12話 いいよな、たまには……
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三章 十二話 「 散歩って不意にしたく…… 」
外に出て思った…… 暑い、まだ5月の10日だよ? さすがに本気出しすぎだぜ、太陽さん。
「こんな日はやっぱり部屋でゴロゲーしてるに限るんだけど、渓流散歩なんだよねぇ今日は。」
普段と違うことをすることには、賛成なんだけど暑すぎますよ…… その力は7月くらいまでとっておこうよ、バテるぜ? 太陽さん。
そんなことを考えながら、渓流までの道を歩いていく。渓流までは旅館から10分前後で行ける。着くまでの道には民家が数軒あるだけだ、あとは辺り一面山々に囲まれてる。
「静かだな、まぁいつもこんな感じなんだろな俺があまり出ないから気にしなかったけど…… 鼻歌しちゃおうかな。」
ほら、誰もいないとしたくなるじゃん? たとえ音痴でも観客は空気と山しかいないんだからさ。 俺が音痴とは言ってないぞ、なぜなら人前で歌ったことがないからな。
「ふんふ〜ふ、ふ、ふぅぅん…… ダメだうろ覚えになってる、好きなアニメの主題歌なのにファンとして情けない…… 普通に歩くか。」
帰ったら適当なサイトで探して聞こう。
渓流付近まで来ると、川特有の匂いがしてきた。
「お、着きそうだなお姉さんはいるか、それとも別の場所に言ってしまったかな? 」
こう言うとまるでお姉さんが目的っぽく聞こえるけど、違うよ? 半分は気分転換、半分は仕事のアフターケアだよ? けっしてお近づきになれるとか考えてませんからね!
「誰かいるかなぁ…… お、いるいる!」
橋の上からのぞいてみると、4、5人いるのが見えた。 やっぱり釣りしてるな、しかもお姉さんまでいるじなゃいか!
「おはようございまーす! 今日は調子どうですか? 俺も混ぜてくださいよ〜 。」
「今日は珍しいのばっか釣れるな、べっぴんさんが釣れたと思ったら今度は仲居のあんちゃんとはな。」
ここに来る間に民家があったがそこの住人達だ。 つーか、べっぴんさんに撒き餌したの俺ですよ。
「散歩って気分になっちゃったんです。 それにそこの方は当館に宿泊されてる方で、しかもここをオススメしたのもあって様子見も兼ねてなんすよ。」
「あ〜そういうわけだったのか、橋の下から混ざりたそうに見てるもんだから口説いちゃったのよ、おっちゃん。」
「はい! 仲居さんに聞いてからどうしても行ってみたくなっちゃったんです。 そしたらホントに釣りをしてたので、つい眺めてしまって。」
よかった〜釣りしててくれて、もしいなかったらションボリさせてしまうとこだったかも。
「よかった、教えたのにいなかったならどうしようって思ってたので。それにこの渓流も見てもらえたので、ススメたこちらも嬉しいですよ!」
「ホントにありがとうございます! こういう所は都会にほとんどないので、こんな機会じゃないと縁がなさそうと思ったんです。」
たしかに都会にはないよな、でも都会は便利という武器が揃ってますよ。コンビニとかコンビニとかコンビニ? とか。
「釣りも楽しいですか? 何か釣れましたか。」
「釣りも楽しいですし、何よりこんなに親切にしてくださる方々とできるのが一番楽しいですよ!」
いい人や〜、マジでいい人! 俺に魔術師のあの子や、騎士のあの子がいなかったら速攻告白して即撃沈してたな…… 妄想でも撃沈するのかよ。
「嬉しいこと言ってくれるね〜、おじちゃん泣けてくるよ! 彼氏は羨ましいなぁこんないい子だと。」
「セクハラっすよ〜、奥さん刃物持って旦那を捌きかねないからほどほどにしてください中町さん。」
「大丈夫だぁよ! もう40年一緒だけど、20年経った辺りから愛想尽かされてるから!」
だから、3次元の添い遂げなんて信用できないんだよ! でも中町さん夫婦は見てて飽きないからな、見る分には良いけど、俺はしないな絶対。
「中ちゃんは、昔っから嫁さんと喧嘩ばっかりだからな! もう喧嘩すら酒の肴になるくらいだもな!」
[[[たしかにそうだな、アッハハァ!]]]
