37話 垣間見る片鱗 (前編)
三章 三十七話 「片鱗 ① (前編) 」
ほぼ同時刻、翠鳴学園校内
外も騒がしければ、教室内も騒がしくなってきた
動揺してる人もいれば、あまりない経験に面白ろがってる人もいるな……
「皆さん、あまり外を見てはいけません。じきに警察が来るのでそれまで自習を。」
全く、先生なのに全然対処の仕方を知らないんだな私の学校は
「美羽〜 、さすがに怖いね生でこういうの見ると。」
「律子でも、そう感じるんだ意外。」
「女の子ですから! でもホントに怖いね、警備の人やられちゃったんだもん。」
たしかに…… 警備の人、いつも挨拶してるからすごく心配
「そうだね…… でも、もう警察の人くるから大丈夫でしょ。」
「まだ、かかると思うよ? なんせ結構山奥だからね。なんでこんなところに建てたのか、もうちょい都市に近くてもよくない? 」
私も思ったことあるなぁ、夏とか虫がすごいもん
「まぁ、しょうがないんじゃない? おかげかどうかわからないけど、今までこういうのなかったじゃん。」
「うーん、たしかにそうかも…… でも色々と不便だよ、やっぱり。」
「ま、自然を満喫できるってことで納得しようよ。」
「強い子だわ美羽は。」
「どうも。」
先生が他の先生と何か喋ってる
「皆さん、少し職員室に行ってくるので何かあれば来てください。あと、くれぐれも外の人達に刺激を与えないようにお願いします。」
ホントどうするのかな? このまま放置して警察が来るまで待つのかな……
「美羽、私ちょっとお手洗いに行ってくる。家族に連絡もしたいからさ。」
「気をつけて行ってらっしゃい〜 」
「トイレまで気をつけたくないよぉ。」
「友人からの心配は、ありがたくもらっておきなさい。」
「わかりました。細心の注意をして行ってきます! …… フフッ。」
少し落ち着くな、会話してると
「笑ったな? …… フフッ。」
行っちゃった…… 少し寂しくなるな
あれ? 初絵がこっち見に来てる
「どうしたの初絵? 」
「う、うん…… あのさみーちゃん、外見てみてよ。」
え、初絵だったらそこは黙って静観するかと思ったけど、めずらしい。
「どうして? 先生は見ない方がいいって…… 」
「う、うん…… でもさっきこっちのクラスの窓から、不意に外を見たらさ…… 」
「何かあったの? 」
「私の見間違いかもと…… ううん、そう思いたくてみーちゃんにも確認してほしいの。」
なんだろう? 煮え切らないというか、とても不安そうな感じだな
「わかったわかった、少しだけね。」
「うん…… 」
「何を見てほし…… !!?? 」
視界に入ってきたのは、さっきから外で騒いでいて今回の問題を起こしたであろう連中と、よく知っている顔…… 毎日会って挨拶をする顔の奴がいた。
「なんで…… あいつ、何して…… !! 」
「どうしたの、みーちゃん? 」
そうだ、部活に必要な書類を持ってきてほしいって頼んだ…… もしかして
「私が、おばあちゃんに忘れ物があるって言ったの…… それであいつ…… 」
「やっぱり、宮田さん…… だよね。」
!!! 嫌な光景を見てしまう。普段、どんなことにもさりげなく対応する奴が蹴られたり、殴られたりしてる……
「なんでやられっぱなしなのよ…… 」
「みーちゃん…… 」
わかってる、あいつは暴力とかしない…… っていうより、できないんだと思う。多分このまま暴行を許して、事態が収まるまで耐えようとか考えてるんだ。
「ホントカッコ悪い…… 」
「どうしよう、警察が来るまであのまま…… ってみーちゃん!? 」
「ごめん初絵、ちょっと行ってくるよ。」
「その気持ちはわかるけど、もっと大ごとになるかもしれないから、先生たちに任せておこうよ…… ね? 」
うん、そうなんだよ。私もそうするのが一番だと思うよ…… でもさ、でもさ
「このまま見てることができそうにないんだよね。あいつだったら、静観第一! とか言いそうなんだけど…… 」
「でも…… 」
「ありがとね初絵、教えてくれて良かったよ。もっと後に気づいてたら、事態は終わってても後悔してたと思うからさ。」
ホントにありがとう、多分初絵は言うかどうか迷ったと思う…… それでも教えてくれた
「…… 。」
「それに多分、先生達はこのまま警察が来るまで手出ししないよ…… 」
「なら、私も行くよ。」
!!!
