日常その2
俺は決意した。嫁ちゃんを更生させると。ではどの様に更生させるかと言うと、先ずは家事の分担である。
今の今まで全て俺が行っていた家事業務の一部を嫁ちゃんにも手伝ってもらうのである。
いきなりあれやってこれやってーと言っても、絶対断るのは目に見えているので、簡単な事からコツコツと家事スキルを上昇させていく狙いである。
だがしかし、嫁ちゃんはただお願いしても承諾してくれないので、心を鬼にして挑まねばならない。
ゲームを一時休憩している嫁ちゃんに俺は歩み寄る。……ミッションスタートだ!
「嫁ちゃん嫁ちゃん」
「なんだよ旦那?暇なら冷蔵庫からコーラ取ってきて」
「それは後でね。それより嫁ちゃんに手伝ってほしいことがあるんだけど」
「…なに?」
「今日ちょっと仕事で外に出なきゃならないんだけどさ、もうすぐ出なきゃならなくて嫁ちゃんに洗濯物干してほしいんだ。洗濯機は回してあるから」
「めんどい、イヤ。旦那が帰ってきてからでもいいじゃん」
「折角天気もいいんだしさ、できれば早めに干したいんだよ」
「無理。さっきも言ったじゃん、レベ上げに忙しいって」
まだだ……まだ怒るには早いぞ俺…!!
「レベ上げはいつでもできるでしょ?干すだけなら数分で終わるからお願いできないかな?」
刹那、嫁ちゃんは目をカッ!と見開き
「は?旦那レベ上げ舐めてんの?数分時間空いただけでどれだけフレンドとの差が開くと思ってんの?バカなの?無知なの?大馬鹿なの?私がこのゲームをどれだけ期待して待ってたか知ってるでしょ!?なのにゲームそっちのけで洗濯物干せって?フン!話にならないね」
物凄い形相で俺を睨む嫁ちゃん。正直呆れて何も言えないっすわ…
ここまで自分勝手な物言いをできる嫁ちゃんにある意味感服した。人間ここまで我を貫き通せるものなんですね……シラナカッタナー
…だが俺だって今日は引くつもりはないぜ!
「そっか。なら今日の取引は断って家事優先するよ」
「最初からそうしてくれる?無駄な時間取らせないで」
「その代わり明日から数日泊まり込みになるだろうから、暫くは嫁ちゃん一人で何とかしてね」
「は?どういうこと?」
「それぐらい今日の取引は大事ってこと。本当なら今日の打ち合わせは各担当の責任者の方々も来てくれるから、ある程度まとめられると思ったから出向は今日だけで良いと思ってたんだけど。今日出向けないと、俺自身が各取引先に出向かなくちゃならないからね。新幹線の予約もしないとだし」
勿論ブラフである。これぐらい大掛かりなハッタリをかまさないと嫁ちゃんは動かないと思う。
「あっそ。好きにしたら?私は何もしないけどね」
カッチーンときましたよ?はい。今までなんでも許容してきたけど、もう我慢ならん!こなりゃこちらもヤケクソじゃい!!!
「分かったよ。そしたら今日は一通り家事終わらせちゃうから明日以降は暫く一人でなんとかしてね?お金はあるでしょ?」
「……ある。」
「了解。足らなくなったら連絡してくれれば振り込んでおくから言ってね?」
「分かったから。もういいでしょ?私はゲームに戻る」
「時間取らせてごめんね。楽しんで」
うい~~~やっぱこうなったかーーー
こうなってしまっては仕方ない。暫く友人宅に泊めさせてもらって様子を見るとしよう。
俺は世話になっている友人に連絡をかけた。
数コールの内
「ういっす旦那!今日はどないしたん?」
「友人にお願いが……暫く泊めてくんない?理由はアレだ」
「…ようやく気付いたか。わかったよ、今日からか?」
「できれば今日からお願いしたいかな。家事全般終わったら向かうから・・・お昼前ぐらいかなー」
「あいよ。今日は家にずっといるから好きなタイミングでこいや」
「ありがと!また後程!」
さすが友人理解が早くて助かる。ちゃっちゃと終わらせて向かうとしますか。
俺はゲームに没頭する嫁ちゃんに何も言わず、そのまま家を出た。
こんな嫁、私だったら速攻見限ってますね、はい。 ※作者




