109話 うっえ……
三章 百九話 「うっえ…… 」
頑張ってる姿を見て俺は何を思う? 頼りになるなぁとか、勝てそうだなぁとか…… それくらいしかない。情けない…… でも仕方もないんだ。
この子達には申し訳ないと思ってるよ。最初は参加しただけでも、ありがたいって思ってくれよ?
と…… 考えてたはずで、揺るがないはずで、そのはずなのに…… ちょっとだけだが、自分を戦力として数えられないことが少しだけもどかしい。
「勉強か、俺もできたらな…… 」
つい言葉が漏れてしまった。
「師匠? 」
「いや、もしできたら…… ほんとの意味で力になれたかなって 」
こんな風に考えさせられる日が来るとはな…… それでも俺は自分を肯定する自信があるけどね。それすら無くなったら、何も無い奴になりそうでね。
「何言ってるんですか、もう充分に力になってますよ。ここに参加できること…… 廃部宣告に抗うことができるんですから 」
「人数合わせなら俺じゃなくても、なんとかなってたよ。一緒に参加してるけど、同じ舞台に立つことができないんだ…… いないのと変わらない 」
またまた情けない、高校生にこんな吐露をするなんてな…… 呆れていいぞ。とっくに呆れてかもしれないけど。
「それは違いますよ。だって他の人は、あの会長に逆らわないですもん…… 師匠は違うでしょ? 」
「1人なら逆らわないさ、徒党組んでるから抵抗しようと思えるだけ…… ソロだと圧倒されてお終いだ 」
攻略難易度高すぎてね、あの子。第一に攻略するのに必要なスキルがないんだ。
「みんなと一緒でもしないですよ。師匠は一緒になら、抵抗してくれるし、何よりゲーム好きですよね! 」
「え…… もちのろん 」
「それが一番なんですよ。これからも一緒やって行きたいな、遊びたいなって思ってくれる…… そんな人じゃないと意味がないかもなんで 」
「そこまでプラスに考えんな…… 俺は…… サボって、楽して、そんで給料を貰いたいだけ 」
なんだろう…… 嬉しい? からなのか、素直に認めてあげれなかった。マジでどうしたんだ俺は?
「うわぁ台無し〜 」
「お前…… 絶対、結婚とか恋愛とか恋とかできないタイプだな。それに気にしてたのかよ、勉強できないこと 」
「あんたができないのは、今始まったことじゃないんだから気にしてもダメでしょ 」
「そ、そうですね〜…… そうでしたね。俺に期待する方が悪いんすよ 」
結婚? 恋愛? 恋? どれも同じだろ。それと自慢なんだけど、どれも経験済みです…… 電源を入れればすぐにでも、待っている愛しのヒロイン達。
ーー 少しだけ罪悪感に浸りそうになりかけて、すぐ開き直ったところで…… 試合終了の合図があった。
「手を止めください。後ほど採点して報せるので、少し待機していてください 」
「はい 」
「はい 」
終わった…… 結果はどうなのかな? 考えるだけで、今にも倒れそう。
「終わりましたね。結果はまだですが、聞くまでもないと思っています 」
「…… お疲れ…… 様です 」
また嫌味かな、それしか取り柄がないとか? 宮田さんでも、もう少しまともな取り柄あるのに。
「フッ…… それでは失礼します。先輩として、後輩を良き道に戻せると思っていますよ 」
「…… …… 失礼します 」
先輩だったんですね。てっきり、難癖つけてくる老害かなって…… 言い過ぎかな?
みんなのところに戻ろう。
ーー松柴さんが、こっちに戻ってくる。なんか言葉かけた方がいいのかな?
「お疲れ様、初絵! 」
「乙です!松柴さん 」
「乙〜 」
「ありがとう…… ございます 」
「お疲れっす。余裕でした? 」
「たぶん…… ですけど 」
「お疲れっす 」
てことは勝ちですね! フラグ? ふっふっふ…… そんなものはないと、さっき学んだからな。勝ちは揺るがないなんだよね〜
「松柴さんって、英語得意なんですね。対抗戦のだと、難しくないですか? 」
「元々…… 少しだけ得意で、自分で調べたり、勉強してたりしてて 」
「え…… 英語だったんすか、今の? 」
やべ、久野が勝ったことで、全然聞いてなかった。
「師匠〜 聞いてなかったんですか!? 」
「メンゴ、そっかぁ英語っすか 」
「しかも高校レベルより上だぞ。この対抗戦に出されるやつは、大学入試から大学一般レベルを基準に作られてる…… どの科目もな 」
「マジでか…… 力になれないどころか、存在が霞むレベルじゃん俺だと 」
なんで高校生のいざこざにやる対抗戦に、大学レベルを採用するの? どんだけ意識高いだよ。
「松柴、生徒会の連中どうだった? 」
「えっと…… ですます口調の…… 面倒くさい人達?」
「だよな…… ふふっ 」
「それって会長じゃん 」
なに、生徒会のメンバーって全員そうなの? 流行ってるとかですか。そんな流行りはいらない。
「そーそ、ザ・会長ズ!って感じ 」
「うっえ…… 面倒くさ 」
考えただけでも、クソだりぃな。よくノイローゼにならないよ、役員達は。
「師匠…… さすがにうっえは 」
「あんたが複数いても、バイオハザードなんだから人のこと言えないの 」
「お嬢さん…… なんでディスりが…… 」
でもたしかにバイオハザードだ。半分死んだ目って、よく言われるし…… ゾンビの才能でもあるのかな?
「あっ、来ましたよ。先生 」
「どっしり構えてれば大丈夫だ 」
「初絵なら、勝ってるって! 」
「う、うん…… 緊張する 」
「大丈夫っすよ。勝ってますって 」
どうせ勝ってるんでしょ? そうじゃないと、ドラ○もんに頼んでタイムマシン用意させるけどいいの?
さっきと一緒だ…… 俺が緊張するなんて、おかしいだろうけど許してくれ。どうにも緊張してしまうみたいなんだ。
できれば、もうちょい違う緊張がしてみたいよ。




