74話 言っちまった
三章 七十四話 「言っちまった 」
一体、どんな話しなんだろう…… 頼むから気楽に済みそうなことで頼むよ。
「お兄さん、覚悟はいいですね? 」
「いや、覚悟が必要ならやっぱり俺はーー 」
「聞かないのかよ、5人目兼サボり警備員 」
「聞きなさいよ、ここまできたら 」
「チキ…… 聞いた方が良いかと…… 」
はぁ…… もうここに来た時点で、聞くってことになるのかな? なんで、昨日のうちに教えてくんないのよ、そしたら来ないのに。
「わかったわかった、教えてくれ桜守 」
「ちゃんは? 」
「もう許してください 」
それは、黒歴史入り確定だからもうやめてくれ。
「お兄さん 」
「なんだ? 」
「この前、部活の張り紙の撤去や入部希望者への圧力、これらがされているというのはお話し、しましたよね 」
「あぁ、生徒会様からの圧力だっけか? 」
最初聞いた時は絶対やりそう、あの会長ならって思ったよ。え、ここでそれを言うってことはつまり…… 嫌な予感しかしない。
「はい…… そして、これも言いました。学力対抗勝負なら、生徒会の圧力に異議を唱えることができるって 」
「聞いたな…… それか 」
なんて血の気の多い学校だよって、思った。それでその勝負には、俺の役に立てる要素がないってことも知った。
「はい。ついに来ました、部活の活動停止を求める声明を…… 今日の全校集会で、堂々と宣告されちゃいました 」
「マジか…… 」
あの校長にも、その時が来たら考える的なことを言ったが…… その時が来ちゃうとは。
「アンタ、聞いてなかったの? 全校集会で宣言したのよ? 」
「お嬢さん…… 俺は今日、その時間にはお花さんの蕾達と戯れてたんで 」
まさか水やりに、あんなに手順があるなんて知らなかったって、勉強にもなったんすよ。
「水やりって…… 何してんのよ 」
「それも仕事内容…… いや、個人的にやってみたくなっただけかもです 」
「またサボりか 」
「ちげーよ、とにかく俺は聞いてなかったよ。その集会でのことは 」
決してサボってたわけじゃない。田嶋さんの仕事をこの仕事を知る為に、必要かなって思ったんだよ…… まぁ実際、ただの花壇のお世話だったが。
「では改めて…… その集会にて、廃部される部活を発表されて、それがこの部です 」
「そうか…… 結論は? 」
「絶対に認めません! 」
うお、言うかなと思ってたことをまんま言ってきやがったわ…… 数日なのに、わかってる自分がすごいな。
「なんとかなるの? 」
「対抗勝負なら…… それ以外は、無理だと思います 」
「一応、学校の部活動なんだからさ、先生とかその他の大人に頼めない? 」
「無理だな。先生達も生徒会の出した、発表内容に概ね賛同してたからな 」
「どんなアンチ内容だよ、非生産的な部活ですってか? 」
「主な活動内容に、学校への貢献、大会等での表彰、又…… 入学希望者へのイメージを悪くする。以上が、生徒会から発表されたことです 」
「はは…… お堅いことで 」
どんな偏見だよ…… ゲームしてるだけで、悪くなる印象なら何しても、悪くなると思うけど。でも、そんな抽象的なことを考えてもしょうがない。
「私は…… 先輩達の部活をバカにされたみたいで、ムカつきます 」
「お嬢さん…… 」
「郷橋さん…… ありがとうございます。でも、こうなると対策がないんですよ 」
「だな…… 生徒会の力って、うちの学校だとチートレベルまで強いから 」
「先輩…… でも…… でも! 」
「みーちゃん…… 」
おい俺? 何を考えて、何を言おうとしてるのか…… もう一度よく考えろ。
それを言うと、間違いなく自分に面倒なことが押し寄せてくるし、何より力になれそうにないだろう?
