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月夜譚 【No.1~No.100】

夜の湖 【月夜譚No.28】

作者: 夏月七葉

 ぽっかりと浮かんだ満月が、静かに地上を見下ろしている。優しく、しかし眩しいほどに明るい月光が夜の世界を照らし出す。

 そよ風が起こしたさざ波が煌めいて、少女の裸足を濡らした。腰の辺りまで伸ばした黒髪が靡き、夜の闇に消え入りそうになる。見上げた深い青の瞳が、そこに映した星々と同じように光を散らす。

 少女は白い足を伸ばし、ひたひたと湖岸を歩く。時折波が足を撫で、足跡を攫って消してしまう。それを顧みることもなく、少女はただひたすら歩みを続ける。

 淡い桃色の薄い唇が開けば、微かな歌声が溢れ出す。波の音と共に音楽を奏で、紡がれる言葉は意味を成さない。

 この夜はいつまで続くのだろう。答えは勿論、朝日が昇るまでだ。だが、今夜はいつまでも今夜のままであるような気がする。

 少女は歌う。儚く切なげなその姿は、朝になれば消えてしまいそうだった。


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― 新着の感想 ―
[一言]  げ、幻想的……!  とっても良い一幕でした!ありがとうございました!
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