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すんません 、「俺」は、記憶ないっす  作者: 志奏
三章 「果つることなき想いは再びに」
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34話 ありがとうっす

三章 三十四話 「ありがとうっす…… 」



さて、何が待ってるのか…… きゅわえりたい(帰りたい)


「お待たせしてすいません、今仕事終わったので来ましーーーー 」



一同 「お誕生日おめでとう!!! 」


「…… ? …… え? 」


「あははは! 今のあんたの顔、まさに鳩が豆鉄砲食らったような感じよ! 」


お嬢さん?

「えっと…… え? 」


「なんだいまだわからんかね、今日は何日か自分でカレンダー見てみな。」


「5月17日…… あっ。」


「なんだよ、テメェの生まれた日も忘れたのか? その歳でボケは早いぞ! 」


「宮君はやっぱりもう更年期入ってる説。」


「竹河、更年期は言い…… 過ぎだ…… ブフッ。」


厨房のお二人に竹やんもか

「かばってる割には、笑いが出てますよ? 原さん。」


「それで? そろそろ誕生日って自覚は出てきたかい? 」


「まぁ思い出しましたけど、なんでお祝いされるのかなぁって…… 」


「何言ってんのよ、あんたはここに来てからの間、ずっと適当に言ってお祝いさせてくれなかったじゃない! 」


そうだ、たしかにそうだ。ほんとなら今日も覚えてたら絶対に逃げてた気がする

「でもなんでまた急に? 」


「急も何も誕生日だから祝ってあげる! それだけじゃん。」


「俺たちはお嬢から聞いて、そういやボウズには毎年誕生日に酒貰ってたから、たまにはこっちからも祝ってやらないといけないなと思ったわけよ! 」


「そうなんだよね、宮君の誕生日を祝うのって実は初めてなんだよ…… 僕なんかは宮君に去年も一昨年も誕プレ貰ったのに…… ごめんよぉ! 」


「うちはできる限り、やれる限りは従業員の誕生日には何か祝うのが通例だからね、でもあんたは事あるごとにどっか行ってたからねぇ。」


お嬢さんが言い出しっぺか……

「お嬢さんが企画を? 」


「は!? ち、違うし! 私だってたまたま、思い出したからみんなに都合聞いて、何かできるかなぁって…… 」


「なんかすいません…… 」


「なんで謝るのよあんたは、そこは普通にいつもみたいに、あざーすって感じでしょ? 初絵(はつえ)もそう思わない? 」


「そう…… かな、お祝いだもんね。」


「あー、もしかして…… 怒ってる? 」


え、なんで?

「全然怒ってないですよ、むしろどう感謝をしていいかわかんなくて…… 」


「たしか来てすぐの誕生日は、俺はまだ祝ってもらうほどのことしてないんで勘弁してください。その次は体調崩して早上がり、一昨年と去年は散歩とか言って帰ってこない、ここまで徹底してるとこういうの嫌なのかな? って思ってさ。」


そういえば、そんな手使って逃げたな

「よく覚えてますね…… 参ったっす。」


「そりゃ、あんたは来て次の年から私の誕生日にプレゼントしてくれてたからね…… その辺りから意識…… ってなんでもない! とにかく今日はちゃんと祝うからね! 」


「俺たちも悪かったなボウズ、ちゃんと覚えたつもりだったんだけどよ…… 酒が入るとなぁ。」


「かくいう俺も似たようなもんなんだよ、お前はうちの娘の誕生日にもちゃんと祝ってくれたのに…… 」


「それに、最近はちょっとだけお世話になりましたからね私も…… だから今年は! って感じで。」


どうしよう…… 上手く言葉が出てこないな、どんだけ耐性ないんだか

「お世話ってほどじゃないですよ、むしろいつもご迷惑をおかけしてます。」


「らしくなってきたわね、そんじゃ改めて…… 」



一同 「お誕生日おめでとう!!! 」


ほんとに参るな…… でもーーーー

「ありがとうございます! ってガラじゃないんで…… あざーす! 」


「はははは! いいぞボウズ! だが、悪いな今日はまだ俺もこいつも仕事残ってるから、後日改めて一杯やろうな! 」


「そういうこと、とにかくおめでとうな宮田(みやた)。」


「これで、宮君も22か…… ふふふ大学生なら卒業おめでとうだね。」


こいつほんと最高だぜ。

「ありがとうよ、その酷いジョーク…… いや、ロン○ヌスの槍のおかげで一気にらしくなれそうだ。」


「まぁ急だったし、何上げたらいいかわかんなかったから、プレゼントは無いけど…… 必ず用意しておくからさ! 」


「変な気を使わなくても大丈夫っすよお嬢さん、これだけで満足っす。それどころか色々破裂しそうです。」


「そっか…… でもプレゼントは必ずやる! 覚悟しておけ! 」


えぇ、プレゼントって覚悟してもらうもんなの?

