82話 ただの興味か、それとも
三章 八十二話 「ただの興味か、それとも 」
くそ…… なんちゅうことを言い出してくるんだよ! そりゃ普通のこと言ってるよ? でも、こっちの都合で申し訳ないが、その話題はいらんわ。
「さささ桜守さん? だい、大丈夫だから! 早くお昼を食べようぜ! 」
どんだけ動揺してんだ俺は! これじゃ逆に怪しいわ…… 慣れないことをすると、いつもボロが出る。
「し、師匠!? ほんとに大丈夫ですか? さっき詰まったのが変なところに入ったんじゃ…… 」
「てか、口調も変だぞ 」
「べっ別に変じゃねーし! いつもだし変なのは 」
言ってて悲しくなるけど、今はしょうがない。
「師匠? あからさまにオカシイですよ 」
「お前…… 何した? 」
「何もしてねぇよぉ…… お腹すいたんだよぉ…… 早く行くべし! 」
はぁ…… オカシイなんてもんじゃねぇ、ただの変な人になってるよ。
「凛誉…… アンタが動揺してどうすんのよ 」
「宮田さん…… 墓穴掘ってます 」
「何言ってるんすか二人共! 俺は腹へったんすよ、それだけっすぅ 」
「それよりさっき言ったんですけど、よければお世話になってるので、ご両親に挨拶させてほしいです! 」
「うぉっほ! うぇっほ! い、いいんだよ! ご両親ってなんだ? 二頭身より上ってか! 」
何言ってんだマジで…… 呂律も回らないし、言ってることが支離滅裂通り越して、ただ発してるだけになってる。
「師匠、ほんとにどうしたんです? 」
「どぅぁから!どぅぉもしねぇって! 師匠だぞ、マスターだぞ! 」
さっきまで散々と、師匠って呼ぶのをやめてほしいって思ってたのに、まさか利用する考えに発展させるとはな…… 会話の流れは怖いね。
「師匠…… 」
「もしかして…… 私ら地雷踏んだか? 」
「珠希、地雷って? 」
「どうなんだよ…… 警備員さん 」
「地雷? 踏んだら爆発するだろう? 地雷ってなんだし、俺の存在が地雷ってか? なら納得 」
久野は勘が良いな、桜守も見習ってくださいよ。つーか、警備員さんって言われるのは気持ち悪い…… だっていつもは、お前か、オイッ! とかだし。
「はぁ…… どこで踏んだかわからんが、ごめん 」
「ごめんなさい…… 私、何かしました? ちゃんと理解して謝りたいです 」
やっばい…… こっちの都合で、しかも俺の独断で二人に悲しそうな表情をさせてる。
でも許してください! 俺も休日に、これ以上の鬱展開は阻止させていただきます。
「いいんだよ! 部屋に上げたのが地雷だったの、つまり! 俺は許した…… よし行こうか 」
何を許したの? 自分でツッコミなんて嫌だけど、無理ありすぎるし、しかも二人に申し訳なくなってきた。
「そう…… なんですか? 」
「はぁ…… こいつに言っても無理だな。郷橋と松柴、私らはどっちに謝ればいい? ほんとにすまん 」
「せ、先輩!? やめてください! 別に…… 何もしてませんよ 」
「みーちゃん…… 」
「な、なんでお嬢さんに行くの? 俺はなんなの? なんだよってか! 」
ほんとむちゃくちゃ言ってなるな…… 俺が聞いてる側だったら、迷わず殴って正気に戻すわ。でも、俺の力で殴っても正気に戻せねぇか。
「凛誉…… アンタが地雷源になってどうすんのよ。はぁ…… 先輩達には聞いてほしいかもって、思ってたからいい機会かも 」
「いいの? 」
「初絵もごめんね、変に気を使わせてさ 」
「ううん…… 宮田さんに使ってたよ 」
「え、俺っすか…… 」
「アンタが動揺しまくったせいよ…… でも、ありがとうね一応…… 一応だから 」
「そう…… ですね、俺がバカでした 」
お嬢さんが、自分の両親について二人に説明しようと、もう一度座ってもらってる…… 話すのか? だとしたら、俺は聞いていいのか?
知りたいとは…… 思っている。本当は聞かない方がいいのかもしれない…… 知らないくてもいいのかもしれない…… なんで知りたいんだよ。
ただの興味か、それとも。
「郷橋さん、何も無理に言わなくてもいいですよ。私達は郷橋さんが楽しく部活に、参加してくれる限りは秘密とかにしたいことは、秘密でもいいです 」
「私は聞きたい…… これからも部活してくなら、触れない方がいいものは何かってことくらいは把握しておきたいんだ 」
「珠希…… でも 」
「私は聞いてほしいです…… 先輩達がよければで 」
「なら…… 聞かせてほしいです 」
「初絵もごめんね 」
「なんでみーちゃんが謝るの? 宮田さんの方が土下…… 動揺してたし 」
「ほんとごめんなさい 」
松柴さん…… 俺の土下座の許してくれるなら、手を天に向けた最高の土下座を披露しますよ。そのあとに、むこう10年奴隷って言われても受け入れます。
「お嬢さん、俺は出て行ていった方が…… 」
聞いてはみたい…… でも、許可もなく聞くのは良くない。2人には話したいとは言ったが俺は含まれてるか、わからないからな。
「あれ、アンタは知らないんだっけ? 」
「え、あぁ…… 知らないです 」
「なら丁度いいか…… 来て4年目? だっけ、聞いてくれる? 」
「5年だか4年だか…… 聞きます 」
お嬢さんが口を開く…… なんでかな、俺はとても緊急してるよ。
「まず、私に両親はいません…… 亡くなったんです 。それでそこのバカが、さっきは取り乱したんだと思います 」
「え!? じゃ、じゃあ…… 私達が言ったことって…… ごめんなさい…… ほんとにごめんなさい 」
「だ、だから謝らないでください! 先輩達は、普通のことをしようとした、だけですから 」
「で、でも 」
「緋夏…… 私達は知らなかった、郷橋の言う通り今は悪いことはしてない…… だから今後は気をつけるぞって言わないと 」
「はい…… 」
「こんなこと…… 聞きたくないかもしれませんが、亡くなった理由も聞いてくれますか? 」
「え、郷橋さん…… それは 」
「それは、私達に言っておきたいことか? それなら聞いておきたい。これからも先輩って言われて、ゲームしたいからな 」
「お願いします 」
「みーちゃん…… 何も今は 」
「大丈夫、大丈夫よ…… 今が一番いい機会なの 」
たしかに機会としては、たぶんいい機会ってやつだと思う…… そう…… だよな。
「お嬢さん…… 」
「ちょっと暗くなるかもしれないです 」
「郷橋さん! …… またレースをお願いします! 」
「もうあそこの警備員さんが、これでもかってくらいにすべったからな 」
「ははは…… おっしゃる通りですが何か? 」
もういっそのこと、俺をいじり倒して終わりでもいいよ? その代わり引きこもりになるから弁護よろしくね。
「まず…… 私の両親は病死とかではないです 」
「事故とか…… ですか 」
「そうなのか? 」
俺は何を想定した? 何もしてない…… 言われたことに反応して、答えたいって思った。
でもお嬢さんの口から出たのは…… 反応できても、答えを出してあげることのできないものだった。
「いいえ、私の両親はーー 」
ーー殺されました




