーナも、アキエーサの口にした言葉にギョッとした。


「私じゃなくてじゃなくてワカマリナみたいな子が婚約者だったらよかった、ですか。それなら最初からワカマリナを婚約者にしておけば、私との婚約を破棄する準備などしなくて済んだでしょうに。わざわざ学園の卒業式のパーティーに出席して発表など手間がかかることをなさろうとは理解に苦しみます」


「「「っっっ!?」」」


アキエーサの両親と婚約者は同時に驚いた。アキエーサが淡々と生意気なことを口にした以上に、アキエーサの婚約を破棄して義妹のワカマリナと婚約する計画を知られていたのだから目を丸くして驚くのは仕方がなかった。


「……どういうことだ伯爵。アキエーサに内緒での計画ではなかったのか?」


クァズがリーベエをジト目で見る。するとリーベエの方は唇をわなわなと振るわせて否定する。


「い、いや、そんなはずはない……! 最高のサプライズにするためにもアキエーサに知られぬように配慮してきたはずなんだ! 馬鹿な、何故アキエーサに計画が漏れたんだ!」


リーベエが動揺するようにフミーナも取り乱してアキエーサに向かって叫んでしまう。


「アキエーサ! 答えなさい! どうして貴女ごときが私達の計画を知っているのよ!」


またしても怒りを向けられるアキエーサは表情一つ変えることなく素直に答えた。


「それでしたらワカマリナが自慢話をしてくれたから知ったのですよ」


「「「えっ?」」」


「もう一度言いましょうか? ワカマリナが自慢話をしてくれたからですよ。理解できないなら詳しく説明しましょう。あの時のワカマリナとのやり取りを」


アキエーサはちょっと嫌そうにワカマリナとの会話を説明し始めた。





三か月前、アキエーサがいつものように使用人のごとく掃除をしている時のこと。貴族令嬢が使用人の仕事をする等ありえないが、それがアキエーサの日常。そんな時に、ワカマリナが上機嫌で一方的に話しかけてきた。


『ああ、惨めなるお姉様! よくお聞きなさいませ!』


『今は掃除をしているのだけど……』


嫌そうに後にして、と断ろうとするアキエーサに構わずワカマリナは続ける。


『そんなこと言わずに聞いてくださいな! お姉様とクァズ様の婚約はめでたく破棄されることが決定しましたのですから!』


『は? まあ、やはりそうなったのね』


婚約破棄自体はアキエーサにとってはどうでもよかった。その婚約者はアキエーサを蔑ろにして、その妹と仲良くしているのだから。そういう意味ではアキエーサにとっては、むしろ嬉しいとも思えた。


そんなアキエーサの心中を知らないワカマリナは大げさに煽ってくる。


『もっと驚いてくださってよ! そして、このわたくしがクァズ様と婚約するのですわ! 残念でしたわね~お姉様! お姉様の愛する婚約者は私をお選びくださったのですわ! アハハハハハハ!』


『別に愛していた覚えはないんだけど……』


『そんなこと言って本当は悔しいのでしょう? ねえ、どんな感じですの? どんな感じですの? 愛する婚約者を奪われた感想は? アハハハハハハ!』


その後もワカマリナはアキエーサと二人きりになるたびに自慢話をしつこいぐらいに聞かせてきたのだ。ついでにワカマリナの煽りが一番ひどかったという。




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