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すんません 、「俺」は、記憶ないっす  作者: 志奏
三章 「果つることなき想いは再びに」
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96話 バイバイ



三章 九十六話 「バイバイ 」



どうしよ…… シスターさん? に申し訳なさそうな、顔をさせてしまった。


こりゃ罰が下るか? 勘弁してくれよ。

とっくに罰なら下って…… いや、この後すぐに学校という晒し場で受けるんで。



「とんでもないです。挨拶ができる子なんて、今時珍しいくらいですよ。きっと、素晴らしい方に教えを受けているのだと思います 」


「そう言っていただけると、とても励みになります」


「あの…… 聖職に順ずる方ですか 」


「はい。あの子達の面倒を見させていただいてるので、先程のお言葉はありがたく感じております 」


「これは失礼を…… とても良い子達ですね、私の方が見習うところが多そうだ 」


特に物事を素直に受け取る辺りとか…… なんでもかんでも、悪い方から考えるので。


「ご謙遜を…… そちらの方と同じ学校の方でしょうか、貴方様はお洋服を着ているので 」


そういえば、対抗戦ってやつなのに俺は変わらずのジャージで来てるんだった。


「向かう場所は同じですが、私は学生ではありません。仕事…… と、でも言うのでしょうかね 」


「なるほど、ご兄妹睦まじいのは喜ばしい限りです 」


「ごきょ…… そ、そうですね。睦まじくとは言えないかもしれませんが 」


睦まじくだと? 冗談キツイっすよ。

いや、俺から言ったのかもしれないが。


「仲が良いからこそ、妹様はそのように身を預けて寝ておられるのでは 」


寝て…… あっ、たしかに寝てる。

どうりで、静かなわけだ。


絶対起きてるでしょ? わかってますよ。


「まだ子供ですので、こういうところがあるのは嬉しく思うべきなのでしょうね 」


「ふふっ、良き思い出になることと思います。長くお時間を頂戴してしまいました。お許しを…… 私達はもう降りるので、失礼致します 」


「こちらこそ有意義なお時間をいただけて、感謝致します 」




その後すぐに、バスは止まり、シスターさん達は降りていく……


「お兄ちゃん! バイバイ! 」

「だ、誰? 」

「知らない人と話しちゃダメ! 」


そっかあ…… 君らも寝てたもんね。

後でお姉さんに聞いてちょうだい。


「バイバイ 」


「それでは…… あっ、これも縁です。一つだけ 」


「? 」


英語 {良き1日をお過ごしください。主と精霊が貴方を見てくださっています }


「これはこれは…… なら 」


英語 {感謝を、貴方とその子供達にも主と精霊のお導きがあることを願っております }


「!? ふふっ、ありがとうございます 」


「こちらこそ、良きお言葉を頂戴致しました 」



降りて行っちゃった…… 寂しくないよ?


「お兄さん、英語できたのかよ 」


「たまたまっすよ 」


そりゃ女将さんに、鍛えられたんで。


「あの美人さんには、手を出すなよ? みんなのアイドルさんなんだからな 」


「ははは…… そんな度胸があったら、学校休みます 」


「休みたいのかよ!? 全く、仕事してる時の仲居さんはどこ行った? 」


「旅館で、いつでもお待ちしております 」


「ははは! そっかあ、そうだな! 」


「ヘヘッ、そうです 」


さて、あともう少しで着くかな? 松柴さん、今日は先に行ったのかもしれない。


席に戻ると、寝ている妹様らしいものがいる。


「ふぅ…… 」


なんか、楽しかったような…… ような気がする。


「ショタ、ロリ、そしてただのナンパクソ野朗さん? 楽しそうでしたね? 」


「!? …… お、お、お、お…… 」


ドッキリ!? こんなの、心臓がいくつあっても足りないから、やめてください。


「お、が何? 金髪のシスター…… いたかにも好きそう 」


「なんでですか…… 話してただけっすよ 」


たしかに2次元寄りだったら、すんごいタイプかもしれん…… でも、3次元だから。


「あらそう…… 英語使うのなんて仕事以外で、したっけ? そもそもできたっけ? 」


「た、多少は…… 」


「へぇ…… それで? 妹ってなに? 」


「それは…… 話しの流れで…… 」


間違ってないよね? あそこでは、アレが正解だったよね?


「ふぅ〜ん…… お兄ちゃん? お兄様? 」


「ごめんなさい…… マジでごめんなさい 」


キモいキモい! 似合ってないっす!


「ロリショタナンパの三拍子揃ってる奴の、妹なんて…… 絶対嫌! そう思わない? 」


「サー 、イエッサー! 」


わかってる、それに俺もこんな恐怖ばかりを与えてくる妹なんてごめんです。








ーーーー "この時"の俺は何を考えていたかな…… 目先の面倒事ばかり考えてたよな。


この時出会ってなければ…… いや、この時バスに乗っていなくても、出会いはあったかもしれない。


どこからやり直せばいい? この出会いを無かったことにできるなら、俺は女将さんをねじ伏せてでも、あの校長を跪かせてでも、警備員の仕事を引き受けなかっただろう。


だが…… おそらくはダメだ。

旅館で仲居をしていても、何かの縁で宿泊に来たかもしれない。不意に外に出た時に、会っていたかもしれない。


やり直すことを考えても、どうしようもない。

起きたこと、したこと、それらは等しくやり直せないようにできている。


出会いは良いことばかりではない。出会わなかった方が良かったなんてことは、この世界どこ見ても溢れてる…… 俺はどっちだ?


わからないよ…… "今"となっては、何もわからない。幸せはあったはずなのに、なんで…… わからないと思ってしまうのだろう。


過ごした思い出はたしかに幸せで、得た思い出はこれ以上ないくらい幸せで、そして…… ただただ幸福を感じる時間だった。


この想いはいつまでも変わらない…… それが何よりもーー




























ーー 悲しくて、憎くて、それが何よりも嫌なんだ




最後まで、読んでくれてありがとうございます。


ちょっと、最後の最後に暗めでしたね…… このシスターさんは良い人っすよ〜…… マジで良い人っす。


最後の追想は、戻ってる状態なのか、戻ってない状態なのか…… 話し方でわかってしまう可能性が。


このシスターさん達が出てくるのは、もう少し先のお話しなんです。それで…… この追想、想いは、三章最後ら辺でしょうかね。

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