「はは、わかりました怯えながら待ってます。」


「どうだい、たまにはいいだろう? 祝われるのも…… あんたは歳相応じゃないからねぇ。」


「そうっすね、5年に一回くらいならありかなぁって思いました。」


「5年に一回しかないのかい、まぁそれもらしいのかもねぇ。」


「あの…… 皆さん! 」


「どうしたのよ? 」


「お、泣くか? 」


「宮君、ついに!? 泣くの? 」


おいおい他に何かないの? たしかにホロリと来たけどさぁ

「今日は…… その…… とても良い日で、気分になりました! ありがとうございますっす! あと、あざーす! 」


「何それ!? 」


「最後まで決まんないなぁボウズ! 」


「宮君、さすがっすよ! 」


「やっぱり…… カッコつかない宮田さん…… 」


ちょっと最後の松柴(まつしば)さん?

「ま、宴会でも俺ははしゃぎ過ぎない良い男なんでね! 」


「はははは! そんじゃそろそろ行くなボウズ、今日はゆっくり休んで明日からまたコキ使われろ! 」


「ひでぇ話しっすね…… でもそっちの方がいいかもしれないです。」


「いつからそんな仕事熱心になってたのやら…… 」


「ほんとそれ…… さて、それじゃ最後に凛誉(りんほ)! 」


「なんすか? お嬢さん。」


「明日もサボるなよ? 」


このガキンチョは将来有望だな

「ま、こんだけの祝いしてもらった後にサボるほど、命知らずになりたくないっす。」


「そっか、お疲れ様…… おめでとう&おやすみ。」


「お疲れ様っす…… ありがとうございます&おやすみなさい。」




寮に戻ろうとその場を後にして、廊下を歩いていると


「ちょっと待って! 」


ん? お嬢さんか

「どうしました? 」


「あのさ…… あんたが私にくれたプレゼントって覚えてる? 」


ん〜〜 …… あっ

「たしか筆記用具のセット、傘、去年は熊のぬいぐるみでしたっけ? 」


「よく覚えてるわね…… そうそう、受験生だからって筆記用具と、忘れて落ち込んでた傘、それからあの超でっかいクマぐるみ。」


「街に買い出し行った時ですよね、だってあんなに欲しそうに見てるんすもんあの熊を。」


「だってすごい大きな熊だなって…… ってそうじゃない! ごめんねプレゼント上げれなくて…… 」


あぁ、それか

「さっきも言ったじゃないっすか、別に気にしないでくださいって、祝ってもらうだけでも嬉しいんで! 」


「だって、貰ってばかりじゃ不公平。」


「子供はそこまで気を使わないで大丈夫です。大人になってから、嫌だと思うほど気を使うことになるんで、それまでとっておいてください。」


「まだ子供扱いか!? 」


えぇ、子供じゃないの? はっ! そうか女の子は大人扱いされたいお年頃か

「子供扱いされた方が得ですよ? 絶対に後から、もうちょい子供扱いして欲しかった〜 ってなると思うんで。」


「なるか! …… もういい! おやすみなさい! 」


なんで怒るの!? 反抗期か! やだ怖い

「おやすみなさいっす〜〜 ! 」




まだ余韻が残っているが寮に着く


「ふぅ…… 誕生日か…… 」

すっかり忘れてたな、つーか油断した…… 祝ってもらうのが苦手というか、慣れないというか、とにかく遠ざけてたな。記憶がないせいか、あまり実感がないのもある、そんでも……


「メンドって思ってたけど、まぁ5年に一回ならありかな。」

にしてもお嬢さんには勝てないな、やっぱり女将さんの血筋なだけはある。


「はぁ…… あ〜〜、悪くないなぁ…… 」


たしかにあの熊…… すんごいサイズだったな、値段もな


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