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すんません 、「俺」は、記憶ないっす  作者: 志奏
三章 「果つることなき想いは再びに」
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100話 ホジホジされてこい



三章 百話 「ホジホジされてこい 」



久野と2人か、やった!女の子と2人きりだ! なんてことは不思議なことに、これ微塵も感じない。


むしろ、このメンツかよ…… って感じ。


「対抗戦まで勉強でもすんの? 」


なんてたって今日は、この部活が存続するかしないかが、決まる日だ。少しくらいは緊張して、ことに臨むんだよな?


「いやいや、もう勉強はしたから後はゲームでもしてリラックスだな 」


「勝てんのか? 負けたらお終いだぞ 」


頑張ってくださいよ? 負けたら、俺の居場所…… もといサボり場所が無くなるので。


「今からまた詰め込んでも、そんな一朝一夕の付け焼き刃が通じるわけないじゃん 」


「はは、そりゃそうだ。観てるだけの俺がエラそうに言うことじゃないな 」


「わかってんじゃん。ま、それでも…… もしもの時はお願いしますよ? エロ師匠 」


「お願いされても何できないです。それから、その呼び方はやめてください。お願いします 」


なにエロ師匠って…… さっきの会話からなら、誤解だって言ってるでしょうが。


「緋夏に同じことしたら、たぶん私は刃物か刀かソードを持って、お前に会いに行くから気をつけろよ? 」


「それ全部刃物だろ…… そんな心配はいらない。あいつに欲情するほど、俺の守備範囲は広くない 」


しかしこれは3次元にのみ適用されます。

2次元だと、いくら相手が小学生だとしてもお付き合いすることになるでしょう。


「わかってないな緋夏は可愛いのに、それに気づかないなんて人生の8割損してる。私は知ってるから、人生薔薇色だ 」


すげぇ理論だな。それが本当なら、世の中の9割以上の人間が損してることになりますね。


「なら残りの2割で生きていくので、薔薇色でも百合色でも好きに生きて行ってください 」


「百合色は気づかなかった…… アリだな 」


「…… 」


余計なこと言ってしまったかもしれん。

しかし聞かなかったことにしよう。





久野はゲームをしてる。なんにも考えてないかのように、普段と変わらない表情でプレイ中だ。


「この死にゲー…… 腹立つわ〜 」


俺が持って来たやつか…… 桜守も頑張って効率してるんだっけか。


「死にゲーはそういう仕様だ。あんだけ格ゲーが上手いんだ、クリアできると思うぞ 」


「格ゲーとは別だろ。あっちは死なない 」


「そりゃお前が上手いからだ…… 俺はよく負けるから、画面にゲームオーバーかユーアーロスの文字が出てくるよ 」


つか死なないって…… どんだけ上手いんだよ。イヤミですか。


「なるほどな、そうやって相手を褒めるのがナンパの手口ってわけか 」


あうあう〜…… まだそのネタ生きてるのですか?

ほんと嫌いだからね? そのナンパという行為が!


「まーだ言ってんのか…… お嬢さんの勘違いというか、いびりというか、参ったよ 」


「よく言うよ。英語で返すとか、狙ってやる以外に何があるんだし 」


「別に狙ってねぇし。英語で話してきたから、こっちも礼儀として返しただけ 」


すまん…… 実はちょっとだけ格好つけました。

でも他意はない! ナンパとかそういうのは、ほんとないから。


「普通はしないだろ 」


「普通は返すだろ。相手は大変有り難い言葉を言ってくれたんだ、こっちが礼儀を欠いてどうする 」


「変なところでクソ真面目な奴…… それが、普段からできないからダメ仕様なんだな 」


うるせー!そんなのはわかってますよ! でも、普段からそんなに気を使ってたら、ストレスでバグるよ。ストレス社会にはノー!と言いたい。


「ダメ仕様の方が期待されることが少なくて済む。俺のは、初期からダメ仕様だから安心 」


「初期からって…… 記憶無し設定の奴が言うことか? 」


「え…… いやぁ…… そりゃそうだな 」


お、いきなり記憶無しをネタに使われた。まぁこっちもその方が楽って言ったからな。


「ネタにしてくださいって言われたからな、存分に使わせてもらう 」


「そんなお願いはしてない。でも全然オッケーだ。だが残念、設定ではなくマジだから 」


「お願いしてたろ、どうか! どうか! この記憶無しを存分に楽しんでくださいって 」


「耳鼻科行って、お耳ホジホジされてこい 」


いっぱい詰まってそうだぞ? そんな面白いくらいの聞き違いできるんだから。下手したら、もっとひどいことになってるんじゃ?





「実際、どんな感じなんだ? その…… 記憶無しってさ 」


「別に何も…… 起きたら病院で、あなたは記憶無いですよ〜 って言われて、それを俺が受け入れることに成功してるってだけ 」


あとは…… 説明してくれたのが久瀬谷さん、だからかもしれない。なんでだろうな。


「能天気というか、アホというか、バカというか、宮田というか、だな 」


「おいおい最初の3つはわかる…… だが宮田って…… それ俺じゃないですか 」


能天気、アホ、バカ、これらと同列に扱うってことですか? そうなんですか?


「つまりはそういうことだな 」


「あぁ…… なるほど。宮田って呼んだの初めてだな、さんを付ければ完璧だ 」


バカの同義語として扱うのは許してやろう…… しかし、それならせめて敬称でーー


「さん付けなんて今更でーす 」


「ですよねー 」


こんのぺったん子がぁ!


言ってやりてぇ…… 絶壁、ただの無、貧しい胸板ってな! 殺されるから黙ってやるけどね!


「警備員やこいつとかだと、たまに他の人と間違えるだろ? 名前で呼んだ方が楽でしょ 」


「好きにしろ…… どうせ何言っても、聞かないだろ? 」


お前が好きで好きでたまらない子のおかげで、その辺りはとっくに学習したよ。


「よくわかってるじゃん 」


「嫌々ながら、わかってきただけ 」



だいたい、お嬢さんと一緒に働いてた時から聞かない子っていうのには少し耐性があった。


でも、桜守やお前はまた別格に聞かないんだよ!

耳の機能をちゃんと使ってくださいね?


俺だって一応は歳上なんだからね!





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