68話 願ったり叶ったりだ
三章 六十八話 「願ったり叶ったりだ 」
ニコッとしているから、無視してるわけではないよ? だから怒らないでね…… いや、やっぱり怒っていいかも。
「どうした、高校生が挨拶できるのに君はしないのかい? 」
この校長には、なぜか反抗期みたいな俺がいる。
「…… えへへ 」
「笑っているのと、挨拶をするのは全く違うぞ? 」
「そうなんですか? 外国じゃ、スマイルも挨拶って聞いたんですけどね 」
「ここは日本で、さらに学校だ、生徒達の手前だぞ君も挨拶をしなさい 」
一貫して、この態度を貫こうとしているのを察知したのか、お嬢さんが声をかけてくる。
「ちょ、ちょっと…… 何意固地になってんのよ? 挨拶しないさいよ 」
「宮田さん? 」
松柴さんにも、不思議がられてるな…… だよなぁ、普通は挨拶するもんな。
「だから挨拶してるんですよ、これで 」
「何バカなこと言ってんのよ、おはようございますって返したら? 」
「君がそんな態度だと、関わっている者全てに対して偏見を持つことになるかもしれない、大人として常識を身につけなさい 」
「へぇ…… 備わってない人間に、そんなことを言われるなんて思いませんでした 」
「ホントにどうしたの? そんな子供みたいなこと…… らしくないよ 」
「郷橋さんだったかな、君の方が常識人のようだよ? 」
たしかに…… 子供みたいなことしてるな。さっき、お嬢さんによろしくねって、言われたっけ…… やめるか。
「ゴホッ、ゴホッ、すいません喉に何か詰まってたみたいで、挨拶を忘れてました 」
「どんな言い訳よ…… 」
「宮田さん、さすがに…… 」
「詰まってたわりに、よく喋ってた思うが…… まぁいい、もう一度言う…… おはよう 」
「おはようございます 」
さすがに詰まってるって…… アホすぎて、失笑買ったわ。
「今日も、職務に励んでおくれ 」
「ほどほどに頑張ります 」
「50点の答えだ。君達も、勉学に励みなさい 」
「は、はい! 」
「はい…… 」
そう言うと、校長様はさっさと学内に消えて行った。どうにも苦手だ、前にも感じたが…… 雰囲気が女将さんに似てるんだよな。
「バカじゃないの? なんで、あんな態度だったのよ! 」
「いやぁ…… 自分でもよくわかんないっす 」
「大丈夫? 早めに処方してもらうのが、いいんじゃない? 」
「処方より…… 処…… あれは、よくないと思いま…… す 」
処…… なんて言おうとしたの? それから始まる言葉って、物騒なのしか知らないんだけど。
「そうっすね、どこかで診療してもらいますか…… さて、お二人共ごめんなさい、行ってらっしゃいっす 」
「行ってきます 」
「行って…… きます 」
ーーーー 二人と別れて、俺は警備員室に向かう。
「おはようございます 」
「おはようございます、今日から本格始動ですね! 」
「そうですね、仕事は昨日教えていただいたこと以外に何かありますか? 」
「いや、特には無いですよ。今日も、タブレットだけ持ってどこかに? 」
やったね! てことは、ゲームしてオッケー ってことだね、違うね。
「居やすい場所があったんで、そこで監視してます。何かあれば、すぐに対処しますので田嶋さんは、のんびりと構えててください 」
「お、何かすごい頼りになる言葉ですね! 安心してお任せできそうだ 」
だって、基本なにも起こらないですよね? そうじゃないと困るんです。
「すいません…… やっぱり、半分くらいに頼りはしてください 」
「どっちですか!? でも、わかりました。お互い頑張りましょう 」
「よろしくお願いします 」
俺はそう言って、待機室から出る。
「さて…… 今日は、何を消化するかな 」
今、頑張りますって、言った直後なんだけどな…… でも、これが俺だ! クビにしたきゃどうぞ。
そんなことを考えながら、ゲーム部がある場所まで行く。
「お、開いてるな…… うぃーす、来ちゃった 」
「あ! お兄さん! 」
「うぇ…… 」
声に出たか? でも許してね、君は元気だし話しを聞かないタイプだから、どうしても苦手反応が。
「うぇって何ですか!? 」
やっぱり聞こえてたか。
「いやぁ、朝から階段を登ってね…… そんで体力が底をつきそうになったんだよ 」
「すごい理由ですね…… 私なんて、毎日階段を行ったり来たりしてるんですよ? 」
「そりゃ学生の本分だから頑張れ、俺は学生じゃないから頑張れない 」
「本分は勉強ですよ…… 今日も、来てくれたんですね 」
「サボれる場所がないからね 」
ホントそれに限る、ゲームしてるのも仕事してることなるって…… 舐めんな! って言われそう。
「クビになりますよ? 」
「そりゃいい、願ったり叶ったりだ。俺は、むいてないのこの仕事 」
「すごい人を雇いましたね…… この学校 」
「だよな、俺もそう思う…… しかし、そのおかげでこの部にはゲームが増えるぞ 」
「え、それって 」
「その通り! これを見ろ! 」
俺は、恥ずかしげもなく袋に詰めてあったゲームを広げる。
「す、すごい量ですね! これ全部お兄さんのですか? 」
「あったり前よ、だけど全然足りないよこれでも、今持って来てるのが2、30本だろ? まだ、積みゲーは 山のようにある 」
「私がやりたくてしょうがなかった、死にゲーまである…… これをこの部に? 」
「やらん、だけど…… 俺がこの仕事に就いている間は、ここに置いておくからやれば? 」
「本当に!? すごいですよ、ありがとうございます! 今、やってもいいですか? 」
「どうぞどうぞ、交代してって頼むかもしれないから、そん時はよろしく 」
あれ? 俺は、積みゲーを片したかったのでは?
ま、いいか…… 俺が持って来たのを代理でやってもらう、これは俺がやっているのと同義だよな。絶対違う気がする。
「お兄さんもやりましょう! 」
「協力プレイはないぞ、その死にゲー 」
「なら、協力ありのやつをしますよ 」
「好きなのやれって、俺はちょい疲れからそこのマンガ読んでる 」
そーそ、この部にはマンガも結構ある。俺は、あんまし書籍は買わないから、ラッキー だ。
「おススメはですね〜 」
「おう、どれだどれだ? 」
俺は部長さんおススメの、漫画を読むことにした…… ホント、サボってばっかだわ。
ごめんなさいね、きっと警備費とやらも親御さん達が学費と一緒に払ってんるんだろうけど、この光景を見たら殺意沸くだろうな。
でもぉ! 言い訳させてね、俺はちゃんと仕事してるんだよ? 怒るなら、校長に言ってね。




