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すんません 、「俺」は、記憶ないっす  作者: 志奏
三章 「果つることなき想いは再びに」
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114話 案外、暗くないぞ



三章 百十四話 「案外、暗くないぞ 」



桜守は強いな…… もしかして、この部で1番強いのでは? そう思うくらいに、みんなの不安や負けたことに対する罪悪感を一瞬で消して、みんなと同じ舞台に行く。


ほんとに弟子か? こんな子から、師匠師匠って言われるのはおかしいって…… 俺が弟子と言われた方が説得力あるよ。


でも俺も思う…… こんな(俺)弟子はいらねぇ。


「行っちゃたな 」


「なんだよ、兵士を送る親みたいな顔してるぞ 」


「さすが得意ゲーがFPSなだけはあるな、そんな風に見えてるとは 」


どんな顔だよ、マジで…… まぁ心配? に似たような感情はあるけど、不思議と負けや戦死することは考えてないんだよ、これがさ。


「緋夏は勝つさ、なんせ最強の部長だぞ 」


「何を基準にした最強だよ…… ま、わかるけど 」


縁者贔屓とでも言うのかな、桜守は最強だよ。どの部活の部長よりも、お前達を考えて、見てくれてると思うからな。


最近知った俺にすらわからせるほどさ、最強すぎるぞ部長さん。


「わかるなら良し、お前に出番が回るから会長の度肝を抜く準備しとけよ 」


「はは…… どうやったらできるかな…… 」


パンツ一丁で裸踊りでもするか! ダメだ…… リアルだと、捕まって割に合わない罰を受けるぞ。


でも度肝は抜けるかもしれない。


「たっくよぉ、どうした? いつも半分腐ったような奴が、今は葬式みたいなオーラ出しやがって 」


「そうか? あとな、葬式って案外暗くないぞ 」


どっちかと言えば明るいぞ、アレ。

2、3年前、女将さんの知り合いのお葬式に参列させてもらった時、参列してる人らはただ酒を飲む集団と化してたから。


こんな明るいの? って思ったよ。


「どうでもいいことでツッコむな…… 緋夏は大丈夫さ、お前もわかってきてるだろ? 」


「なんだよ、もしかして慰めですか? 気持ち悪っ」


「うぜぇ…… んなわけないだろ、お前が腐ってると後輩達にまで腐臭漂うから、あくまでも防腐してやってるだけ 」


「先輩、大丈夫です。それの腐臭…… 加齢臭はよく知ってるんで 」


「みーちゃん…… ぷっ…… 加齢臭って…… ぷふ 」


「お嬢さん…… マジっすか 」


え、加齢臭だと!? そんな匂いしますか? どうしよう…… 22歳にして、オヤジ共の仲間入りかよ。


「なるほどな、これは加齢臭か、納得だわ 」


「納得するな! くんかくんか…… 無臭だよ 」


なんなら無味も備わってるので、無味無臭…… なんちゃって…… 笑えねぇ。


「ほれ、そろそろ始まるぞ…… 見ててやれよ、師匠殿 」


「腐ってる目を覚まして見ますよ 」


「半分腐ってるだけだから、まだ間に合う 」


「そりゃ良かった 」


始まる…… もう緊張とかじゃなくて、これは願いになってるよ。桜守って子に勝ってほしい…… そんな願望になった。





ーー 舞台下、4回目の勝負に臨む2人がいる

そして、科目を確認する教師の姿もある。


「それでは4回戦目を始めます。科目は数学で間違いありませんね? 」


「大丈夫です! 」

「問題ありません 」


「それでは、位置について開始を待ってください 」


「はい! 」

「はい 」


あっ、やっぱり挨拶しとくべきですよね。それにみんな、なんか言ってたような気が…… ですます口調のなんとかかんとかって。


「今日はお世話になります 」


「全くです。正当な理由なので、早々に承知してくれれば良かったのですがね 」


「あはは…… さすがにそれは無理ですよ。だって、やっとまた始まりそうな時に廃部なんて、受け入れることができないです 」


先輩達が卒業してからは、珠希と2人だけ…… それも楽しかったです。でも…… やっぱり少し寂しいって思ったんですよね。


先輩達から、みんなでやる楽しさを教えてもらって、実際に先輩達といろんな大会に出て、楽しかった思い出をたくさんもらいました。


だから…… 今いる後輩達にも、楽しかったなって思ってもらえる部活にしたいんです!


