17話 恋愛シュミレーションゲームなら……
三章 十七話 「あぢぃな…… 」
お昼を無事乗り切り、今日宿泊のお客様のお出迎えも終わったし、あとは夕食の準備か。お嬢さん達もそろそろ帰ってくるよな。
「そういや、今日の配膳は女子チーム達でやれる的なこと言ってたよな。よし、なら今日は終わりかな、上がっちゃうか! 」
「ほぉ、朝はサボって惚け魔になっていたのに、もう上がる気かい。」
うげぇ、このイヤミ全開のオババは仲居リーダーの浜路さんだ。
「い、いやぁ…… なんか今日は配膳少ないから、女子チームだけでいけるって松柴さんに言われたもんで。そんでホントにやることがないんすよ。」
「なら、大浴場の掃除があるよ! あれは女手には少しキツイからね、男がしっかりしなきゃ。」
「ですよね! 俺もそう思ってたんですよ。人が少ないから、仲居業じゃない仕事もたまにやりますもんね。」
ていうか、俺しかやってなくない? その風呂掃除。
普通交代制でしょ! でもやらないと女将さんがやってたから、なんか申し訳ないしなぁ。
「しっかりね、今回は少ないから宿泊係は私達で担当するから、他をちゃんとしてちょうだい。」
「了解です。あ、そういえば今日の夜食は鯛らしいですよ! 浜路さんもどうですか? 」
「私は旦那の世話があるから帰るよ。だいたい美羽ちゃんと初絵ちゃん以外は、旦那の世話で帰ってるでしょいつも。」
たしかに、浜路さんや他の仲居さん達もたいてい仕事が終わったら帰ってるな。
「そうでした。なら旦那さんに鯛料理持って帰ったらどうですか? 」
「しないよ、いいもんの味覚えさせるとそればっかり食べるからねぇ。そんな優しくはしないよ。」
旦那さん…… 今の聞いたら泣いちゃうぞ。
さて、大浴場の掃除掃除っと。その前に清掃中の看板しなきゃ、ラブコメが起こるから注意しないと。
「まずは、風呂場の道具掃除〜 」
いつも思うが、なんで道具洗うんだろ? どうせ濡れて、もう洗われてんじゃん。ま、意味のわからないことがあるのは世の中の常だよなぁ。
「そいで次は、床の掃除〜 」
朝も掃除したからやっぱり綺麗! さすが俺だぜ、隅々まで行き届いている! …… ような気がする。
「さて、メインイベント…… 大浴場の掃除。」
普段俺もよく仕事上がってから入ってるから、ここだけは文句を言う隙がない。ああ、いやいや仕事には文句ないよ? 俺はどんなことでも何かしら理由をつけて正当化するからな。なんて寛大なのかしら。
大浴場の掃除は男湯、女湯合わせて1時間から2時間くらいかかる。ちなみに女湯洗ってる時に誰か入ってくるなんて起きない。ここに来た当初は期待に胸を膨らませたが、どこぞの○○ブレイカーに打ち砕かられたよ俺の幻想…… いや妄想。
「はぁ、暑い中この熱気…… ホント参るわ。冷水を入れてプールしたいな。絶対殺される女将さんに、そんであの世でお嬢さんに追撃を喰らうまで起こりうるな。でも気持ちいいだろうなぁ。」
プールとか海って行ったことないし、記憶がないからかもしれないけど。休みの日はいつもゲームして寝て、アニメ見て寝てのループだから。
「もうちょい、良い休日の過ごし方があるよな…… いやでも、そう思ってるだけで本当は最高の過ごし方な気がします。皆んなにも教えてあげたい。」
「今帰ったぞ! 凛誉! 今朝の約束は守ってるか、 仕事してる? 風呂場でサボってない? 」
ええ、帰っていきなりがサボってる疑いとは…… 俺の信用も落ちたものだ。でもひどいよ! 3年間あんまりサボってないのに〜
「お帰りなさいっす、サボってないですよ! 約束したことは契約内容に変更がなければ守る男ですよ。」
「変更なんてあるか! 謀反からの忠義に期待してるぞ。私と初絵はこのまま、配膳入るからあとはそっちの掃除終わらせておけよ! 」
まだ江戸風続いてんのね。ならノルか。
「忠義に尽くさせていただく所存! 何卒ご信頼を。」
「おお、さすがにわかってるな。じゃ、頼むぞ!」
「あ、そうだ! 夜食の時間に少し相談させてほしいことがあるから、そのつもりでよろしく。」
え、何? なんで?
「え、ああ、はい! 力になれるかわからないっすけど、一応は了解です。」
「一応かよ! ま、いいや、じゃ後でね。」
言いたいことだけ言って去ったか。ホント台風みたいなお嬢さんすわ。でも相談ってなに? 今までなかったからなそういうの。も、もしかして恋愛絡み! なら相談相手間違えてますよって…… いや、恋愛シュミレーションゲームを何タイトルも味わってきたんだ! 少しくらいはアドバイスできる…… よね?
相談っか…… 珍しいな。




