40話 パンダみたいな……
三章 四十話 「パンダみたいな…… 」
痛すぎ、怖すぎ、やりすぎ、なんでこんなボロボロの俺に追撃してくれてるんですか。おかげ? なのかわからんけど、感情や思考で身体を支配できるよになったな
「おふぃふひまひはは(訳・落ち着きましたか)? 」
「何語よそれ…… 別に落ち着いてるから! 」
「み、宮田さんも…… 大丈夫ですか? 」
「大丈夫…… っす、色々とふいまへん。」
ビンタ効きすぎ、まだろれつが……
「全くバカなんだから、あのまま続けてたらどうするつもりだったのよ? 」
「どういう…… !!! 」
あ、マジでバカだわ俺。さっきまでと違って、鮮明に周囲の音が聞こえる…… 来るの遅えよ、市民のヒーロー
「はは、危うく前科持ちに…… って、もうなりつつあるかもですがね。」
「なんで? …… あっ! 」
「そうっすよ、そこでナイフ刺さって倒れてるリーダーさん、あれは俺のせいです。」
「違う! 」
「いや、これはやり過ぎです。お嬢さんも見たでしょう? 振り回すのに使った連中だって、生きてるかどうか…… 明らかに過剰判定もらうっす。」
やってる本人が認めてるから、間違いない。それに、いくら不良と言っても相手には中学生もいた…… 足で頭グリグリされたけど
「なら、助けてもらったって言う! あんたが最初はボコボコにやられてのも、私達を守ってくれたことも、多分見てたと思うから他の生徒達も。」
「かばってもらえて泣きそうですよ。でも、何らかの罰は受けるでしょうね…… まぁなんとかなると思うんで、大丈夫です。」
「でも…… でもさ! 」
「ちょっと待ってて、2人とも。」
「どうしたんすか? 松柴さん。」
「どうしたの初絵? 」
松柴さんが、倒れてる男の側へ行く
「うん、大丈夫。出血もひどくないし、それに急所も外れてる、これなら助かります。」
「松柴さん…… マジっすか? 」
え、何? めちゃくちゃかっこいいんすけど
「初絵、わかるの? 」
「うん、前にテレビを見て覚えたのと、その後にネットで調べたりしてね。でも、ほんのちょっとだけしか知らないけどね…… 」
「いやいや、それでも充分っす! それどころか、溢れて出る俺の感謝をどう表現したらいいか。」
女神に見えてくるレベルで感謝してますよ。さっきまで、死んでたらどうしようを、ずっとループしてたんで頭の中。
「私にはそこまでしなかったよね? 」
「感謝しまくりっすよ! でもあんだけ強いなら、できればお嬢さんが戦ってほしいなぁ…… と。」
いやほんとに、強すぎるわあのビンタ。あの一撃だけで、今日のダメージランキング堂々の一位なんすけど
「お前なぁ…… !!! 」
「どうし…… あっ。」
さっきまで泣いてたギャル子ちゃんが、こっち来た
「リクト君…… 助かるの? 私、捕まらない? 」
「大丈夫みたいですよ。」
逆に俺が捕まるのでは? と、不安でいっぱいですよ
「あんたらは助かったけど、何かしら罰は受けるはずよ。」
「は? なんで? 」
「なんで? わからないの? 」
「だってアイツがやったんじゃんこれ! 」
「あんた達が来なければ、何もなかった! 言っとくけど、絶対タダじゃ済まないから、何が起きたか…… 私の学校にいる大半の人が見てたと思うもの。」
「だって! あれはフった奴をシメるって、リクト君が! 」
「そんなの知らないから! 警察にそう言えば? 」
「もう…… 最悪! 」
「最悪なのはこっち!!! 」
「ちょ! お、落ち着きましょう! 」
「あんたの代弁も兼ねてるから、引っ込め! 」
「ご、ごめんなさい…… 」
こ、こえぇぇぇ…… 下半身よ、耐えろ! オシッコはトイレで漏らすんだ
「なんでこんな奴が…… 」
「ほんとよね、ちなみに私だって信じられないんだから! 人間どころか、虫に怯えて躓くような男よこいつは。」
「いや、さすがに虫には…… 」
お嬢さんいくらなんでも貧弱設定、盛りすぎです
「じゃあ、ゴキいける? 」
「あれは別です。」
「じゃあ、カブト虫は? 」
「子供のヒーローと戦うのはちょっと…… 」
「ほらね。」
「虫に怯えて躓く男でした、俺は。」
情けねぇ…… でもさぁ、お嬢さんの言ってる虫って難易度高くない?