「始じまる? 何を言ってるんですか、顧問不在の認可されていないものは、最初から部活ではありません 」


「それは! 前任の先生がいなくなっただけで…… ちゃんと、申請は通ったはずです! 」


「それが間違いなのです。あくまでも、不在から二週間以内に新しい顧問を見つける、それが認可される条件です。他の部活動はちゃんと従っているのに、あなた達だけ特別扱いはできません 」


「はぅ! それは痛い…… でも、だからっていきなりすぎるんです! 事前に知らせておいてくれたら、もう少し違うーー 」


「あなた方が、よっぽど優秀な生徒ならいざ知らず、程度が知れてる輩にそこまで温情をかけるわけないでしょう 」


「たしかに…… 優秀ではないです。いつもゲームしてるだけですから…… あはは…… それでも、私以外の部員はみんなは良い子達なので、程度が知れてるなんて言わないでほしいです 」


私はたしかに、勉強はそんな好きじゃないです。それに部活のやりくりだって、珠希に結構やってもらってましたし…… そのせいで、顧問不在を放置してたんですけど。


でも関係ない…… 珠希も郷橋さんも松柴さんも、みんな優しくて、ゲーム大好きの同士なんです! 程度なんて、測ってほしくない!


「事実を認めることができない、やはり会長の言う通りですね。もっと早くに対処すべきでした 」


「認めません。だって私も程度なんて知らないのに、そんなの認められるわけないです 」


「口論なんて不毛です。どの道、負けて終わりなんですから 」


「んふふ〜 絶対に負けません! 会長さんに、出番回るので覚悟しておいてください 」


師匠ごめんなさい! とんでもないこと、言ってしまいました…… 内緒にしようかな。


「それこそあり得ないですね 」


「お互いに頑張りましょうね 」


師匠にバレたら怒られるかな? ううん…… ものすごい、へんな角度からの仕返しを受ける気が……


とにかく頑張りますか!





ーー 事実上、最後の試合が開始された。


「桜守って、数学得意だったのか…… 以外だ 」


あいつのことだから、家庭科が得意です! とか期待してたのに、ガッカリだよ!


「しかも、数学だけ! は、学年上位なんだよ 」


「すげぇ…… ほんと偏ってんな〜 この部のパラメータはよ 」


得意ゲーもそうだが、勉強まで偏ってるとはな…… 数学で学年上位って、俺は師匠でいいのですか?


「るせぇ仕方ないだろ、私は日本史がなんでか得意っていうか、覚えられたというか 」


「ごめんなさいね、古典で…… しかも負けました 」


「私…… も、英語…… 」


「いやいやいやいや! お嬢さんも松柴さんも、大したものですよ。それにたしか…… 昔、成績表みせてくれた時は、どれもいい感じだったと思いますが 」


女将さんも言ってたし、基本勉強はできるって。

そりゃこんな学校に受かるんだ、頭良いですよね。


久野と桜守は…… 裏口なのか? 失礼だな。


「私は違うぞ、日本史以外やばい…… 」


「なら良かった、それで負けたら笑うしかないな 」


「古典…… 得意なのに負けた ……」

「英語…… 好きなのに…… 負けました…… 」


「いっやぁ! 勝負なんて、時の運ですよ! たまたま出題されたやつが、悪かったんすよ! 」


俺って、こんな空気読めないのか? やばいな、自分のことは愛してやりたかったが…… 愛想が尽きそう。


「なら、緋夏はどうだ? 数学は時の運じゃないぞ 」


「そうだな…… ふふ…… 勝つよ、桜守は勝つ 」


「お、いいね〜 わかってるじゃん 」


「負けるかもなんて言ったら、殺すだろ 」


知ってるぞ、絶対にお前は桜守に対するネガティブを許さない。つまりは殺られるんだろ?


「まさか…… そんなわけーー 」


「ん? 違うのか 」


意外だ、ぶっ殺す! くらい、あると思ってたよ。


「お前だけさ! 」


「あぁ…… ですよねぇ…… 」


うん…… なんとなく、オチは読めてたよ。




それにしても、勝つよ…… か、またまたらしくないこと言ってるな。さっきまでは、余裕で勝てますよ! とか、連呼してだけど…… これは違う。


雰囲気に流されない中での言葉だ。だからこそ、らしくない…… そんなに何かを信じたり、希望を抱いたりはしないと思ってたからな。


はぁ…… 勝ってくれ、桜守


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