だから…… 無責任なことは言ってはいけない。大人として、この子達にも学んでもらう為にも。
でもさ…… こんなのが学びなのか? だとしたら、よっぽど頭悪いまんまでいいじゃないか。
はぁ…… 俺も学習しないアホだわ。
「あるだろ…… 対策 」
「お兄さん? 」
「ねぇよ 」
「聞かせてよ 」
「宮田さん? 」
「さっき、桜守も言ってたろ? 学力をもって…… 異議を唱えればいい 」
言っちまった…… これに関しては、なんの力にもなれないのに言ってしまった。
「お兄さん…… それって 」
「お前…… マジかよ 」
「そう…… そうですよ先輩! 学力対抗勝負なら、あの人達も文句ないですよ! 」
「みーちゃん…… でも、対抗戦は生徒会の人達と科目別に、テスト勝負みたいのがあるんだよ? 」
「勝てばいいんだよ! 」
「で、でも…… 」
「私さ…… 悔しかったんだ初絵。まだ全然、日は浅いけど…… この部活と先輩達が、蔑ろにされてるって思ったら、悔しくてたまらない! 」
「私だって…… そう、私も…… 悔しかった 」
「初絵…… 」
「お嬢さん、松柴さん…… 」
あらま…… お嬢さんがここまで、ご心酔されるとはな、君ら2人はよっぽど良い先輩なんだな。
それに、松柴さんまで口に出して悔しかったってか…… こりゃ生徒会様が、よほど酷く罵ったかな。
「郷橋さぁん…… 松柴さぁん…… 私、私ぃ! 」
「緋夏…… ちょいオーバーだ。でも、嬉しいな…… こんな風に言ってくれるなんて 」
「できませんか? 先輩 」
「やります! 絶対に勝ちます! 大会の前に、打倒生徒会を掲げましょう! 」
「そういえば…… あれも5人必要…… ですよね? 」
「そこは心配ないだろ松柴、だって…… そこの言い出しっぺは元々5人目だろ? 」
「今に関して言えば、俺から振ったからな…… だけどな、本当に頼りにならんぞ勉強はな 」
面倒の覚悟はして、言っからな…… かと言って学力対抗戦に俺は、何一つとして貢献できるとは思えない。それはごめんな。
そんで、俺が参加する時の扱いが顧問代理だっけか? それは、あの時に校長から聞いたからな。まさか本当に、こんなことに関わるとは思ってなかったよ。
「アンタ…… 勉強できるの? 」
「言い出しっぺは、期待するぞ? 」
「お兄さんの真価を発揮する時です! 」
「宮田さん…… 言い訳がお上手ですよね 」
「言い出してなんだが…… 勉強はできない。だから俺は数合わせ程度に見てくれ 」
それからね、言い訳がお上手なのは別に勉強とは関係なくね? それと…… 真価って何よ。
「ま、だよね 」
「うはぁ…… 早速ピンチだ 」
「お兄さん…… でも、嬉しかったですよ! 」
「宮田さんは…… 宮田さんが定期 」
「悪いな…… 勉強してもいいが、付け焼き刃の学力じゃどうにもならんだろ? 」
俺は俺が定期って…… 俺がダメの概念、そのものってか。さすがだぜ、松柴さん。
「今、どのくらいの学力をお持ちですか? 」
「うーん…… 数学ではなく、算数のレベルと国語は専門的になると、ちんぷんかんぷん、英語は書くことができないです 」
これでも盛ってる…… たぶん、もっとひどい。
「それは中々…… 一か月くらいあれば 」
「勉強してもらえるのにな 」
「時間制限あるのか? 」
「えーっと…… 3日後に対抗戦で勝てなければ、そのまま申請通ります 」
「え…… 3日? ワン、ツー、スリー? 」
「はい、ワンツースリーを挟んでの月曜です 」
「そりゃあ…… 急っすよ会長さぁん 」
これは詰んだろ…… なんてこったい、まさか3日後に死刑宣告受けたとはな。
それに3日じゃ…… どう勉強したって間に合わねぇよ。そもそも勉強なんざ、したくねぇし。
それでも言った手前、やってる感は出してやろうと思ったが…… 3日じゃ無理だお。