「なんなのあんた、さっきまでとホントに別人…… 二重人格とかなの? 」
「え、何? あんた二重人格なんて設定だったけ? 」
「お嬢さんもすか…… 二重人格とかじゃないと思いますよ、もっと違う別の何か…… 上手く説明出来ないんですけどね。」
つか、設定ってなんやねん! 俺はデフォルトを貫く男だぞ?
そうこうしてるうちに、パンダみたいなカラーリングの車が数台やってきた。捕まるのかな?
ーーーー翠鳴学園内ーーーー
「おーい、緋夏? そろそろ体調は回復したか? 」
「まだお腹痛いです…… 昨日のちゃんぽんが来てますね…… 」
「ちゃんぽんかよ、それより…… 外が静かになったな。警察が来て片付いたか? 」
「そういえば、さっきまで騒がしかったですよね。お腹痛くて、それどころじゃなかったですけど…… 」
「さすがの肝だな、結構大ごとだったと思うけど? 」
「なら、珠希がやっつければよかったんです。余裕でしょう? 」
「私に何属性求めてんだよ…… 緋夏が心配だったからな、あまり気にしなかったよ。」
「むむ、カッコいい…… 私の方がお姉さんなのに。」
「お姉ちゃんが心配だったの〜 」
「ないですね。」
「ないな…… 」
「お前ら〜 、保険室では静かに寝てろ! 」
「「はーい。」」
ーーーー生徒会室ーーーー
「なんでこうなるの…… 普通に断っただけなのに、だから嫌いなのよ…… 底辺は。」
ーーーー学校長室ーーーー
「あの若いの、たしか旅館で働いてる…… 癪だが、久々に電話してみるか…… 」
「あの男と知り合いなので? 」
「ちょっと前に、うちの学校の生徒に届け物をしに来ただけだよ。知ってるのは、あの若いのを雇ってるババァさね。」
ーーーー 場所は校門付近に戻り ーーーー
パンダから人が出て来た…… 青い模様がよく目立つ
「これ…… 誰がやったんだ? 」
ですよねぇ、黙秘するか…… なわけにいかないよねぇ!
ーーーー これまでの経緯を説明した…… 正直、したくありません!
「君が? …… とりあえず、詳しい話しを聞くために一緒に来てくれるかい? 」
キッター! テレビでよく聞くけど、リアル超怖ぇ!
「よ、よろしくお願いします。」
「凛誉! 」
「大丈夫っすよ…… 多分…… 少額提訴くらいに! 」
一人、2000円くらいで許してくんないかな?
「何その大丈夫っすは!? その心配もだけど、一つ言わなきゃいけないことがあるの…… 」
「なん…… すか? 」
なにその真面目なお顔は…… やめて! これ以上不安にさせないで!
「警察の人にバレる前に教えるね…… 」
「何が…… 」
ゴクリ、ゴッキュン…… もう一度ゴッキュン
「チャックが全開よ…… 」
「…… お嬢さん、もっと早く気づいて! 」
恥ずかしい! どこから!? 最初から?
「い、いいじゃない! 罪状が増えなかったんだから! 」
「そうですけど…… ま、ありがとうございます。行ってくるっすわ。」
「私は帰って、旅館の人達に伝えておくよ。心配してるだろうから…… 」
「そうっすね…… 女将さんに謝っておいてください。」
「謝る? なに言ってるのよ、ヒーロー! 」
「ヒーローは、こんなやり方はしないっす。どんなに取り繕っても、暴力は暴力…… 変わらないんですよ。」
「たまには、素直に受け止めなさいよ。」
「事実なんで、暴力の後に和解や理解があるなら、ヒーローかもですが、暴力の後に暴力はただの悪役っすね。」
そう、だから今回のこれを認めるわけにはいかない。お嬢さんにも、認めてほしくない
「なに言っても、変えないわよヒーロー。ありがとね…… 」
「聞かないのを忘れてました。そんじゃ、パンダ王国行ってくるっす。」
「帰りはお土産な! 」
「笹ですよぉ? 」
何が待ち受けているのか…… 弁護士を紹介してもらえるのかな? 裁判になったら丸ボウズにするのかな? とりあえず、手錠はしないみたいで安心した




