ダンナ達の日常3
「これで最後っと!」
何往復したか覚えてない程の教材を運び終え、教壇に項垂れる。こうなるって分かってたのに避けられないのは運命なのか不運なだけなのか…
「ご苦労だったなダンナ。いやー助かった助かった!」
「次からは前もって言ってくださいよ?いやマジで」
「ん?という事はこれからも君を頼りにしていいということだな?」
ニヤリと口を歪ませる担任。前回はここで承諾してしまったから、後にコキ使われた。…だが、今回は違う。
「そういう事じゃなくて、忘れるなってことですよ?オブラートに包んで言おうとした俺の気遣いを察してくださいよ…」
「いやな?君はなんだかつかいやす……じゃなくて頼りになりそうと私の直感が訴えてるんだよ」
「言い直した所で手遅れって気づけアホ」
しまった!この時代の担任は前の俺と同い歳ぐらいだからか、素のツッコミをしてしまった。
恐る恐る担任の方を見てみると、怒っていると云うより虚をつかれたような顔をしていた。
「ダンナ」
「はい」
「今の感じが君の素なのか?」
「……はい」
担任は手を顎に当てて、数秒沈黙し
「よし!私と二人だけの時は素手対応していいぞ!」
「え?なんでですか?結構やっちまったー感あったつもりですけど…」
「一人ぐらい気安く話せる生徒がいてもいいと思ってな?けど勘違いするなよ。馴れ馴れしくしたり、見逃せない対応をしたら容赦なく鉄拳制裁するからな?」
「じゃあずっと敬語を貫きます」
「許さん。職員特権、歳上命令、答えはYesしか求めてない!」
あれぇ?担任ってこんな残念な『何か言ったか?』……距離感の近い素晴らしい先生だったっけ?
どちらかというと少し抜けている所があるが、基本真面目でルールを重んじる人だと思ってたんだけどなー。いやマジで。
「まぁそういう事ならわかり……わかった。担任がそこまで言うなら善処するよ」
「宜しい。何か悪くないな、こういうのも!」
「ソ、ソウデスネー鉄拳制裁無ければ文句無しなんデスケドネー」
「……試しに一発イッとくか?」
「結構です!それよりも担任、ご飯奢ってくれるんだよね?流石にお腹すいたよ」
やや不服なのか、眉間が寄っていたが担任も切りかえて
「そうだな。んじゃあ私は一度車の鍵を取ってくるから、ダンナも帰り支度済ませて駐車場の方で待っていてくれ」
「了解。何食べさせてくれるの?」
「ふっ……それは着いてからのお楽しみさ」
不敵に笑い、職員室に戻って行く担任。少しだけ前回と違う流れになってしまったが、昼飯奢ってくれるなら万事OKだ。
俺はササッと支度を済ませ、駐車場に向かった。
因みに奢ってくれたご飯はチェーン店のラーメンだった。……美味しかったからいいけどね?いやマジで。




