八 彼女はワシが美幼女に育てた
立っていたのは金髪碧眼、ロリィな美幼女である。
十中八九、さきほどまでいた九尾の狐だろう。
頭から生えているキツネ耳。
腰まで伸びた金髪。
ぱっつんに近い自然と生えそろった前髪
右目の下に泣きぼくろ、口の左下にセクシーぼくろ。
あ、鼻だけ狐の魔物っぽく黒くつやつやしてる。
肌にはシミなど無い、これほど綺麗な肌見たことない。
上半身はぎりぎり見れるけど・・あ、ちっぱいだなぁ。下半身はちょっとみれない。
なにせ全裸なのだ。
いくらここでは五歳だとはいえ、ちょっと恥ずかしい。
前世は枯れることなく生涯現役だったからな。
むしろモンスター娘というジャンルが出てきて現役復帰したというのが正しいか・・。
もともと少しロリコン気質があった(もっとも周囲の人には気づかれないようにしていたが)ワシのどストライクである。
失礼ながらちらちらと見ていると、美幼女が困った顔で尋ねてくる。
「・・というわけなんぢゃが、理由とかわからんぢゃろか?」
なにが「というわけ」なのか分からんのだが、何の理由だろうか?
「え、ええと?ど、どういう事で何の理由ですか?」
ヨーコさんが恐る恐る尋ねる。どうやらワシと同じ疑問を持っていたようだ。
「つまりぢゃな。ウチの本来の姿は狐の姿なのぢゃ。さっきのがいつもどおりの姿ぢゃったんぢゃが、召喚されてきてみれば、いきなりこの姿になってしまったのぢゃ。この姿で現れるのはちょっと気が引けたのでいつもの姿に変化してたのぢゃ。ほれ、ファーストコンタクトのとき光る時間ながかったぢゃろ?それは召喚の上ウチが変化の術をつかったからなのぢゃ。で、なぜこの姿になったのか何か知らんかというわけぢゃ」
まくしたてるような説明を受けたわけだが、いきなり饒舌になるものだから少し驚いた。
・・・つまり美幼女の姿にいきなり変わった理由を知りたいということか。
で、本人にはその理由に心当たりが無い・・・か。
召喚術に詳しいみたい(少なくとも召喚術を使ったヨーコさんに召喚術のなんたるかを説き説教できるぐらいに)だし召喚術の副作用なんていうのではなさそうだな。
いきなり美幼女になった理由の心当たりかぁ・・・・あ!?
も、もしかしてぇ・・・・・・
「うーん。申し訳ないがちょっと心当たりが無いのです。というかいきなり人化するのは九尾の狐様が使ってらっしゃる変化の術ぐらいしか知りませんし、それは人とつく種族には使えない上に自身にしか使えません」
「やはりそうよのう」
話をしている二人を横に、静かにワシは鑑定でステータスを視る・・
・・・無くなっている。スキルが一つ消えている。
スキル欄から魔物擬人化が消えている。
"はじめて出会ったモンスター"とは召喚も含まれていたか・・
しかも種類とかじゃなくて本当にワシがはじめて出会ったモンスターという意味だったか・・
♂モンスターじゃなくてよかったなぁ・・。じゃなくてどうしようコレ!?
間違いなくワシのせいだな、彼女が美幼女になってしまったのは。
・・深く考えてなかったけどよく考えればいきなり自分の姿が変わればそれはその人にとってショッキングな出来事だ。
ワシだっていきなりスライムとかオークに変わってしまえば動揺しかない。
彼女、怒るというか戸惑っているって感じだけれども内心はどうなのだろうか。
そもそもワシのせいと言ったところで信じたり許してもらえる事なのか?
うーん、でも全ての事柄には理由があるもんだし、後になってバレてもいいことにはならん気がするし、でも最悪命とられる事態に・・いやいや、でも、う~ん・・
「なぁ、お主のほうはどうぢゃ?」
美幼女からいきなり声がかかる。
ワシはまだ頭で問答中であったが、それでも悪い事をしたという気になっていたため、びっくりしつつ反射的にワシはこの世界で初めてジャパニーズお詫び・土下座をしながら叫んでしまった。
「すみませんでしたーーーっ!!!」