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その33


「てかなんなのあの女? マジでウザいんだけど。 そう思わない?」



宗方が毒付いている、まぁ斉藤のことなんだが。



「そもそもお前が無闇に喧嘩仕掛けてきてるからだろ。 あのまま押し倒してたら斉藤の奴怪我してもっと大事になったかもしれないぞ?」

「すりゃいいーじゃんあんな奴」

「お前があいつのことどんだけ嫌いなんだよ」



結局午後の授業サボって部活までやってったなぁ、雨はさっきより大分弱くなったし良しとするか。



「あれは友達になるとなった方が損するね、あいつの友達はバカしかいないけど」

「はいはい、そうだな」



それを言うならお前と関わった俺も大分痛い目見たし損しているような気がするが。



そして斉藤からも友達と言われてしまって俺は損する奴としか友達になれてないってことだ。 



「その点私なら役にも立つし良かったね世那君」

「言ってろ、じゃあな」

「もう帰るんだ?」

「もう雨弱くなったし今のうちにな」

「そっか、バイバイまた明日」



なんか今日は疲れた、それもこれも宗方と斉藤のせいだ。 



帰ってしばらくベッドで横になりそのまま寝てしまった。 



「嘘だろ…… 」



なんと目が覚めたのは次の日の午前11時。 やっちまった、いくらなんでも寝坊しすぎだろ俺。 携帯のアラームも気付かなかったとかって。



「どうしよう今日?」



ボソッと呟いてみるもののなんにも決まらない。 というか行かせてもらっていて無断欠席とかありえないよな? しょうがない行くか。 



お昼に学校に着くとみんな弁当を食べていて気付いた。 そうだ俺それすら持ってきてない、何やってんだか。



まぁそれほど腹も減ってないし弁当作る金が浮いたと思って良しとするか。



「新庄君今日遅いんだね? 風邪でも引いたかと心配したよ」

「寝坊だよ」



山梨達と弁当を食べていた斉藤は俺に話し掛けてきた。 俺はとりあえず机に座って肘をついて窓を見ていると……



「お弁当食べないの?」

「忘れた」

「え、そうなの? ねぇ環奈、舞、新庄君にお弁当のおかず分けてあげようよ?」

「そんなことしなくていいよ、お前らで食べてろ」

「仕方ないなぁー、沙優奈がそこまで言うなら」

「沙優奈に感謝しろよー」

「ふふッ、だって。 新庄君」



斉藤は自分の弁当の蓋に山梨達から分けてもらったおかずを乗せて俺に渡した。 箸がないんだが……



「あ、そっか、お箸お箸…… 」

「私割り箸持ってるわ」

「なぁーんだ」

「なぁーんだとは何よ沙優奈?」

「ううん、なんでもない」



藤岡から割り箸を貰い斉藤達から弁当を恵んでもらった…… なんだろう初めての経験だ。



「食べないの?」

「いただきます。 てかありがとう」

「うん、どういたしまして!」

「いや私らもあげたんだけど? なんで沙優奈ひとりが分けてあげましたみたいな雰囲気出してんのよ?」

「えへへ、そうでした、環奈も舞もありがとう」



クラスの奴から弁当分けてもらうなんてな。 



そのせいなのか知らんがなんでもない弁当のおかずが美味しい気がした。







◇◇◇







「な、なんだよ!?」

「食えッ!!」

「おい!」

「いいから食えよッ!!」



帰ろうと思ってバイクに乗ろうとしたらいきなり宗方に肩を掴まれ先輩達がタバコを吸っている校舎の隙間に連れて行かれタバコを吸っていた先輩達は宗方に追い出され俺は弁当を押し付けられていた。



「口開けろ!」

「わかった、食えばいいんだろ!?」

「早く」



今にも頬に押し付けられそうな弁当のおかずを口に入れる。



「どう?」

「普通に美味い……」

「じゃあこれもそれもあれも」

「わかったから、食うから!」



俺が弁当を食べている様子を腕を組みながら見下ろす宗方。 何これ?



「ご馳走様……」

「はい、どういたしまして」



てかこいつ弁当食わなかったのか?



「美味しかったでしょ?」

「まぁ」

「あの三馬鹿トリオよりも断然に?」

「うーん、まぁそう…… だな?」

「ならよろしい」



何がしたいんだこいつ?



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