九六 一週間の行動
翌日から予定通りの生活が始まった。
朝起きて飯食べて身支度をして、まずはみんなで朝の頭の体操・麻雀である。
ヨーコさんにはちゃんと反省頂いて、半荘五回と約束しての勝負である。
いくら寝ずにやっていたとはいっても、こういうのは運が占める割合が多い上に、一朝一夕でうまくなるものでもないので、皆それぞれほぼ同レベルで楽しく過ごせた。(ワシはミケのサポートだったわけだけどね)
それから昼飯までは、ワシは料理の仕込み(旅路用と昼飯)をし、タマキはミケと護身術、昼飯後はワシも護身術の方に行くと言った具合でそれを夕方まで行う。
晩飯を作り食べ、風呂に入って夜の寝る前の頭の体操をする。ここでは麻雀だけではなくオセロや将棋、チェスも加え、やりたい者同士でやるといったスタイルをとり、小一時間位遊ぶ。
ここで驚いたのがメイのオセロの強さだ。ほとんど勝てない・・・。本人いわくイメージトレーニングの成果らしいけど、ヨーコさんに捕まって麻雀の相手をさせられていたのによくそんな時間があったなぁ。
その後は就寝・・・・とはいかず、タマキとの夜の格闘技でくたばったらようやく一日が終わる。
だいたいほぼこのライフサイクルが続くことになった。
まず料理の方だが、一週間でどれぐらいの量ができるかのトライアルゲームのように楽しみながらやることが出来た。
肉や野菜、魚の下ごしらえや味付けだけではつまらなくなると、味噌汁とかコーンスープを作ってそれをまるごと凍らせてみたり、普通に干物を作ってみたり、何度か出来を確かめるために解凍したのを食事にしたり、また時には失敗したり・・・・実験のような楽しさもあったな。
だから、やり過ぎてしまった・・・あきらかに二週間分以上の物量だ。下手すれば二ヶ月分位ありそうだ。もっと考えて作っていればよかったよ。
しかし作ってしまった物は仕方がない。氷漬けやらの山を道具箱にしまいつつ少し反省するのだった。
護身術のほうは順調だ。元より何事も頑張るミケ。教えたら教えた分だけ頑張ってくれる。
さすがにタマキに教えたときよりは覚えが遅いけど、なんの問題も無い。ワシが教わっていた時よりも大分上達が早いしね。
タマキは存在自体がある種のチートだからな。天才を参考にしてはいけない。
二人体制で教えていたのも良かった。
なにせ経験者と素人ではその差からやはり分かりずらいところが出てきてしまう。
その際実技をもって実際にやってみせるのが手っ取り早い。両方経験者ならばムリヤリではなくちゃんと技となって説明できるからな。
時折、模範演技としてタマキを投げたり、こっちが投げられたりしたんだけど、流石に年季の分ワシの方が流れるように技を決めるんだが、それだけだった。技の威力・重心の捉え方・転がし方、全てワシの完全コピーだ。
タマキは島を出る一年ぐらい前に一通り教わったということでそれ以降は護身術を使っていないはずなんだけど・・・・。本人曰く、『カラダが覚えておるものぢゃのう』である。
これに老獪さとか熟練さが加わればそのうち護身術ではタマキに抜かれるかも知れんなぁ。
一番問題だったのは夜の格闘技だ。
初日に九つを終えたし、このペースならば、なんて思っていたんだけど、甘すぎるよね。
そうそう毎日毎日は回復しない。いくらワシが若いと言っても、いくらタマキがすごく魅力的であったとしてもだ。なにせ毎日毎日限界まで絞られているからね。
ほんと、なんで四十八手なんだろう・・・・。もちっと少なければよかったのに・・・・。
タマキも毎日はきついかのう、なんて言ってくれてはいたんだけど言うだけだった。
この言葉は単に感想を言っただけに過ぎず、心配してるとかそういうのじゃなかったからなぁ。
尻尾での愛撫を入念にしてきたり、接吻の時間がいつもの倍以上だったり、新コスチューム・ミイラ女で現れてみたり・・・あの手この手でワシを元気にさせてくるんだけど、なかなかねぇ・・・。
しかしタマキはどうしても制覇したかったんだろうな、四十八手・・・。
その思いに応えたいワシもヤマイモに似た芋やレバー、ニンニクなんかを食べたりして頑張ったんだけどね。
その甲斐あって、最後の夜になんとかぎりぎりで四十八個目の体位を終えたんだけど、ワシはもう一滴も出ないぞ・・・・コレ・・・・。
「や、やったのぢゃ・・・・古の体位・・・全制覇なのぢゃ・・・」
そういってベッドに倒れ込むタマキ。どうやらタマキにとってもそれなりに厳しい戦いだったみたいだ・・・・・ってワシら夫婦はなにと戦っていたんだろうな・・・。(遠い目)
倒れて数秒でもう寝息が聞こえる。眠るその顔は充実感と満足感に満ち溢れている。
見るからに幸せそうだ・・・。
タマキのこんな顔が見られたのだから、頑張った甲斐があったというものだ。・・・・当分は勘弁願いたいがね・・・。
タマキの幸せな顔を見ていると、自然とワシにも充実感が感じられる。
疲労感から震える手でタマキの髪を撫で、ワシも目をつむり一週間戦い続けた体を休める。
夜が明ければ一週間ぶりにユーミさんと合流、そして旅路の再開だ。
今はこの充実感に包まれて眠ろう・・・・・。




