表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

168/228

168.連行されて/新たに判明した事実

アクサンたちが二人の用心棒に敗北して縛り上げられて、少し間をおいてから商会と貴族の私兵団の増援がやってきた。商会からは警備を担当する者達が増援組であり、勿論武装も整えてからアジト人突入してきたのだ。


「お~う、遅かったな~!」


「いや、距離が離れているから早い方だよ」


「ははっ、そうかい。そんじゃお疲れ様だな。結構な数を潰したから後はよろしく~」


「……まあ、この格好で手伝うと不審がられるよね」




……という感じで、アクサンと偽クァズ、それにならず者集団は後から来た増援の者達によって連行されていくのであった。勿論、アクサンに関しては王宮に連れ戻されることになるのは間違いない。





アクサンが関わった誘拐事件が解決した頃、王宮では新たに判明した事実があった。


「……陛下、ワカマリナ嬢の脱出に関わった人物の正確の特定ができました。現時点ではですが……」


「構わん、申せ」


「はっ、おそらくは最低で四人が関わっております。まず一人は騎士団長の息子ライアン・ライニードル。アクサン殿下とワカマリナ嬢との関係を巡って口喧嘩したことが原因で側近を外されております」


「……実力は無いの騎士よりも上だったのに、性格が単純で思慮に欠けておったな。アクサンが強引に側近にしたのに、ワカマリナのことで側近から外したのだったな。身勝手なものだ」


「二人目は、宰相閣下の息子パリコ・ペティアー。アクサン殿下とワカマリナ嬢との距離が近すぎるということで抗議したことが原因で側近を辞めております」


「父親に似て思慮深かったのだが、ワカマリナ嬢と関わって感情的になることが多くなったのだな。側近を自らやめたと聞いた時は驚かされたものだ」


「三人目は、伯爵子息クエス・チョン。ワカマリナ嬢との距離が近すぎるとアクサン殿下の怒りを買って側近を外されております」


「両親は我が国に多大な利益を与えた功績を持っている。そのかいあって息子が側近に加えられたということだが、それもワカマリナのせいで無駄になったか……」


国王はすでに耳が痛くなってきた。正直もう聞きたくないし、ノイローゼになりそうだとすら思ってしまう。いつまでも実の息子のアクサンとその恋人のワカマリナに振り回される自分自身すらも絶望を感じ始めたのだ。


「そして、肝心の四人目ですが……」


四人目と聞いても国王は不思議に思わない。しかし、部下が『肝心』と言った後で出した名前を聞くと、俯き始めた顔を上げることになる。



「四人目は、エヌエイ辺境伯の令嬢、ジンダ・エヌエイと思われます……」


「…………何?」


「アクサン殿下の側近の一人、辺境伯子息ゲンダ・エヌエイの双子の姉です……」


「姉だと? 本人でなくてか?」


最後に出た四人目の協力者、それは元側近の姉だという。その事実だけは他の三人と違っていたことに国王は疑問を感じた。


「どうも、そのようです。エヌエイ辺境伯は先日から『娘がいなくなった』と言って探しているようです。王宮の兵士達の目撃情報から、四人目が彼女である可能性が高いのです」


「どういうことだ? 確かゲンダ・エヌエイはワカマリナに嫌われたことでアクサンに側近を辞めるように言われてから姿を見せなくなったと聞くが、その姉が動いたのか? 本人はどうしたのだ?」


「国王陛下、エヌエイ辺境伯から聞いたのですが、ご本人は悲しいことに……」





この後、国王は側近を辞めさせられたゲンダ・エヌエイの詳細を聞いて、いかに自分がアクサンの教育を誤ってしまったのかを痛感させられることになった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