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すんません 、「俺」は、記憶ないっす  作者: 志奏
三章 「果つることなき想いは再びに」
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115話 あたり前だろ


今日は夜にまた投稿しますっす!

つまり、連続投稿ですね。

三章 百十五話 「当たり前だろ 」



桜守が最後の試合に臨む…… 正確には、俺にも出番あるんだけど……何もできないので、カウントしないんですよね。


もしかして、奇跡的な低レベルの問題が出れば俺でも! っていう期待はしない。そんなのあるわけがない。つまり、期待するだけ無意味だ。


「桜守は落ち着いてるな 」


「私らはキョドってたのかよ 」


「いんや、お前もお嬢さんも松柴さんも…… 落ち着いてたよ。挙動不審なのは俺だ 」


挙動が不審なのはデフォルトなんで仕方ないけど、今日はさらに拍車が、かかってるんだよな…… 結果を知らせに来る先生を怪しい挙動で見てるから。


「それは知ってるけど、私らも緊張してないわけじゃないよ 」


「だろうな、こういう場で緊張しないのは、よっぽどの政治家タイプくらいさ 」


あの人達って、会見開く時に考えてるのは緊張じゃなくて、口滑らせないことを念頭に置いてるからね。ある意味尊敬しますわ。


「なんの話しだよ…… お前、よっぽど緊張してんだな。わけのわからん話しをするわ、目つきは腐ってるわ、落ち着けって 」


「名探偵だ。たしかに緊張してる…… なんでだろうな 」


目つきが腐ってるは…… 関係ないような気もするけどね。


「そりゃ…… なんだかんだで、部のことを考えてるからだろ 」


「まさか…… 桜守にも言ったが、俺はそんなキャラじゃない。サボれる場所程度にしか思ってない 」


これは嘘だな…… たぶん…… 頭の片隅は侵食されたよ。ったくよ…… 一週間で籠絡される辺り、やっぱりチョロインだな。


「へっ…… 必死になって部を存続させようとしてる時に、お前はよく言えるよ 」


「存続してほしいってところは同じだ。だからここにいるんだし…… 役に立たないだろうがな 」


「あー…… それがその辛気臭い顔の理由か 」


「これは生まれつきのものです。さっきお前も言ったろ、そんな繊細な神経の持ち主だと思うな 」


これも嘘…… なのかな…… 理由は、たしかに対抗戦にあるよ。この腐りかけのルックスは生まれつきだが、辛気臭さは今しがた会得した。


「あっそ…… なら独り言なんだけど、緋夏は絶対に勝つよ。私は緋夏に関しては未来が見える 」


「ほどほどにしとけよ? でもそうか、お前がそう言うなら今度は勝ち確だ 」


どんだけ好き…… 愛してるんですか。


重いですよ、桜守に知れたらどうするんですか。ま、あいつのことだから意味を理解することなく、これまで通りの生活を送ると思う。


「ごめんなさいね、私達は負けてしまって 」

「すい…… ません 」


「まーた後輩を泣かす気かよ? 実はSなのか 」


「なわけあるか! お嬢さんも松柴さんも冗談っすよ〜! 今度っていうのは語弊で、今回も勝ちですねって言いたかったんすよぉ 」


Sなのか…… まさかな、だって…… 何回俺は泣かせられたと思ってるんですか? お前はまだ、知り合って間もないから知らないだろうが、生活を送るようになってからの数年は恐怖と苦労の連続ですよ。


おかしいかもしれないが、いやな苦労とかじゃないんだよ。だからどっちかと言えばM…… いや、認めたくない!


