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その26


「さーて、今日は部活で遅くなっちゃったから世那君にバイクで送ってってもらおうかなぁ」

「俺はいいなんて言ってないけど?」

「扇風機ストーブ携帯」

「うぐ……」

「へへへぇ」



恩着せがましくするなと言ったのにこれだ。 まぁ実際世話になったので仕方ないか。



「じゃあさっさと行くぞ、てか俺と一緒に帰ってるとこ見られるかもしれないのに」

「大丈夫だよ〜、もう薄暗いし」

「はぁ」



そしてバイクのところに宗方と向かった。



「あれ、駐輪場じゃないの?」

「いやバカかお前は」



同じ轍は踏まない、また油断してるとあのバカ先輩達と鉢合わせてしまうからな。



「大丈夫だよ」

「根拠もなしに大丈夫とか言うな、今度は俺もお前を……」

「ん?」



庇ってやれないと言うところだった、言葉のあやだ、あれは扇風機とストーブ代みたいなものでそういうわけじゃない。



「なんでもない」

「ふーん、でも根拠ならあるからさ! 騙されたと思ってついて来なよ」

「お、おい!」



宗方は駐輪場の方へ向かったので仕方なくついて行く。 まだ先輩達は停学中なのか?



そして駐輪場へ行くと校舎の隙間から光が3つ、蛍かな? なんてんなわけがない。 先輩達がタバコ吹かしてるじゃねぇか! もう戻って来たのかよ? 



「おい、話が違うじゃねぇか」



先輩達が俺らを見て出て来た。 あー、こりゃダメだ。 ほんとに騙されたわ宗方に。 



先輩は宗方をギロリと睨んで口を開いた。



「宗方……」

「宗方…… 何?」



宗方が挑発するように聞き返す。 



「さん!! ちぃ〜ッス!!」

「おかえりですか!?」

「ささ、どうぞどうぞ!」

「うん、ごきげんよう」

「はぁ? ごきげんようってお前……」

「君達世那君にちゃんと謝った?」



なんだこの先輩達の手のひら返しは……



「世那君いつぞやとこの前はすいませんしたァッ!!」

「は、はあ…… どうも」



3人ともバイクに乗り込むまでずっと頭を下げていた。 なんなんだこの状況は?



「行こう世那君」

「…… ああ」



とりあえず頭を下げられればそれはそれで気になるのでさっさとそこから立ち去った。



「お前何したんだ?」

「これ以上諍いが起きないようにしたんだよ、もぉー私って友達思い」

「だから何したんだよ?」



俺は一旦バイクを停めて宗方に聞くと宗方は鞄から何かを取り出した。 ま、まさか……



「これで」



取り出したのはいつぞやのナイフだった。 刺したのか!? と思ったが先輩にそんな傷はなかった。



「あの先輩達調子乗ってるけどさ、中身は小心者みたいでね。 ナイフ突きつけてこれ以上私らに関わるなら刺すよって脅したらすんなり…… とはいかなかったけど」

「いかなかったのかよ!」

「でもね、私に何かあったら前のこともあるし警察も疑いが先輩達に向くでしょ多分。 世那君にも迷惑掛けたら何かしらでっち上げてあんたらのせいにするからねって」

「それであれか?」

「まぁそれで最後に女の子の必死の訴えとあんたらガラの悪い連中の言うことどっちを信じるかな? って言ってあげたらね、もっと最初からそうやれば良かったよ、あいつらほんと小心者だよね、あははッ!」

「笑えねぇ……」

「あとね、私と世那君が被った迷惑料として3人から10万円頂いちゃいました!」

「まさかそれって」

「世那君の携帯で消えちゃったけどね!」



やっぱこいつ最低だな助かったけど。 だがこれで先輩からのちょっかいがなくなれば宗方様様なのかもしれない。



「よくそこまでしたな? 応じなかったらお前ヤバかっただろ」

「だって世那君が頻繁にボコボコにされてたら顔の形変わりそうじゃん? せっかく奇跡的にいい顔してるのにさ」

「揶揄うなよ」

「てか友達思いでしょ私って」

「………… 知らん」



事情がわかったからもういいので俺がバイクで走り出すとギュッと腕を回された。



…… 宗方はなんの迷いもなくそんな行動をしたのか? 俺はかなりの割合で自分のことだけ考えてたってのに。



こいつのことをよく最低だなと思うが本当に最低なのは俺なのでは?


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