99話 今更だろ
三章 九十九話 「今更だろ 」
桜守の意外な一面? 以外なところ? を見た気がする。料理を作るってこと自体をしないイメージだったからな。
ていうか、できないと聞いてたんでね。
「どうです? 私への評価、グングン伸びてるんじゃないですか? 」
「私は元から、緋夏への好感度はMAXだから 」
うんうん…… 評価と好感度は違うだろ。
しかし聞かなかったことにしよう。
「うぅ…… 私が作るのより、たしかに美味しい 」
お嬢さんのは、美味しい以前の問題があります。
過程はできてるのに、なんで余計なことをするのでしょうか。
「伸びてる伸びてる、たしかに美味いよ 」
「女子力高いんです! 」
「そうだな、行く末が楽しみな限りですわ 」
女子力ね〜…… でもあれって、ファッションや美容云々とかもしなきゃダメだったよね。
女の子は年中、大変そうだ。俺なんて、買ったジャージが3着同じなのが届いたから、洗い回して着てるのに。
「ふっふぅん、お嫁さんにもなれます! 」
「緋夏なら、即もらうよ〜 なんならもらってくれてもいいかな 」
こいつすげぇ…… 聞かないようにしたいけど、耳から入ってきて、出ていなかいよ。
「良いお嫁さんになれるんじゃない 」
桜守はコミュ力高そうだし、元の人間性ってやつかな? それも悪くないと思うし……
にしても、一週間そこらの関係なのにどうしてそんなこと思えるのか不思議だ。
「!! えへへ…… うへへぇ 」
キモッ…… 何だその表情は、緩みきってるんですけど? 孫にチヤホヤされてる年寄りかよ。
「さっすが、稀代のナンパ師は言うことが洒落ね 」
「ナンパ? 」
「はっはー! ナンパしたのか、こいつ 」
「成功するわけな…… ほんとに? みーちゃん 」
「ちょ、何言ってるんすか!? 」
マジで何言ってるんですか? 俺の嫌いな行為ベスト3にランクインしてることを、俺がするわけないでしょ! てかできるわけねぇ。
「し、師匠は…… ナンパ師匠? 」
なにナンパ師匠って、やめてくんない。
「残念だな緋夏、やっぱり見境なくエロイことを考えてるってことだ。これからはエロ師匠って呼んでやれ 」
ねぇ泣くよ? ここで22になる男が、そんなの嘘だ!って泣き散らかすよ?
「それって今朝のバスでのこと言ってます? それなら、誤解だと知ってるはずっす 」
「そう? どっからどう見ても、綺麗な人に良い格好する奴にしか見えなかったんだけど? 」
「綺麗な人って、誰です!? 」
「いやほんとに違うんですけどーー 」
ーーーー そこからバスでの経緯について説明する。
なんでこんな説明をしなくちゃならのだか。
「なるほど…… それはナンパですね! 」
「ナンパだな 」
「そうですよね! 」
「やっぱりク…… ナンパに近いかと 」
なんでだ〜!!! なんでだよ〜…… 違うだろ〜
「どこがナンパなんだ…… たしかに、綺麗な人だなとは思いました! しかし、一切やましい気持ちはありませんね。3次元だしそもそも 」
「綺麗なのは認めましたね 」
「緋夏? こういう奴だったんだ、もう師匠じゃないな 」
「認めたわね 」
「認めたね 」
「いや…… それは…… その…… まぁ…… 」
綺麗だったよ?それが何? なんか悪いの?
だって金髪ってさ、日本ではギャルちゃんしかいないと思ってたから、純金髪ちゃんを見ると新鮮な感じがするだけだし。
「師匠はその人のこと好きになったんですか? 」
「面白いな、そしたら俺は3次元に惹かれたってことだ。もしそんなことが現実で起きたら、自分を褒めてやりたい 」
あのシスターさんには、別に惹かれてねぇし?
俺より若く見えるのに、なんで聖職に就いてるのかな? って思っただけだし?
「なら、師匠の好きな人は! 」
「もの○け姫のサ○です 」
俺の初恋、俺の想い人、俺の夢。
「今のでわかりました。私は師匠を信じましょう! 」
今のどこに信じる要素が? 他にありませんか? すいません、ないですね。
「もしかして、わかってくれるのか 」
「大好きです! 」
「さすが弟子だな 」
「初めてですね、弟子を公認したの 」
「今更だろ…… 」
ほんと今更…… 俺がなんと言おうと変わらないでしょう? 変わったら、苦労ないよ。
「郷橋さん、たぶん誤解ですよこれは 」
「…… 絶対ナンパでした 」
「お嬢さん、いくら綺麗でも3次元は3次元…… 俺の好みはーー 」
「2次元寄りの子…… でしょ。アホか 」
「わかってるじゃないっすか 」
「私の好きな人はですねーー 」
「ごめん、どうでもいい 」
「ひどくないですか!? 」
誤解は解けたのかな? それとも継続中? どちらにせよ、今は乗り切ったのかな…… 桜守のは今度聞いてやる。
みんな、お昼を食べ終えた。俺も終わった。
さっきは、色々な意味で終わりそうだったけど。
「お腹いっぱいです〜 」
「緋夏、お茶飲む? 」
「いただきます! 」
「そろそろ、5限始まりますね 」
「そうだね 」
「そういえば珠希は5、6ないですよね 」
「ない、つまり遊びながら待機 」
「うらやまです 」
「なら、気をつけてくださいね。そこの変態予備軍と待機になると思いますから 」
「大丈夫だ。何かしてきたら、ゲームでしかやったことのない技を使う 」
「そんなぺったん子のぺったんこに何もしないっす」
「今からやるか? 」
「大変申し訳ございません 」
クソ! 事実を言っただけなのに! 絶壁でぺったんこで暴力女…… 素晴らしい三拍子ですよ。
「師匠はデリカシーがないですねー 」
「俺にそんなものはない。あるのは、デリバリーサービスの電話番号くらいだ 」
デリバリーで注文できないかな、そのデリカシーってやつを。
「無駄ですよ先輩、そういうのだけはいくら修行しても覚えられなかったんです 」
いつそんな修行しました? 女将さんに習ったのは、今もよく覚えてますけど、そんな内容のやつはありませんでした。
「なるほど…… そこはダメですね 」
「そこも! ダメなんですよ 」
あれ? なんでこんな否定されてるの? 誤解はどっか行ったんじゃないの? また帰ってきたの。
「じゃあ私達は行きますので、また後で…… 師匠? 3次元も悪くないですよ 」
「行ってら、あと3次元なんかロクなことないからやめておけ 」
リアルだとリアルマネーがすぐ無くなるよ?
テレビを見てそこは学んだ。
「綺麗って思えたなら、見込みはあります。それじゃまた 」
「じゃあ、あとでね 」
「行って…… きます 」
久野と俺以外は授業に向かった。どうしよ、何をすればいいんだ?
対抗戦まで、あと2時間もないのか…… どうすれば帰れるかな。久野に賄賂…… って、そんな金はなかったわ。
こいつと2人か…… 身の危険ていうか、命の危険ていうか、経験に基づく何かを感じます。




