45話 ぶっちゅぅぅした……
三章 四十五話 「ぶっちゅぅぅした…… 」
言われるがまま、原さんを呼び出してお嬢さんの興味につき合うことになった。正直言って…… やめたくなってきた、興味より痛い目にあうのがイヤなんす
「まさか、お前からこんなことに付き合ってほしいと言われるとはな…… なんか変わったか? 」
なんにも変わってません。そこで目を輝かせてる子に言ってください
「いやぁ…… ほんとなんでなんしょ…… 」
「見せてくれよ、凛誉! 私は期待してるぞ! 」
なにを? 生き恥ならいつも晒してるじゃないですか?
「期待しないでくださいよ〜 」
「で、どうする? 」
「は、はい!? 」
「このまま喧嘩みたいにすればいいのか? 」
「え? あ〜 …… えっとぉ…… まぁ…… 」
俺もわかんないっすよ
「煮え切らないな…… ほんとにいいのか、お嬢。」
「大丈夫! キメる時はキメるわ! 」
やめて! そんなんじゃないよ!? キメた時なんてないでしょ俺は!
「あんまし変な…… 」
「できるできる! 」
できないできない…… しかし万が一、できちゃったら旅館内での評価変わるよな。恐れられる男、いいかもしれないな
「じゃあ…… カッコつけてみます。うっうぅん! さ、3分クッキングしてあげます…… よ? 」
「お、おう…… 急にノッてきたな…… こっちも本気でいくぞ? 」
お嬢さんのバカバカ! ノッた俺も悪いけど、怖くなってきた
「き、き、来てどうぞ! 」
「よし…… いくぞぉ! 」
「よろしくお願いーーーー 」
3分クッキング? バカな…… 30秒クッキングで終わった
「ぐふっ…… いぃぃたい…… たいよぉ。」
「お嬢…… なんかイジメてる気分が…… 」
「…… うそでしょ? 」
「宮田のやつ、躱す動作っぽいのはしたけど…… これですよ? 」
「うぅ…… ひゃっぱり、むりでひゅた(訳・やっぱり無理でした)。」
パンチってあんな速いの!? てか、耐久の低さよ…… 一撃で終わった。痛ぇぇ
「相変わらずのへっぴり腰だったな、大丈夫か? 」
ほんとへっぴり腰でしたね。そもそも一般人に躱せるか!
「らいひょうっす(訳・大丈夫っす)。」
「なんで…… あっ! そうか、あの時みたいな状況じゃないとダメなのよ! 」
何を言っとるんだこの子は
「も、もう勘弁っす…… 」
「状況ってどうすんのさ、お嬢? 」
「うーん…… 原さんが私を追い詰めるようなことをして! 」
「はぁ!? 追い詰めるって何すんです? 」
「胸ぐらを掴むとか、怒鳴るとか! 」
「あの〜 、さすがに無理だと思うっすよ? 」
やる前からわかる。てか、ツッコミどころしかないよその作戦
「いいから、やる! 」
「じゃあ、失礼して…… このガキィ! おら、そこの! どうなってもいいのか? あん? 」
おお、だいぶ迫力があるな。あん時のガキンちょ達とは違うわ
「は、離せ〜 …… 」
「助けなさいよ! 」
「いい加減にぶん殴るぞコラァ! 」
うーん、盛り上がんないな…… あっそうだ! 日頃の行いを悔いろお嬢さん!
「そ、そのままキツイお仕置きをお願いします! お嬢さん、これで少しは反省しましょう! 」
「え…… どうすんだお嬢? 」
「あの野郎…… 原さん、ありがとう。もう離していいよ。」
「いいんで? 」
「いいから、離して…… 」
「うぉ…… は、はい…… 宮田、お前終わったぞ。」
「原さん、なんで離す…… ひっ! 」
あの顔は!?
「ねぇ、どういう意味? 私も興味あったけど、あんたの為も入ってたのよ? 」
「お、お嬢様? もちろんわかってますよ〜 …… 」
般若の面として、お土産に売れるレベルだ。ほら、様付けしたから許して!
「じゃあなんで助けるどころか、むしろ相手を応援してるの? お仕置き? あんたにこそ必要なことだと思うけど? 」
「そ…… そうですよね…… 間違ってました、ごめんなさい! 」
怖いから来ないで!
「怖がってる女の子を助けないのはどうなの? 」
それは無理あるよ、お嬢さん…… でも聞かないよね
「今は俺が怖いっす…… 」
「そう、それじゃ覚悟しなきゃ! 」
「はは、お嬢様の寛大さを実感しておりーーーー 」
まるで、ベイ○ー卿だ…… BGMが聴こえてくる
「こんのぉ、へっぴり腰野郎がぁ! 」
「へぶんっ! 」
俺は…… 地面に唇をぶっちゅぅぅした……
「あ…… う…… ぅぇ 」
「反省しろ、アホ! 私は旅館に戻る! 後はよろしく原さん! 」
「イエスマム! 」
「生きてるか? それとも三途の川を渡る最中か? 」
「川まで行って、引き返して来ました。まだ積みゲーが山のようにあるんで…… 」
ほんとに川までは行ったな。それにしても、お嬢さんの理不尽な台風が日に日に強くなってる気がする
「まぁ、その…… なんだ、若いうちは色々経験を積んで成長するんだよ。」
「こんな経験で成長したくないっす。もっとイージーモードで練習させてください…… 」
「それにしても弱いなぁ! ほんとに悪ガキ共を倒したのか? 」
「今日の経験でわかりました…… あれは何かの間違いでしたね。人間なら一回はある、普段できないことができちゃったみたいな? 」
「なんだよそれは。」
「ほら、ルービックキューブとかできないのに一人部屋に閉じこもってたら、なんかできちゃったとかありません? 」
「わからんな…… まぁいいか、歩けるか? 」
「無理っす…… 」
マジで立てないよ
「寮までは運んでやるよ。」
「すんません。」
その後、寮まで運んでもらい少し休み、喧嘩とかじゃダメでも膂力そのものは高いのかを検証した。
結果…… 前と何も変わりません! 布団の持てる量で確かめてみたけど、一枚も増えてません! この役立たず!
そして、また寮に戻ってくる
「休日を半分は無駄にしたな…… 最初は割と楽しかったような気がする。」
明日も休み貰ってるから、明日こそ休もう…… ハッ! そんなこと考えたら、またろくでもないことが…… って、毎度毎度はないよねさすがに
「まだ痛ぇ…… しばらく痛いな…… やっぱりお嬢さんが倒せば良かったんすよ、あの時。」
ほんとなんだったんだよ、あの感覚…… やっぱり更年期? 今度病院行ってみようかな……




