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八五 待ち人来たらず

「指定された半径1キロ圏内に人の侵入を確認しました」


そうメイから告げられたのは昼飯を終えて、ゆっくりとしている時だった。

昨日、与えたゲーム類に夢中になった四人に強制的に付き合わされていたらついつい夜ふかししてしまい、更に今日起きてからも午前中またもや強制的に付き合わされていたもんだからゆっくりする時間がなく、本日はなかなかに眠い。

ようやく解放されたのは、昼飯つくりに席を立った時である。

まだ本日、二時間ぐらいしかゲームから離れられていない。もっとゆっくりできるはずの完全休養だったんだがなぁ・・。

ちなみにタマキとミケ、ワシは夜ふかしはしたもののちゃんとベッドに戻って睡眠をとっているが、この玉にひきこもり組はなんと徹夜でオールしたらしい。

メイは普段と変わらない感じだったけど、ヨーコさんは酷いもんだった・・・。目の下にクマ、半開きの目、そしてぶつぶつ戦略を唱えている様はもはや恐怖である。

時間はたっぷりあるんだからそんなに根を詰めてやることもないとおもうんだがなぁ・・・。


思う事は沢山あるんだが、メイにそう告げられては用意しないわけにはいかない。いそいで身支度をして玉を出た。

なぜ、急いでいるのかだって?

だってワシら三人はここで二、三日いなければならない絶賛迷子中の冒険者である。せめて野宿してますよって感じにしとかないと問題があるだろ。

テントを張り、焚き火を燃やし、いかにもなキャンプ地を作る。

用意はできた。さあいつでも来てください!


・ ・ ・ ・


・・・・待てど暮らせど誰も来てくれない・・・。

もう日は落ちかけ、あたりは夕闇に覆われようとしている。しょうがないから作り置きのカツ丼を食べようとしているわけだけど・・・。

これは一体どういうことだ?どんなに遅くたってたった1キロ程度だぞ。

普通に歩いていたってそれぐらいの距離こんなに時間がかかるわけないだろ。

時折玉に戻ってメイに確認をしてはいたが、答えは決まって進入中ということだった。

時間がもったいなかったので、もう一セット麻雀牌を今度は素材の猿の骨で作ったり、出来あがったもので三人遊んだり、ミケを特訓したりして時間をつぶしていので、暇ということはなかったが・・・・これでは今晩はここで野宿かな。

そんな風にあきらめを感じながらさあカツ丼でも食べようかとしていると、道のほうから人の気配がする。

ずるずる何かを引きずるような音と共に、足音も複数聞こえる。

え?なんで複数?ライムさん一人じゃないの?

そんな疑問を頭に、ひとまず食事をあきらめ茂みから頭を出してみると・・・ぼろぼろの服を着た女が目を光らせてフシューフシュ―いいながら何かを引きずっている。

引きずっている物は暗くてよくわからないんだけど、なんか・・・物と言うよりは生き物か?


「気をつけるのぢゃ。あやつ・・・人ぢゃない。魔素を感じるのぢゃ」


となりで見ていたタマキがそう忠告してくる。

たしかに迷子になって随分たつけど、こんなどこかわからないただ道だけがあるところで人に出会ったことはない。それなのにこんな薄暗い時間に女一人旅など人はしないだろう。

魔物だとすればあの引きずっているものは、なんだ?人か?動物か?魔物か?

どうしよう・・・。じっと待つか・・それとも止めるか、倒すか・・・いっそ世界眼先につかうか。

でもなんでもかんでも世界眼使って答えを先に見ても面白くなくなるしなぁ・・・ワシの人生が。

そんな風に疑問符を巡らせていると、向こうのほうから声がする。


「だ、誰かあれを・・・引きずっている女を止めてくれっ!!そいつは魔物じゃ!!。引きずっているのはうちの仲間じゃ!!」


その声は女の声。いやに前世の同郷じみた言葉遣いに少し気になったが、ご丁寧な説明痛みいる。

とりあえず分かったことは・・・引きずっているのが魔物、引きずられているのが人ということだな。

あれが魔物ならば、容赦なしでもいいだろう・・・と攻撃しようとしたんだけど、いつもの如く先にタマキの魔法が炸裂していた。

氷漬けになった女は、氷と共に消えていく。いつもながらあっけないな。

残ったのはフィギュアとドロップ品、そして息も絶え絶えになっている人らしきもの。

全身血まみれで、火傷のようになった擦過傷がひどく直視にたえない。

その状況にミケはひるむことなくすばやく回復魔法を使う。レベルの高さとヨーコさんとの授業で今や死人じゃ無ければ治せるようになっているその魔法は半端じゃない。瞬く間に外傷は消えていく。

しかし、ショックというか心の傷までは治せない。外傷は治ったものの未だ目は虚ろである。

ミケも成長して二人が迅速な対応をするもんだから、いよいよワシやることが無くなったなぁ・・・せめてドロップ品は拾っておくか・・・。

拾ったフィギュアはかわいいんだけどこかおどろおどろしい雰囲気を醸し出している。

名札をみるとヒキコサンと書かれている。

ヒキコサン・・・・ああ、ひきこさんか。カタカナ表示だと一瞬誰かわからなかったわ。八尺様に続いてまた都市伝説系か。

しかし、八尺様といいひきこさんといい前世で敬称つけられていたやつらってこっちでは固有名称として敬称が付いているんだよなぁ・・・なんでだ?


「大丈夫か!!」


向こうから叫んでいた声が、気が付けば近くにあった。先ほどミケが治した人の肩を掴んで揺さぶりながら安否を確かめている。

どうやらワシがドロップ品に想いを馳せている間にここまで来たらしい。

タマキが攻撃していないところをみると人なんだろう。

しかし、なんというか・・・想像していた声の主とは違ったな。しゃべり方からもっとこう・・・年季の入った感じかと思っていたんだけど、そこにいたのはタマキと同じぐらいちっちゃい熊の毛皮をきた女の子だった。




◆今回のフィギュア収穫◇

ヒキコサン

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