125話 慣れは怖い
三章 百二十五話 「慣れは怖い 」
数日経つが、何もなくサボりの日常を送ることに成功している。
ゲーム部の子達は大会に参加! で、練習に精を出しているなか、おれはマンガを読み更けっていたり、別のゲームにお熱になったりと、こいつ警備員として、いる意味ね〜を順調にこなしていた。
慣れって怖いのが、なんの迷いもなく部室に足を運ぶんだよね、最近はダラァっとしてさいなら〜 が主な流れ。給料未払いでも怒れないな。
そんで今日も変わらず、サボり中。
桜守は死にゲーのプレイ中…… いいの? 大会はそのジャンルやっても役に立たないよ? まぁ桜守は、FPSの上手い子みたいなんで、そんな心配はいらないかもしれないけど。
「そろそろクリアできるか? 」
「うーん…… まだ難しいですね。半分くらいは終わったと思えるんですけど 」
「半分終わったなら上出来だ。もう途中で諦めても、お前は誇っていいぞ 」
そのゲームはチュートリアル付近で断念するプレーヤーも多いから、そこまで進めたならいい方だ。
「絶対に完クリします! 諦めるくらいなら、最初から手を出しません 」
「かっこいい、まぁ頑張って〜 」
自称弟子よ、おれの教えがあるとすれば諦めは大事だぞ。諦めて進めることだってあるだろ? 俺はその繰り返しでここまで来たんだ。
桜守には無理かもしれないが……
「先輩、おはようございます! 」
「おはようございます 」
2人の後輩であり、俺の本業の仲居として先輩の2人が部活に来た。
「郷橋さん、松柴さん、おはようございます! 」
「久野先輩はまだですか? 」
「ですね、珠希もすぐ来ると思いますよ 」
「あんたはいつも通り、なんか読んでるけど飽きないの? いつも同じ表紙じゃない 」
「お嬢さん!! 」
しまった…… つい声を荒げたが、これは正さなくてはなるまい。
「な、なによ 」
「これ…… 読んでるの同じじゃないです。ちゃんと表紙見てください。表情全然違うし、風景違うし、可愛いし、悲しそうだし、全部違うんです! 」
こんなことで必死に語る必要が…… ある!
なぜなら、巻ごとに表紙のキャラも違うのにそれを同じと言われて、黙ってられるほど俺はお利口じゃない!
ここで何も言わなければ、お嬢さんにとってこのマンガはどれも同じとして、認識される。それは良くない、だから正しい道に進んでもらう為に仕方なくなのだ。
バカじゃないの? って、ツッコミはなしで。
「わかったから、そんな必死に説明しないで 」
「いやいや〜 師匠の気持ち、よくわかります。私も同じ場面に遭遇したら、絶対と言っていいほど同じことをすると思いますね 」
「桜守…… 」
「師匠…… 」
この瞬間…… 俺達の間にはちゃんと、師弟関係があるとわかり、握手をしてしまう。
いや〜、これをわかってくれる子がいるのは嬉しいんですよね。相手が男でも女でもオカマでも異星人でも握手したい。
数分くらいしてから久野もやって来て、全員集合。
「やっと昼か、さてお湯もらってこよ 」
俺のは相変わらずのインスタントラーメン。これが美味しいんだよ、やめられない続けられる。
「師匠、さすがに毎日は飽きません? それ 」
「これを持って来てる先生がね、ちゃんと飽きないようにレパートリー変えてるから大丈夫 」
「でも同じですよね基本 」
「いやいや、全然違うぞ? 日○とかペヤ○グとか全然違うだろ? 」
他にも、どん兵○、○ちゃん、エー○コック等々、様々なカップ麺があるので飽きるなんてことはないのだよ。
「体壊しますよ…… 」
「大丈夫だよ緋夏、もうとっくにに壊れてるもんな 」
「その通りだ。健康診断行けば、毎回医者に文句言われるし、いつもダルいし、これは間違いなく俺のこと好きだねってくらいだ 」
愛されてるんだよ医者にさ…… ごめんこうむるけど。これが2次元のナースだったら、喜んで棺桶に全身捧げる覚悟で体壊すんだけど。
「ま、そんな師匠に今日も私がサラダの一部をお供えするので感謝すべし 」
「んじゃこれ 」
俺はポケットに用意してた、200円を渡す。
「別にいらないのに…… 」
「渡すに決まってんだろ。後になって、家計が大変なのは余計な物も作ったからとか、言われたら嫌だし…… それに、弟子の成果を師匠として形での評価をしてるのもある 」
まぁ、そこいらで買ったサラダより美味しいとは思うし…… 200円でも安いと思うぞ。だから後で文句を言うのはやめてね。
「師匠がそれでいいなら 」
「受け取っとけ〜 緋夏、あいつは金で解決する男って覚えておくんだぞ 」
