73話 悪ノリで
三章 七十三話 「悪ノリで 」
大会に参加すると、因果を捻じ曲げられてから2、3日が経過した。
俺もずいぶん慣れたもんで、職員室に行くと、警備員さんおはようございますって、声を上かけてくれる生徒さんがチラホラ。
挨拶されることは素直に嬉しい、けど…… やっぱりまだ、恥ずかしい。できるなら、トイレに逃げ込みたいんすわ。
「さてっと…… そろそろいくか 」
もうお昼だし、部室に顔出そうかな…… おい! 俺はいつから、学生みたいなこと考えるようになった?
「今日は、だいぶ遅く行くんだね 」
「田嶋さん…… そうっすね、今日は初めて田嶋さんがいつもしてる、花壇の世話と校庭の整備をやらせてもらったんで 」
なんで、仕事なんてしたくないと思う奴がわざわざ手伝うかって? そりゃ…… いつものサボり仕事ばっかじゃ、田嶋さんに申し訳なくなってきたんだ。
決して、ここでの仕事を真面目にしようとかではない、一応は先輩の…… それも感じの良い人だから、俺は手伝ってやるかって、思っただけで。
「気にしないでくれって、アレはもう僕の生きがいになりつつあるからさ…… 花が咲いたら、本当に綺麗なんだよ 」
「でしょうね、あんだけ大事にされてるんじゃ、花も綺麗になってやるって思うと、思いますよ 」
「そんなこと言われたの初めてだよ! ありがとうね。宮田さんは優しいから向いてるよ、この仕事 」
「いやぁ…… そんなことはないっすよ。それに、優しかったら逆に向いてないような気が…… 」
優しくはないが、もし仮に優しい警備員なんていたら、そこはさぞかし侵入とかしやすいんじゃない? 俺なら侵入して捕まって、許してください! ごめんなさい! って、涙ながらに訴えて許しを乞う。
「向いてるって、もうすっかり慣れてきてるじゃないですか! 」
「そうですか? そう見て頂けてるなら、少し自信がつきます。それじゃ、行ってきます 」
「警備よろしくお願いしますね、また一緒に世話しましょう 」
「警備はお互い様ですよ、俺の水やりじゃ満足できないかもですね…… お花さんが 」
「あははは! 大丈夫、えり好みはするなって躾けてあるから 」
「それなら安心っす 」
ーーーー 田嶋さんと別れて、ゲーム部まで行く。
「あ、職員室でカップ麺…… 買ってくれば良かった 」
今日も定価で売ってくれるだろな、後で行って、売ってもらおう。
お昼だし、もうお嬢さんと松柴さんも来てるかな。
「うぃーす、今日は少し遅くなった…… 」
部室のドアを開けて、いつものテンションで入ったつもりだが…… そこにいる部員達は、どう見てもいつもとテンションが違う。
お嬢さんと松柴さんも来てる。あとは、相変わらずの桜守と久野だ。
みんな…… テーブルに座って、顔をうつ向けてる。なんだそりゃ? 全員でゲン○ウ司令ごっこか。
「こんにちわん! 」
俺なりに、バカなりに、アホなりに、気を使ってテンションの高い挨拶をしてみた。
正直…… しない方が、良かったと思う。
「…… 」
「…… 」
「…… 」
「…… 」
見事なまでの、ガン無視か…… やめてくれよ、より一層バカみたいだろ。
「どうした? 鬱展開は、似合わないっぞ! 」
「…… 」
「…… 」
「…… 」
「…… 」
マジで、ゲン○ウ司令ごっこ? なら俺はシ○ジ君やるよ? ここで叫ぶぞ。もうやめてよ! 無視なんてやめてよ! ってな。
「桜守ちゃん? 久野ちゃん? どうしたのん、今日はゲームも起動せずに、会議かなんか? 」
「…… 」
「…… 」
桜守まで、このテンションについてこないか…… 俺一人だけ、道化かよぉ。
「お嬢〜さん! 松柴さん! 二人は練習とかいいんですか? 一応は俺も、腹くくって参加するんですから、頑張ってくださいよぅ 」
「…… 」
「…… 」
今日は、より一層厳しそうな顔っすね…… お嬢さん。松柴さんは…… 素かな? それ。
「本当にごめんなさい、降参です。何かあったのなら教えてください 」
「ぷっ…… 」
「桜守? 」
「ククク…… あははは! ごめんなさい、お兄さん。ちょっと悪ノリがすぎたかもです 」
はぁ…… 良かった〜 てっきり、ハブられてるのかと。だが、桜守はいつもの感じになったが…… 他の三人は、変わらずのままだ。
「ホントにビックリだよ。んで? こりゃどういことだ 」
「お兄さん…… 桜守ちゃんって…… クスッ 」
「忘れてくれゃれ 」
マジで忘れてくれゃれ…… できることなら、タイムマシンに乗って、数分前に戻りたいよ。どこで作れるの? タイムマシン。
「教えてくれよ、何かあった? 」
「あったというか…… 起こるべくして、起こりましたって感じです 」
「ヤバめか? 」
「ヤバめです 」
「そうか…… よし、俺は関係しない方が良いよな 」
「いやぁ、関係してくださいよ 」
「勘弁してください。聞こうとしただけで、まだ聞いてないから、関係したくない 」
「なら聞いてくださいよ…… 大変なんです 」
「他の三人も、そのヤバめが関係してる? 」
「全員それです 」
「みんな沈黙してるけど、いいのか喋って 」
「それなら…… みんな! 喋ってオッケー ! 」
「はぁ〜 ! なら、喋るか 」
「先輩達に続いて、喋ります 」
「疲れ…… ね 」
桜守の、なんとも言えない単純な号令で…… この子達喋りだしたんだけど。一言だけ言わせほしい、君ら…… なんのつもりやねん! ってな。
「それにしてもアンタ…… 」
「なんすか、お嬢さん? 」
あれ? なんか顔が険しいから、変わってないっすよ〜 もう終わりなんじゃ?
「先輩達を、ちゃん付けって…… キモい 」
「あ、あぁ…… 悪ノリで…… すいません 」
自分でも、恥ずかしかったんです! 許してください。
「私はアリだと思いますよ! 中々、萌えました 」
「萌えをナメんな、あと忘れてくだち 」
「私も萌えたぞ、久野ちゃん? だっけか 」
「忘れてください…… 皆様 」
できるもんなら、今すぐ忘れてほしい…… または無かったことにしたいよ。なんかのマンガを参考にするなら、( 無かったことにした ) ってスキルを習得したいです。
「ロリコ…… 幼女趣味…… 」
「松柴さーん、それ…… どっちも同じです。それから、どっちも違うんで 」
「松柴さん! この中の誰を基準に、ロリコンって決めました? ちなみに私は、発育途中なだけです! 」
「桜守…… 成長しろって、精神的に 」
それに、俺から見たら全員子供だし…… 言わないけどね、言ったら確実に逝かされる。
「どう意味ですか!? お兄さん 」
「まんまの意味だ 」
そうだ、成長しろ…… もう肉体は諦めろ。精神的にお姉さんになれば、きっとモテるからさ。
「だからどういう…… まぁいいです。さて、それじゃお兄さん? 聞いてください 」
「ですよねー 」
一体、何を語ってくれるんだ? 前も言ったが、鬱展開だけはやめてくれよ。そういのに耐性がないんだよ。
だってさ…… 前、お嬢さんと松柴さんが、部活云々で揉めた時、少し漏らしたんだからよ…… 漏らしちまったんだよ……
やっぱり、タイムマシィィィィン!!




