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その6


先輩が邪魔くさいから警察沙汰にしてしまおうという宗方も宗方だが結局それに乗っかっちまった俺も俺だな。 まぁあの先輩には散々殴られたんだ、俺もムカついてたしその報復は出来るならしておかないとな。



木戸のこともあったしそのことを宗方に話したら出来るだけ目立ちたくないということで先輩がたむろっている駐輪場の裏から宗方達は出て来た。



居た居た、忘れもしないあいつらだ。 宗方が誘いに乗ったからって鼻の下を伸ばしてやがる。 これからお前らを嵌める性悪女だとも知らずに。



宗方の作戦はこうだ、さり気なく交番を横切るちょっと手前でやっぱり気が変わったと宗方が言いそれで怒るであろう先輩達から逃げ出して交番に向かって走るが万全を期すためにその前に俺が交番に行って先回りして伝えといてくれと。

 


まぁ言いたいことはあるが1番は学校の教師どもは使えない連中だらけだが交番の奴らはきちんと仕事してくれよと思う。



俺はひとつ道路を挟んだ陰から宗方達を見守りながらついて行った。 そしてそろそろ交番も近くなってきた、いよいよ宗方の気が変わる頃だけど……



周りには良いのか悪いのか学校の生徒は居ないがもしもの時のためのただの通行人も居ないのが若干不安ではある。 つくづく田舎だな、ここらの周りも住宅がポツポツとあるけど田んぼや畑ばっかだし。



おっと、もう交番に先回りしないと。 俺はダッシュで大回りして交番に着いた。



「す、すいません!! ってあれ??」



もぬけの殻なんですけど? ヤバくないかこれ…… まさか居ないとは。 宗方に連絡した方がいいよな、とりあえず電話だ。 出れない状況とかじゃないよな? と思ったがすぐに宗方は出た。



『はい、どうしたの?』

『失敗だ』

『え?』

『交番に誰も居ない』

『あ、そうなんだ。 ふぅ〜ん……』



ふぅ〜んって…… まさかプランBでもあるのか?



するとどこからともなくこちらに近付く足音に嫌な予感がして覗いてみると宗方が先輩を後ろに引き連れて猛ダッシュして来た。 俺は交番の中に隠れようとしたが……



「世那君! 逃げよッ!!」



宗方は俺の腕を掴んだ。



「ああん!? てめぇはこの前の!!」



後ろから先輩達の怒号が聴こえた。



「バカ!! なんで俺を道連れにするんだ!?」

「私がもしあーなっちゃったりこーなっちゃたりしたら世那君自分を責めるでしょ!」

「んなわけあるか! 隠れようとしてた俺を見たろ!!」

「仕方ないなぁ、プランBにしましょ?」



まさかのプランBがあったのか、聞いてはないけど。



「それでプランBとは?」

「バイクは? バイクはどこかに隠してるんだよね!?」

「んなもんあるか!」

「え? なんで!?」

「バイク押しながらだと先輩達に見つかっちゃうと思ったから学校に置いてきた」

「…… ならプランCにしよう」

「プランCとは?」

「走り切る!」



あ、こりゃダメだと思ったが宗方の奴とても速い、かくいう俺も逃げ足は速かったようで……



「ハァハァッ……」

「はぁーーーッ…… な、なんとか逃げれたね! こんなに全力疾走したの久し振り」

「ハァハァ…… お前、ハァハァ、こんなの聞いてないぞッ!」

「二段構えだったんだけどなぁ〜ッ、はぁ〜ッ」



大きく息を吐いて宗方はその場に座った。 ここはどこかの小さな橋の下、一旦は逃げ切ったものの明日から絶対地獄だと思い俺も座り込んだ。



「どうすんだよこの不始末?」

「んん…… んー……」



宗方は何か考えているようだ。 妙案があるのかと思えば……



「どうしようかな?」

「お前の話に乗った俺がバカだった」

「いやー、まさか居ないなんて思わないじゃん? ほんと使えないよねぇ、ここの交番のお巡りさんは」

「使えないのはお前のその脳みそじゃないか?」

「もぉー酷いなぁ。 それにしても世那君なかなか逃げ足速いね、ビックリしちゃった」

「お前もなって…… そんなこと言ってる場合か?」

「これで捕まったら私はまずまわされるでしょ? そんでもって世那君は前より酷くボコボコに。 もしかして埋められたりして?」



まさかそんなこととは思ったけどもしかしてもしかすると…… あー頭痛くなってきた。



「お前なんなの? 疫病神なの?」

「ちょっとちょっと、仲違いしてる場合じゃないよ?」

「じゃあこうなった責任は?」

「連帯責任で行きましょ」



なんでこいつはこの状況で冗談抜かしてんだ、やっぱバカなのか? その時宗方が鞄をゴソゴソと探り始めた。 そして……



「ほいッ」

「お前…… これって」



宗方が鞄から取り出して俺に渡したのはナイフだった。



「ほら〜、手ぶらだと危ないかなって思って持ってきたんだ」

「持ってきたって…… まさかこれで先輩達を?」

「軽くブスッと刺しちゃお? 実はもう1本あるんだ」



俺は本気でこいつに関わったことを後悔してきた。




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