「あんたサイテー 」
「ヒモ…… 」
「あれ? おかしいな…… 嬉しい涙が出るかと思ってたら、悲しい涙が出てきそうですわ 」
普通、喜びませんか? 俺の価値観が歪んでるんでしょうか…… 可能性はありますね。
「いつかはお弁当を作る許可を得て、師匠を更生させるためと思って受け取ります 」
「そしたら、1000円くらいあげなきゃダメだからお財布空っぽになるぞ 」
さすがに弁当は困る…… ありがたいことかもしれんが、他人にそこまでしてもらうのは気がひける。
桜守は素直に親切でやってくれるのも辛い、これが裏とかあれば多少は図々しくなれるんだがな。
「緋夏やったな、そしたらゲーム買い放題じゃないか 」
「そして俺は、買えていた物が買えなくなる 」
なんて負の方程式でしょうか。
「あんだけあれば、もういらないだろ 」
「バカか? 新作や続編を買わないだと? 俺に死ねと言ってるのか 」
「珠希、これは師匠が正論です 」
「緋夏もか…… 」
「桜守は正しいぞ 」
ほんとよくできた弟子だわ。そういえば最近、弟子云々は受け入れることに成功してるな。
これも慣れだ、やっぱり慣れは怖い。
お昼を食べる準備が整い、みんなそれぞれに食べ始める。お嬢さんはゲームの練習ができるように、パンを食べながらプレイしてる。
お嬢さんもお嬢さんで、毎日それだと体壊すんじゃ……
「あ、そういえば緋夏 」
「なんです? 」
「新顧問ができたろ? そんで正式に部として、認められたんだけどさ 」
「はい…… ですね 」
「それを今日、生徒会に提出しなきゃダメなんよ 」
「マジですか…… 」
「なに初耳なんだけど? 顧問できたの? 」
おいおい、そういうのは先に言ってくれよ。挨拶もしてないし、俺がサボってるのを上手く誤魔化す言い訳を考える必要もあってだね?
「あんた知らないの? 顧問は私の担任の先生よ 」
「お嬢さんの担任っすか 」
え、余計に気を使うんですけどそれ……
「あんたも一度会ってるはずよ? いや、2回目かしら 」
「え…… ん〜…… あっ! お嬢さんに忘れ物届けに来た時の 」
あの後、色々と誤解を招くことがあって大変でした。主にそこにいる桜守のおかげで。
「そーそ、それから…… あんたが手を出して、またナンパ? って思われる行動をしてたのもその先生 」
「あ…… あの時もそうでしたね 」
対抗戦の時に手を出したら、まさかの重ねてきてくれた優しい先生。それとナンパじゃないです。
「でもよかったっすね、これで俺も正真正銘のサボり場をゲットできますよ 」
「お前、聞いてないのかよ? 提出書類を今日中に生徒会に持ってかなきゃダメなんだ 」
「行きゃいいじゃん 」
簡単だろ、もう顧問もいるんだから持って行って、さよならで終わりだぞ。なんてイージーゲーム。
「あんな大勢のいる前で怒らせ泣かせ、挙句負かした奴は言うことが違うな〜 」
「うっ…… え? なんで今、それが出てくる 」
やめろ! 思い出させるな! 都合よく忘れようとしてなのにぃ。
「私や緋夏が行きにくい理由だからだよ。郷橋や松柴に行かせるわけにもいかない…… どうすればいいのでしょうか、神よ…… チラッ 」
こっち見んな! お願い見ないで。
「師匠が泣かすとは思ってませんでしたからね〜 」
あぅ…… 顔が上げれない。
「私や初絵が行くのは、提出書類を出すのは部長か最上級生のみだからよ 」
あぁ…… 全身を埋めたいよ。
「宮田…… さんが…… 泣かしちゃうから 」
俺も泣こうか? そしたら許してくれますか。
こりゃ…… また余計なことを言ってるのかもしれないが、これしかないんじゃないの?
「じゃあ…… じゃあ…… 俺が…… 」
言え! 言うんだ! オレェ!
でもほんとは言いたくないよ〜
「俺が…… 行き…… ましょうか? 」
言ってしまった…… もういいよ、どうにでもなれよ。何が起きても死ぬは…… ないよね。
「師匠! 行ってきてくれるんですか!? 」
「頼りになるなー よろしくねー 」
「気の毒だけど、頑張れ 」
「よろしく…… お願いします 」
「紙を…… 持ってく紙…… くだしゃい 」
ほんっとこの子らは、人を使うのが上手いわ。
そのスキルに対抗するにはなにを会得したら、良いのですか? 是非教えてください。
でもたしかに、あんなことの後じゃ行きにくいのもわかる。その原因が少なからず…… ほんのちょっと…… ごく僅か…… いや、ほとんど俺だな原因。
運良く生徒会室に誰もいない、なんてことはあるか? それなら、置いてくるだけなんだけどね…… ないよね。




