22話 よし、やっとこれで……
三章 二十二話 「萌えなのか…… 」
うっぷ、鯛ちゃん…… 俺の胃に来てくれてありがとう。はぁ、それにしてもなんつー、気まずい食事だよ…… うまい棒メンタル粉々寸前だ
「美味かったっす。ごちそうさまでした。んじゃそろそろ、俺は寮に帰りますわ。」
「そうかい。ご苦労様、でも残念ちゃんと仕事すればもっと美味かったかもしれないよ。」
だから仕事はちゃんとやってましたって! …… 多分? そこそこ? には
「惚け魔は消えましたよ、明日からは仕事の鬼になってる予定なんで乞うご期待っす。」
「調子の良いことばっかり言ってないで、態度で示しな! …… でもさっきは助かったよ。私も歳だね、頑固にますます拍車が、かかってきた。危うく孫を蔑ろにするところだった…… ありがとね。」
やめちくり、他でもない女将さんにその態度は似合わねぇ。そもそも、そんなに何かしたわけじゃないし…… むしろ噛みまくって挙句チビッたんすよ
「その言葉はあそこで仲良く喋ってる、お嬢さんに言ってあげたらどうすか? 泣いておば〜 ちゃ〜 んって抱きついてくれますよきっと。」
「あんたホントに言うねぇ、仕方ないまた一から仲居修行を手ずからにしてやろかしら。」
「い、いや〜 今日はやっぱりおかしいなぁ! なんか熱あるんすよ、一連の言葉は戯言として受け取ってくださいお願いします。」
「その戯言、しかと受け取ったよ。私もまだまだ老けこめないね…… ゆっくり休みな、惚け魔にゃいらんかもしれないけど。」
「今日は一日中それなんですねやっぱり。明日からはホントに気をつけますから。」
「そうかいそうかい、おやすみ半人前希望。」
「いつか昇格のチャンスください。おやすみなさいっす。」
全く、話しはすぐバイオハザードしやがる。俺みたいな、ヘナチョコヴィッチじゃ食い止められないんだから
さてと、やっと…… やっと帰れる。いつもそんなに変わらない時間なはずなのに、すんごい長く感じたよ〜
「今日はもう寝るか…… ごめんよ我がRPGのパーティ達、電源を入れてあげられそうにない。」
「何一人で意味不明なことぶつくさ言ってんのよ。肝心な時は噛みまくってたのに。」
こっちも言いたい、さっきは泣きそうになってまちたね〜よちよちって…… 胸の話しの時より殺意を覚醒させる恐れがありますので、ワタクシは言いません
「忘れてくださいよ、あんな場面始めてなんですからこっちも。でもかなり勇気出したんすよ〜 。」
「それは…… まぁ…… 、あっ! それから惚け魔って何? 話しに出てきてたけど。」
「え、そ、それは…… ほら、えーっと。」
やんゔぁい、惚け魔のこと(若干仕事をサボった)がバレると、朝の約束? みたいなやつを破ったことになるな。それはMPが尽きかけてる俺から、HPまで削ることが起きる可能性がある。殴られるとか、蹴られるとか、嘘だ! って言いながら、すげぇ形相で刃物持ってたりとか…… 最後の超怖いな
「まさかやっぱり仕事に手抜きしたの? 」
ちょ、顔怖い。その見てくれが台無しよ
「違います違います! 女将さんが言ってたのは、昔ここに来てすぐの頃です。その頃はまるで惚けながら仕事をしている様と、このやる気が感じられない顔から一時期そのアダ名で呼ばれてたんですよ。」
「私そんなの知らないけど? 」
「すぐに俺が内緒にしてくださいねって、頼み回ったからあんまり知られてないだけっすよ。懐かしいな〜 ホント。あっ、お嬢さんも内緒にしてくださいね。」
ちょっと無理があるかもだけど、咄嗟の言い訳としちゃ上出来だ
「ふーん…… まっ、それならいいか。やる気のない顔か、さすがおばあちゃんね! よく見てるわ。」
このガキンチョ…… はぁ、まぁ咄嗟に出たけど自分でも納得してるわ。ポジティブシンキング講座とかやってないかな。だが反撃ポイント発見
「お嬢さん、明日にはおばあちゃんから女将に戻ってるといいですね。」
「ふぇ!? あ、ちが…… よ、よく気づいたわね! そうやって周囲に気を配れる仲居になりなさい! 。…… 言ったら肉体的ダメージを与えてやる、あんたにね。」
ふぇ!? は中々ポイント高いな…… リアルでも萌えはあるのかもしれないな
「明日には忘れてますよ俺が、んじゃおやすみっすお嬢さん。」
「あ、待って! その…… あ、あり…… 」
あり? 廊下掃除はちゃんとしたぞ、多分
「蟻っすか、どこにいます? 視力いいですね、全然見えないんすけど。」
「ちが…… そ、そう! 蟻が10匹…… 位いたら、アンタがサボってた証拠になったのにって…… でもそれだけじゃないというか、なんというか…… うぅ。」
どんだけサボらしたいんだ…… 。それにしてもなんか歯切れ悪いな…… うん? 蟻が10匹でって、おいおいその歳でそんな寒いこと思いつくな。今日は冴えてるな鯛のおかげか? だとしたら週一くらいでお願いしたい
「それを言われるほどのことはしてないですよ。むしろチビッてごめんなさいって、謝りたいくらいなんです。」
「…… そう、わかった。てか、アンタ本当に漏らしたの? ドン引きなんだけど。」
「漏らしてないですよぉ。チビッただけです。」
「チビッたのはマジなのか…… 。」
「チビりました。」
「下着と一緒に他に、精神的何かも洗い直してくるのね。…… がと…… おやすみ! 」
「おやすみっす。」
そんでもう一人そこで見てるのは、松柴さんか…… もう体力がないから手短にお願いしますね
「お嬢さん行っちゃいましたけど、いいんですか?」
「は…… はい。あの…… ありがとう……ございました。」
この子はちゃんと言えるのに、この差はなんだ胸といい
「お嬢さんにも言いましたけど、言われるほど役に立ってないですよ。だからもう気にしないでください。こっちが申し訳なくなってきます。」
「そんなこと…… な、ないです。たしかに…… 少し、だ…… ダサかったです…… けど。」
この子自覚あるのか、無自覚なのか? 案外キツイこと言ってくるな。他に喋る子ができてきたら気をつけろよ〜
「あはは、まぁその…… よかったっすよ。」
「それと…… かなり…… ヘタレ…… な…… ごめん、なさい…… なんでもない…… です。」
ごめんね、隠したつもりかもしれませんけどぉ、丸聞こえですぅ
「もう少し慣れるといいですね、会話するの。多分なんすけど、人に好かれると思いますよ。」
「…… 。難しい…… かもです。でも、頑張ります。」
「その意気っす! その調子で頑張ってください。んじゃ、お疲れ様です。早く寝ないと学校遅刻しちゃうぞ! なんて。」
「は、はい…… お疲れ様です。」
行ったか…… さて、本当の本当にこれで帰るぞ。
寮の扉がとても懐かしく感じた。昼間に一度開けてるのにな
「ただいま〜 …… からの〜 、あふん。」
いきなり布団に転がってしまったぜ。お、やばいこんなにすぐ眠気にやられるとは。意識が沈む直前、久瀬谷さんのことが頭をよぎる。
「…… 、あの子は…… 会話できるんだけど、人との距離感がなぁ…… なんせホントにあれから連絡…… ない…… し。」
ぼっち谷さん…… 元気ですか? 俺は…… まぁそこそこにやってますよ