他のメンバーも元気だな、でもさすがに長いこと釣り仲間なだけあってよく知ってるよ。すると、それまで明るかったお姉さんの顔が少し強張った。 どうしよ、セクハラ認定でもしたのかな?
「彼はそう思ってくれてるんですかね…… 私、今回の旅行は彼と喧嘩して、会社も憂鬱になったから気分を変える為に来たんです。 皆さんのお話し聞いてると元気になってきます! 」
ハイ終了〜、ですよねーいますよねー 彼氏、絶対いると思いました。 よかった〜変な気が起きないで、さすが俺! 鍛え抜かれてるぜ、うまい棒メンタル。
「彼氏の方なんて、うかうかして夜も眠れてないですよきっと、お節介ですが連絡してみたらどうですか? ごめんねからの土下座まで期待できそうですよ。」
「そうだぞ、まだ若いんだから喧嘩の1つや2つ良い思い出になるってことよ、歳とってからの喧嘩なんてほんと憎たらしいのなんの! 」
おお、人生の大先輩は言うことが粋だぜ。だがそこに歳とると、ツンデレ化が進むってのも付け足しておいて欲しものだ。
「わかりました、そうですよね喧嘩の1つくらいよくありますもんね! 仕事だって、くよくよしてるよりヤケクソにやった方がいいですよね! 」
「その意気です! さ、吹っ切れたかもということで、もう少し釣りしていきますか? それともお戻りにしますか? 」
「もう少し釣りをします、 釣れないままだと帰れません! 仲居さんはどうするんです? 」
うーんやることないし、どうせまだ時間も余ってるから釣りに参戦しようかな。 下手だけど。
「なら、ちょっとだけご一緒させていただきたいです。 暇なんで。」
ごめんよ〜 積みゲー達、帰ったら存分に遊ぼうね!
あの子や、あの子とも冒険が待ってるし。
「お、あんちゃんもやるのか! 道具は貸してやるが、500mlのビールを今度持ってこいよ。」
有料かよ、まぁ気が向いたら買って届けておくか。
「仲居さん、おいくつなんですか? お若く見えるんですが色々と良い意味で老けて見えるので。」
良い意味で老けてるって…… どの道老けてるんかい。
「21です、もうちょいで22のステージ行きますけどね。」
「え!? 私よりも5つ下なんですね、てっきり同じくらいかと…… 経験の違いでしょうか。」
いやいや、経験ならあなた様の方が上ですよ。 恋愛して恋人いる時点でだいぶ離されてます。 それに過去18年分くらいのセーブデータ消えてるんで。
「どうでしょうか、でもそういう風に見ていただけたのなら光栄ですよ。あ、小一時間くらいしたら戻りましょう。 板前さんが腕によりをかけて、昼餉の支度をしているので。」
「そうですね! 昨日のお夜食も美味しかったので、とても楽しみです。」
[[[俺たちにも何か食べさせてくれよ〜]]]
このオヤジどもめ、俺には柿ピーのピーしかくれなかったぞ前、近所の集まりに参加した時は。
「是非、当館にご宿泊の際は私ども一同、心からのおもてなしをさせていただきます。」
「面白いですね、仲居さん。」
[[[うまいこというぜぇ、あははは!]]]
たまには悪くないなこういう感じ…… 何か釣れるかな〜 可愛い人魚来い!へへ。
いかがでしょう
次回からは少しだけ、うら若き乙女(笑)の視点で物事を書いていきます。 もしお付き合い頂けたら嬉しく思います。