「え、行くって…… 何言ってんの初絵? 」
「私だって知らない顔じゃないし、それに…… 一緒に行けば怒られるのも半分半分になるよ。」
「そういう問題じゃ…… 」
「みーちゃん、危ないことをしないようにお互いで監視し合うってことでどう? 私だって後悔すると思うんだ…… 」
初絵……
「よろしくお願いします…… 親友。」
「こちらこそです…… 親友のみーちゃん。」
どうしよう恐怖より、今感動して泣きそうだよぉ
あれから何回くらい蹴られたかなぁ、早く意識失いたいよ…… ドラマやアニメだとそろそろ失っていい頃じゃない?
「おいヘタレ! 生きてますかぁ!? 」
「死んでんじゃね? 」
「やば、殺人? 鑑別行きとか、かっこいい! 」
どこが良いのよ鑑別の…… 全く価値観がわからん
つかマジ痛ぇ、なんで意識保ててんだよぉ
「鑑別なんて、もう二回行ってるから飽きたわ! 」
「マジっすか!? 」
「やば、惚れ直すぅ! 」
「そろそろ飽きた…… よし、おいお前! 」
「なんすか? 」
「もう俺はいいから、あとはお前が好きにシメろ。」
「いいんすか!? ラッキー! 」
「お前はまだ中坊だろ? 俺らみたいに高校上がると、結構厳しくなるから今のうちに好きなだけやっておけって! 」
「やったじゃん、お前ラッキーだな! 」
「うらやま〜 アタシも最近イライラしてるから、終わったら貸してぇ! 」
「それもひでぇ! 」
不良達 「あははは! 」
おいおい、中学生にもイジメられなきゃダメなの? 俺は…… 仕方ないか、早く気絶したい
「そんじゃ、一発目いきまーす! 」
「がっ! うぅ…… うっ! 」
中学生でも痛いもんは痛い、みぞおちの辺りに痛みが集中してきた
「やべ、最高っすわ! チキン君もさぁ、何か反撃してこいよ! 」
「はぁ…… ぁ…… 」
ガキンチョに君付けか、若く見られてるのかな? だとしたら、案外良い奴…… なわけないか
「あっ、一回やってみたかったことがあるんすよ! これっす! 」
「ぐっ…… うぅ! 」
頭を踏むな、ぐりぐりするな…… 相手が2次元の可愛い子だったら文句無しなんだけど
「気持ちいい! ホント面白いっすねこいつ! 何もしてこない。」
「はっ、ただのチキンかヘタレのニートだろ。」
「リクト君、言い過ぎウケる! 」
「ああいうのマジキモいよね〜 」
なんでウケるのに、キモいんだよ…… 今日はホント厄日だ。学んだことは人間って、全然気絶しないってことくらいだ…… あと一応、旅館の社員な
「次はどんなメニュー行っとく? 鍛え直してやるよ、そのヘタレーーーー 」
「最っっっっ低!!! !!! 」
「み、みーちゃん…… 声大きいよぉ…… 」
!!! その声を聞いた瞬間、早く気絶したいと思っていたのにまた意識がハッキリしてくる…… と、同時にうげぇって思った
「…… んで…… か…… 」
なんで来たんですか、そう言おうと思ったのに声が出ない。これは最悪のパターンだ、予想しなかったといえば嘘になるが、考えたくなかった。何故なら、その予想は完全に俺の為…… あるいは俺のせいであると考えたから。
お嬢さんなら、この光景を見たら来てしまうんじゃないか? その一抹の不安を見事に実現してくれた。
来なくていい…… なんでそんな良い子に育ったかねぇ…… あっ、あの女将さんの孫だもんな頷ける。
それでも言いたい、それを言う権利も、道理もないかもしれない…… でも、言いたい
来るな、来なくていいと…… 面倒だからと




