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【本編完結】勇者と魔王の歪んだ世界~落ちこぼれ勇者候補生が救ったはらぺこは最強の魔王候補生!?二人はリバースワールドの果てに真実を探究する~【ぺこリバ】  作者: よるか
第7章、霊峰雪山編――霊峰立つ、魔竜翔る冷渦の戦慄

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霊峰聖域


 人が立ち入ることもない高い山々のさらに上、穢れすら寄せつけぬその一帯を――人は『聖域』と呼ぶ。


 澄み渡るやや薄い空気、晴れ広がる雲近い空。

 雪混じりの山肌が見える高原に爽やかな風が吹き抜ける。

 背の低い山地特有の植物に彩られ、えらく透き通る水面みなもが陽光を反射する。


 雪解けの水が溜まる小さな湖畔に、一対の影が姿を見せた。

 ひらひらとした袖と長い髪をなびかせた、そこには住まうはずのない人間に、巨大な翼をもつ人ならざるモノ。

 笑い声を上げ、咆哮を上げ、語らい合うように触れ合って、寄り添う影は空へと羽ばたく。



 それはもう、いつのことだっただろう。

 泡沫うたかたに見えた夢の光景はより一層、胸を締めつけた。


 巨大な翼を持ってしても届けることのできない想い。

 悲しみに震わせて、切なさに身を切り刻まれ、嘆くことしかできないこの心。


――今のわたしには、もうわからないのです。


 声を届けてくれる者も――もう、いない。

 ただ待つだけというには――200年の時はあまりにも長すぎた。


 あなたは今もそこに(・・・)いるのでしょうか?

 わたしはもう、あなたの名前もわからない(・・・・・・・・)

 きっとあなたも、わたしのことを覚えてはいないのでしょう。


 語る言葉を失ったこの身体ではきっともう誰にも届かない。

 それにおそらく、自我を保っていられる時間も長くない――彼女(・・)はそれを理解している。


――グゥゥゥオォォウゥゥゥゥ!


 地を揺らし、空気を震わせ、風をも断ち切る咆哮が『聖域』を覆い包んだ。

 哀しみに震えた慟哭どうこくが――人も踏み入らぬ山頂に木霊する。


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