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九三 幼女の正体は半端なかった

目の前にいるどう見ても幼女な彼女が国王・・・。

そう言ったのはこの世界での最も信頼のありそうな組織のナンバーツー。

やばいよなぁ・・・だってワシ、ちゃん付けで呼んでるんだぜ。タマキに至っては呼び捨てしてるんだぜ。

今考えれば、妙に上から目線だったり、欲しい物は即座に手に入れる性格だったり・・・うん、どう考えてもワシのイメージ上でのお貴族様だよ。

そして先程戦っていたのが近衛隊長・・・。問題ありまくりだな。投げ回しちゃったぞ。

どうするか・・・・テンプレ通り土下座する?いや、なんか違う気がする・・・。


「はあ・・・」


考えを巡り巡らせでたワシの一言はなんともつまらない物だった。


「あら?意外と冷静ね。もしかして知ってた?」


「いや。知って無いですよ。証拠にミケが泡吹いて気絶してますよ」


衝撃の事実を知らされた途端、顔を青くして目を回し泡を吹きながらミケは倒れていた。今はタマキが膝枕してあおぎ看病している。

う~ん、ミケは体とかは大分強くなってるんだけど、精神面が脆いなぁ・・・なんとか鍛えないといけないなぁ・・・。


「ただ・・・受け入れるしかない状況なので諦めの境地というやつですよ。近衛隊長を投げたり、国王をちゃん付けで呼んだりやっぱり問題ですよね?」


「その辺は大丈夫じゃないかしら。案外ちゃん付けで呼ばれるのも良かったんじゃないの?」


「そうじゃぞ。改める必要はない。万が一公式な場面で会うことがあれば問題になるじゃろうが、それ以外では今後ともちゃん付けで頼むのじゃ。なんか新鮮だし、若く見られておるみたいで気持ちもいいしの」


“若く”じゃなくて“幼く”見えているんだけどね。


「こっちの方も問題ない。もとよりこちらが無理言って戦ってもらった結果だからな」


ユーミさんの方も問題ないようだな。


「で、どうして貴女のようなのが、ここにいるのかしら?ユーミさんに確認したところによるとまた我儘っぽいのだけど」


「なっ・・。わ、我儘とはなんじゃ!うちはただ新兵訓練をするからしばらく留守にすると言ったユーミにそれなら暇じゃしうちも連れていけと言っただけじゃ!そしたら思いのほか強いのがおったので避けながら来たら、いつのまにかここにたどり着いておったのぢゃ」


「世間一般ではそれを我儘だと言うのよ・・・。国の方はいいのかしら?」


「次期国王候補共にこの機会に励んでみよ、と言って来たのじゃ。何かあれば近衛から連絡が来る手筈じゃ。幸いうちの国は武闘派ぞろいじゃからはかりごとをする奴はおらんがのう」


「・・相変わらずいい国だわ。他の国はもうちょっと貴女の国を見習うべきだわ。でもどうしてこんな南の地?魔物に追われたにしてもちょっと遠すぎじゃない?」


「それが、最初の予定ではシンザンまでの予定だったのですが、運悪く途中で噴火と共に朱雀に出くわしてしまったのです。それから逃げていたらたまたま南の方に出てしまった。さらに追いかけてくる朱雀をようやくまいたとおもったら、ヒキコサンというのに出会ってしまい引きずられながらここに来ちゃったといった具合です」


「それは災難だったわね。・・・それにしてもヒキコサン?聞いたこと無いけど、魔物?」


「多分そうじゃないかと・・・タマキさんに魔法でやられちゃいましたが。どうも魔法しか受け付けないタイプだったんじゃないかと」


ユーコちゃんの話を継いで、ここまでの経路を詳しく説明するユーミさん。

北の方から来たという事よりも、ワシの興味は話の中に出てきた朱雀だ。なんなんだこの世界・・・四神までいるのかよ。

神が多すぎるよね。あくまで前世での神だけど。


「事情は分かったわ。特に詮索する気も無いし、ギルドとしても私個人としてもこれ以上興味も無いわ。で、どうするの?」


「どうするのとは?」


「私はこれからギルドに帰ってここのダンジョンに調査団を手配したり、ベースキャンプを作ったりそれなりに忙しいんだけど、城に帰してあげること位なら昔のよしみでしてあげるわよ。どうみても貴女達疲弊してるじゃないの。そのぶんじゃ転送石も持ってないでしょ?」


「まあ・・・持っておらんしそろそろ戻りたいが・・・いいのか?あれだってただじゃ無いじゃろ」


「仮にも国王がそんなしみったれたこと言ってるんじゃないわよ。今の私はモリーさんたちに珍しい槍を貰えて気分がいいから特別よ」


「それじゃ・・・・お願いするかのう」


どうやらユーコちゃん達とはここでお別れらしい。


「ついでに貴方達も行ってみる?この国の首都というところに」


「ん?一緒に来るのか。命の恩人たちじゃし、大歓迎だぞ!」


勧誘してくる偉い人たち。たしかにいずれは行ってみたいけど・・・


「今回は遠慮しておきます」


「そうぢゃの。あくまで旅が目的ぢゃから、転送とかでたどり着くのは違うのぢゃ」


「それよりライムさん。ここ、どこです?」


「どこって・・・・説明しようがないけど・・・しいて言うならダンジョンが近くに見つかった道、かしら」


どういうことだよ。


「ワシたちライムさんに言われた村を目指してたんだけど・・・・」


「ああ、そういうこと。それなら間違っていないわ。この道をあと・・・人の歩みで二週間ってとこかしら。ずっとほぼ道なり。道中なにがあるってわけじゃないし、あの辺境からここまで来たのと同じような感じね」


道は間違っていないけど、まだまだこの感じの旅路が続いちゃうのか・・・・はぁ・・・。

でもまあ、いいか。魔物退治だけじゃなく、ミケがさっきの護身術もどきに興味を持ってくれたし、それを教えながら行くか。

そんな青写真を描いていたら、向かいから真剣な声色で立候補をうけた。


「それならば私を案内役に使ってくれないか?」

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