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八四 暇つぶしにゲームを与えてみる

昨晩のハッスルがたたってか、腰をたたきながらなんとか朝食を作り終えたワシは一人コレクションルームのソファーで横になっていた。

タマキたちと一緒に普通にご飯を食べていたが、食べる量も違うし完全休養中だからどうせどこにもいかんだろうから、とっとと食べ終えて後片付けはまかせて、一人寛ぎながらフィギュアを眺めていた。

タマキはなぜあんなに元気だったのだろうか。運動量あっちのほうが上だろう?顔もつやつやしてたし・・・。

そんなことをぼんやり考えながらタマキが参考にしたであろう一反木綿を見ているとメイが入ってきた。

掃除する必要も無いし、全てを並び終えてメイにとって一番理にかなっている置き方をしているのだから、これ以上何もすることはないだろう。

何をしに来たのかとおもったら、フィギュアの一体一体に挨拶をはじめた。

異様な光景だ・・・。


「・・・なにやってんの・・・?」


「・・・ややっ!これはモリーさん。いらっしゃるとは思わずに恥ずかしいところをお見せしました」


「・・・別にいいけど。で、何やってんの?まさか、ワシたちに見えないものが見えているとか?」


「いえいえ。朝の日課ですよ。並べたのはわたくしですので、その後を見る必要もあります。倒れでもしていたら申し訳ないですし」


「それはいいけど・・・なんで挨拶?」


「それは単に暇つぶしです。お辞儀の分、時間がつぶれますので」


暇を持て余した給仕の遊びだったらしい・・・。はたから見るとただの危ない人だ。

これはダメだ。誰に見られるってわけじゃないだろうけどこれは危ない。


・ ・ ・ ・


要はメイが危ない暇つぶしをしなくなるには、なにか暇つぶしをつくればいいのだろう。

そう思ったワシは一旦玉を出て、その辺の大木を一本殴り倒し、そのまま包丁で大雑把に加工した。

まさか木材を包丁で加工する日が来るとは思わなかった。市販の包丁らしいからいいんだけど。

加工して玉に戻ると、今度は細かく加工する。あるものは小さな駒に、あるものは人生ゲームの駒のようにして行く。

その様子を興味深そうに見ていたのはメイを除く三人。ヨーコさんまでいるのは珍しい。


「何をつくっているのかしら?」


「メイがあまりに暇そうで見ていられないから、遊び道具でも作ろうかと・・・この世界って麻雀とかチェスとかあります?」


「まーじゃん?ちぇす?なんぢゃそれは?」


どうやらないらしい。


「いわゆるひとつの机上の対戦ゲームみたいなものなんだけど」


「ああ。双六みたいなものぢゃな。しかしあれで暇つぶししようと思うといくつもの面が必要になると思うんぢゃが?」


「ちょっと違うかな。・・よし、これで数は揃ったな。さてと、せっかく居るんだからタマキ。ちょっと・・・いや大分手伝ってくれる?」


「もちろんぢゃ!」


頼られたのがうれしいらしいタマキは嬉々として手伝ってくれた。

タマキに頼んだのは無魔法・ライトが作業にすごく適しているからだ。ライトといっても軽くなったり、光ったりするわけではない。対象物に筆とかなしに字とか柄を書くことが出来るのだ。

次々に教えた通りの図柄や文字を書いて行くタマキ。

興味津津な残りのふたりも早く完成品が見たいのか、手伝うと言ってきたので着色を任せることにする。スライムの粘液を煮詰めた結果できたペンキでこっちも指定した通りに次々塗っていく。

ようやくなんとかできたころには、もう日が昇りきっていた。しかしこの量を作ったことを思えば早い・・・いや早すぎるな。

目の前にはチェス、将棋、オセロ、麻雀が並んでいる。どいつもこいつも前世ではお世話になったゲームたちだ。

将棋は戦時中に同輩たちと、その他は世界各国を回っていたころにコミュニケーションツールとして現地の方々たちと夜を徹して遊んだこともあったっけ。

鼻息荒いヨーコさんを筆頭に興味津津な三人だがまずは昼飯にしようよ。そういう時間だよ。


昼飯を手早く食べたのち、メイも加えてゲームの説明をしていった。

オセロは早くに皆覚えた。なんたって挟んで裏返すだけだからな。

それから将棋とチェスを教えたが、頭脳明晰なタマキ、ヨーコさん、メイは動きとかを難なく覚えて、お互いと対局なんか始めたんだが、ミケにはちょっと難しかったのか他の人が対局している間中説明してなんとかといった具合だった。ついでにはさみ将棋までおしえておいたが、こっちの方はミケも簡単に覚えた。

そして麻雀は・・・ミケには無理だった。覚えればそうでもないと思うけど他のに比べて覚えないといけない事が多いからね。しょうがないさ。他の三人も流石の覚えの良さであったけど、まだまだ場数が足りていないな。


「なるほどね~。これなら戦略とか心理戦とかいろいろな物を鍛えられそうね!」


「にゃあ~・・・いつかきっと覚えてみせるにゃ!」


「これはあれじゃな。双六というよりは花札に近いのぢゃ。相手の心理を読み戦う・・・なかなか高度な遊びなのぢゃ。気に入った!」


初めてやった各々方にも好評だ。そのうち憧れの家族麻雀大会とかやりたいな。

というか、これらが無いのに花札があるのにびっくりするよ。


「これで少しは暇つぶしになるだろう。大事に使ってくれよ、メイ」


「有難いのですが・・・これはどれも一人で出来ないものなのでは・・・」


「遊び方は覚えたんだし時間はたっぷりある。イメージトレーニングを重ねておいてワシらがいるときにトレーニングの成果を見せてもいいし、いつもいる母さんならいつでも付き合ってくれると思うけど」


「そうよ。いつでも言いなさい。見たことのないゲーム・・・極めて見せるわ」


「あ、ありがとうございます。良き主人に恵まれてわたくしは幸せです」


目を潤ませながらお辞儀をするメイ。

変わらないはずの鉄仮面が少し和らいだ気がした。

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