23話 清純派ですそれは
三章 二十三話 「そりゃいいことだ…… 」
すぐ眠りについて、少し昔のことを考えたのに全く夢を見ないで目が覚めた
「ふぁ〜 …… あー、なんか夢見るかと思ったけどなんもなしか…… だりぃ。」
昨日は疲れるほど仕事してない気がする。なんせそれで一日中いじられてたし、てことは夕食から発生したあのイベントか…… パンツ取り替えよう。
さて、俺は今日からまた日課通りに行動するぞ。まずは朝シャンだ、旅館あるあるメリットの一つ。温泉で朝シャンなんて贅沢だが、どうせその後少し涼んでから浴場に戻って掃除するんだ、意味わからんと思うかもしれないが次第に慣れるんだよこれが。
「よし、日常に戻る。ごく稀にあんなことが起こっても、次からまた普通通りにやれば元通りになる。汚名返上を考えて数日は過ごすけど。」
さてと、行くか。はぁ、昨日はゲームできなかったなぁ…… 一日やらないのは久しぶりだわ。今日はメインストーリーが終わりそうなやつをやって、その次は…… 後で考えるか。
「じゃ、行ってきますわマイルーム。」
朝は静かだな、誰もいない。接触なしで目的地まで侵入するのは容易いな…… って誰やねん。
この時間帯の浴場には入浴可能時間まで誰も来ない。俺だけの空間…… 気分だけは金持ちです
「ぶはぁ〜 …… 昨日の夜は入り損ねたからな、すんげーしみるわぁ。ちょいと熱い。」
だいたい2〜3分浸かって俺は出るタイプ、長く浸かれないんだよ。何十分も入ってるやつを見ると、素直に凄いといつも感心する。何あれ、修行かなにかなの?
「よしもう無理、限界。」
そして次はシャワーだ。髪を洗う前に歯磨きもついでに済ますのが一番
「あー、っぺ、あー、っぺ! なんで歯ってやつは磨いてやらないと痛くなるんだよ、もっと便利に進化してくれ人間。」
ここにきてから一回だけ虫歯になって、一日中涙目で過ごしからな。もうあんな痛みは懲り懲りだ。痛いっつうか、しみるんだよなぁ
「おっしそこそこ目が覚めた、出るか。」
いつも何人かが懇談してたりするのだが、この特権時間はやはり人類俺だけ
「ふぃ〜 この湯上り後すぐが一番気持ちいい。また寝ちゃいそうになるわ。」
なんとビックリ、扉が開く音がした。バカなこの時間は入室禁止だぞ! 誰だ一体…… 一人言聞かれた? 恥ずかしいじゃんよ
「なに年寄りみたいなこと言ってんの。そのまま寝てみな、頭も目も覚める一撃をプレゼントしてあげるから。」
おいおい、なに物騒なこと言ってんのこの子は。昨日のうるうるモードが嘘みてぇ
「お、お嬢さん…… おはようございます。その一撃を貰わなくても今、完全に覚めたんで大丈夫っす。」
「また仕事サボって、朝から温泉なんて贅沢なことで。」
「違いますよ、昨日入り損ねたんで今入って、その後に掃除するパターンにしたんです。」
「ごめんなさいね、昨日は余計なお時間をかけさせてしまって! 。なんなら私が掃除してあげるわよ。」
台風は健在である。たまには静かに通過してくれ
「余計な時間ではなかったですよ、ああいう会話は滅多にないんで少し若返った気分すよ。それに部活云々を語るなんてしたことないんで、新鮮でした。」
「若返ったって、あんたまだ21でしょ。でもそうか…… 部活とかの記憶もないだっけ? 」
「部活どころか、嫌な先生も、嫌な授業も、嫌なやつも、綺麗さっぱりっすね。」
「全部、嫌が付くって…… 友達って言葉は出ないのね。昨日カッコつけた割には。」
だって、俺の性格だといる確率が低いだもん。今でこそ多少は接客の仕事してるだけあって、まともに見えるかもしれないが、元の性格がこれじゃ友達とかだりぃ、とか言ってそうで怖い
「あれはほら、アニメからの受け売りで…… 上手くいきませんでしたけど。」
「ホントカッコ悪いわね、あんた。」
「へへ、俺なんかがカッコ良くなったの想像出来ます? 出来たらお嬢さんは想像力たくましいです。」
「想像は…… できないけど…… 」
「でしょ、ありえないし…… 実際昨日はダサすぎてそれどころじゃなかったですし。」
「でも、…… ったよ。」
「え、たよ? たよですか、昨日は鯛ですよ食べたの。」
「バカが…… ま、いっか! 私はもう行くけど、仕事はしないさいよ。サボってたら、絶対サボりが許されない土木関係の仕事に天下りさせてあげる。」
それは天下りじゃない。絶対違う!
「大丈夫っすよ、もう仕事のことしか考えてないですから、心配なさらないで行ってきてください。」
「それは嘘ね、半分は帰ってからするゲームのことを考えてるのがアンタでしょ。」
なんで知ってるねん! 全く女将の系譜というのは、魔眼の待ち主かよ
「ひ、否定はしないですけど、仕事に妥協はしないと誓います。マジで。」
「否定はしないんかい! はぁ、じゃ行くから…… あっ、そうだ私やっぱり部活してみるよ。」
「あれ、松柴さんと見学するところからじゃないんですか? ま、でも入るなら楽しそうなやつに入ってくださいね。」
「体育会系にしようかなって思ったけど、初絵と同じ部活に入ってみようと思う。」
「たしか、ゲーム部…… お嬢さんがですか、それはやりたいからですか? それとも心配症とお節介の悪化ですか。後者ならあんましオススメしないですよ。」
「失礼ね…… 、理由は友達が入るってだけで入るのは不純かな。」
「…… 。まさか…… 、とても清純派な動機です。」
「そっか、なら入部したらゲーム貸して、私全然持ってないから。」
「お嬢さんが同士になる可能性があるなら、借りパクされても訴えませんよ。」
ごめん、やっぱり女将さんに盗られたって、チクるかも
「べ、別に…… しない…… わよ! じゃ、行ってきます。」
「お気をつけて行ってらっしゃいませ。 見学の感想くらいは聞かせてください〜 。」
さーてと、そんじゃ仕事しますか。
今日は仕事をバリバリこなす! って感じではなかったけど、通常通りにできたから満足
「お見送りも済んだし休憩か、なら寮に戻ってゲームを…… 」
「凛誉、ちょっといいかい? 」
珍しく慌てた女将さんがいる。え、めちゃくちゃ嫌な予感がするんですけど…… やめてね?
「ど、どうしました? 」
「あのバカ、弁当を持って行ってないんだよ。財布も忘れてったから何も買えだろうし、定期があるから気付かずバスに乗って行ったけどね。悪いんだけど、届けてあげてくれないかね。」
「え、え? 」
無理ムリむり、なんでこんな緊クエばっか起きるの!? てゆうか、むぅりだろ〜!!!




