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その10


今日は部活に顔を出した。 ていうより美術部ってサボり部なんじゃないかと思い出した、いつ来てもすっからかんだ。 気兼ねなくって意味ではいいんだけど。



いつものようにキャンバスを椅子の前まで持って行く。 いつもと言っているが来たり来なかったりだから違うか。 物凄くチビチビ描いてるので完成がいつのことになるやら。



1時間ほど経ったろうか、ふとスマホを取り出し時間を見ると17時過ぎか、そういえば宗方と連絡先交換していたが何にもなかったな。



面倒くさそうなことになるんじゃないかと思ってた俺は若干拍子抜けしたがまぁそれならそれでいい、てかそろそろ帰るかと思った時だった。



美術室の扉が開くと宗方だった。 珍しいな、前の一回以外鉢合わせしなかったんだがあいつも何か描きたい気分なのか?



宗方は俺を一瞥して向かい合うように座りキャンバスを立てた、そして5分ほど時間が過ぎた。



誰も居ないが今日はダンマリか、あいつにもそういう気分があるんだろう。 それより帰るか。 



「帰るの?」



俺がキャンバスを戻そうとした時宗方は話し掛けてきた。 クラスに居る時のような冷たい口調だった。



「そうだけど?」

「ふぅん」



なんだこいつ? とは思ったがそれは宗方だからでなんてことないか。



「なんだか最近鬱陶しそうだね?」

「なんのことだ?」

「前の席の斉藤さん」

「斉藤が? なんで?」



普通に疑問に思っただけなのだが宗方の目がギラッと俺を睨んだ。



「だって迷惑でしょ? 話し掛けられて」

「迷惑? あーまぁ急にどうしたんだって思ったけどもそこまでは」

「え? 何? じゃああんな普通の感じの子に構ってもらうのがそんなに嬉しかったの?」



何を言ってるんだこいつは? というか何が言いたいんだ? それになんか宗方はイライラしているような気もする。



「構ってもらってるってなんだよ?」

「…… あんなつまんない女なんてどうせろくなこと考えてないから少し遠ざけた方がいいよ?」



いやいや、どう見てもろくでもない考えをしてるのはお前だろ? 盛大なブーメラン会話してるってことに気付いてないのか?



「どっちにしろ別にお前にとっちゃなんの興味もないどうでもいいことだろ?」

「それはそうだけど」

「だろ? 俺にとっても斉藤なんかどうでもいいんだが」

「え? そうなの?」

「ん? ああ……」



何か知らんが急に宗方のテンションが高くなった。



「だよね? だよね!? だと思ったぁー」

「んだよそのテンション?」

「何が? 最初からこんな感じだったでしょ!」

「自分を客観的に見れないのかお前」



宗方はキャンバスを片付け始めた。 あれ? まだ何にもしてないよなこいつ、一体何しに来たんだ?



「帰るのか?」

「そうだよ、インスピレーションが湧いてきたし。 世那君も帰るんでしょ?」

「そのつもりだけど」



いや、インスピレーションが湧いてきて何故帰る? 本当に何しに来たんだ?



美術室を出るとちょうど廊下に木戸が友達と居たみたいでこちらを見る。



「あれ? お前らなんで一緒に」

「たまたま部活が同じなだけ。 それが何か?」

「いや別に……」



相も変わらず宗方は冷たい態度。



「そういうことだ」

「あ、おお……」



いや、俺も似たように見えるか? 木戸達が見えなくなると宗方は言った。



「ふん、バッカみたい。 それの何が気になるんだろうね?」

「お前が冷たいからじゃない?」

「えー? 世那君も負けず劣らず辛辣な口調じゃん」

「そうか?」

「うん、でもまぁ私にはそうじゃないみたいだね?」

「なんで?」

「世那君も自分を客観的に見れないようだなぁ」

「どこがだよ? つかお前のそのキャラ変のせいだろ、普通にそれでいれば?」

「あんな下らない奴らと? 冗談も休み休み言いなよ世那君」

「じゃあ俺は下らなくないのか?」

「うーん、世那君はねぇ…… もっと下かな! あははッ」



ん? 俺のがもっと下らないってか? 要するに下に突き抜けてるって言いたいのかこの野郎……



「ちッ、お前に冷たくされればまともな人間になれるような気がしてきたわ」

「あら、怒っちゃった? ごめんごめん、あ! だったらさ、ご飯奢ってあげるよ?」

「いきなりだな、なんで? 今度はどんな嫌がらせだ?」

「ちょっと〜、純粋な気持ちで言ってあげたのに嫌がらせってどんだけよ? ほら、世那君って私に関わると怪我ばっかしてるって言ってたよね?」

「言ったな」

「だからご愁傷様でしたって意味で奢ってあげるってこと」

「なんか全然嬉しくないな」

「ご飯作るのも面倒だし世那君だってわかるでしょ? 片付けもしなくて済むし食費も掛からないしいいことしかないじゃない?」



それはそうだけど。



「うーん。 考えとく」

「じゃあ今週末にね! それにここら辺って何もないから世那君バイク持ちでちょうど良かった」

「なんだよ油代は掛かるんじゃねぇか」

「文句言わない、じゃあ詳細は後ほど連絡するね」



あ…… もう行く方向なのか?



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