「なら緋夏の言う通り、勝ち確を見るって心意気で観戦しような 」


「俺は元々、そう思ってたし 」


「あの顔で? 」


「デフォルト…… 初期…… なんなら、生まれる前のお腹ん中とかからかも 」


言ってて悲しくなりますねぇ……


「記憶ねぇのに? 」


「そうだった…… それすら忘れる辺り、さすがのスペックだろ? 」


「コア層も買わないスペックだな 」


「手厳し〜 」


お腹ん中にいた記憶なんて誰もないだろ。いたら怖くねぇか? 俺の場合は、母親も父親もその前もその前も知らないがな。





ーー 緊張してるせいか、時間が早く過ぎてしまったように感じる。もう桜守の試合が終わる。


「はい、そこまで! お疲れ様でした。同じく、採点は後ほど各自伝えに行くので待機してください 」


「ありがとうございます! 」

「はい 」


終わりました〜 採点結果が気になりますが、先に挨拶はしておきますか。後輩の子達もしてたみたいですし。


「お疲れ様でした 」


「これで終わりですね。早急に廃部の手続きと、事後処理をするのが部長の責務ですよ 」


「ま、まだ決まってないですよ? 」


す、すごい…… どストレートに言ってきますね。これがみんなの言ってた、会長ズ? なのでしょうか。


「数学は運に左右されません。したがって、初戦のような奇跡も起きえない。敗北しかない 」


「珠希は実力で勝ちました! 他の部員も、あと1歩及ばずの結果です。それをそんな風に言うのは、納得できません 」


珠希も郷橋さんも松柴さんも、みんな一生懸命やってくれた…… それを否定されたくないです。


「納得も何も、もう意味を持ちません。数分後、結果が出て敗北し、部活は消える…… あなたの成すべきことは部員達に別れの言葉を送るだけ 」


「いいえ…… 私が言うのは、これからも楽しく、そこそこ気楽にやっていきましょうって言うだけです。大会もあるので練習も頑張りますよ〜 って 」


「会話になりませんね。こちらは丁寧に今後の在り方を教授してあげているのに、それを理解できないとは 」


「それはこっちのセリフです。頑張った結果を、頭から否定することって正しいですか? 」


少なくとも私は、そうは思わないです。みんな見えないところで努力して来たって思うので。


「不毛ですね。この試合結果で、あなた達は教師陣から同じことを言われるでしょうから、その時わかるはずです 」


「必ず勝つので、一生わからないと思いますよ 」


「フン…… それでは 」


「はい…… お疲れ様です 」


どうしましょう…… 少しキツく言ってしまった気が…… ううん! そんなことない! 後輩の頑張りも親友の頑張りも、否定されてたまるもんですか!


師匠なら、なんて言いますか?


凍てつくギャグですかね…… さすが師匠!





ーー 試合が終わって、桜守がこっちに戻ってくる


「終わりましたぁ! ぷはぁですよ! ぷはぁ 」

「おっちゅう! 頑張ってたな〜 」

「先輩、お疲れ様です! 」

「お疲れ様です 」

「ありがとうございます! 絶対勝ってるので、楽しみに待っててくださいよ? 」

「先輩なら勝ち確! ですよね 」

「もちです! 」


「乙、やりきった? 」


「乙ありです! やりきりましたよ 」


「なら勝ったな、結果を聞くまでもない 」


お前は勝つよ、もちろんお嬢さんも松柴さんも、勝つと思ってたよ。でもお前は少し違うんだ……


俺の望みだけじゃなく、たぶん他の望みも内包した希望なんだ。だから勝ってほしいと思うのではなく、俺は願ってるのかもしれない。


弟子贔屓なのか? どうだろうな。


「結果は聞きますよ! 聞かないと、生徒会の人に一矢報いることができないので 」


「ほう…… てことは何かあったのか 」


さすがの生徒会ですね。敵意を向かせることに、なんか特別なスキルでもあるのか! ってくらいに、敵意を引き立てるな〜


「うーん…… 個人的な喧嘩です 」


「あらま、そんな短気な弟子だったのか〜 こりゃ破門かもしれない 」


俺の弟子よ、怒るくらいなら疲れるまで言わせてあとはゆっくりって、考えるレベルまで落ちないと。


「えぇ!? それは嫌です! なら…… えっと…… 個人的な…… 個人的です 」


「個人的な個人的って…… 何語だよ 」


言わんとしてることはわかってるよ。どうせ、会長ズの言葉に反応したとかだろ?


「部長語です。師匠も部長になればわかるかもしれないですよ? 」


「一生わからんぞ、それだとよ。ま、なら余計に負けられないな 」


「言ったでしょう…… 勝ち確です 」


「当たり前だろ…… 勝ち確だ 」



もったいないな〜 俺じゃなくて、もっとお前の性格に合った師匠を見つければ良かったのにな。


お前の師匠を名乗るには、俺は諦めることに抵抗しなさすぎるんだよ。負けることにも慣れすぎてる。


言い訳するなら、こっちから師匠させてくれと言ったわけじゃない。それは今も変わらない、辞めたいと言えば2秒で申請通すし。


でも…… 俺くらいのクズがちょうどいいかもな、あんまり良い師匠を持つと、お前は世界を救うことができる人間になっちゃうかもしれないから。




これくらい(俺)の負債を背負ってる方が、色々と勉強になる…… かもしれないぞ。










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