八一 黄金の霊安室
きらびやかな部屋だった。
黄金に輝く空間は前世でも茶室とか中尊寺金色堂とか金閣寺とかどうかすればトイレまでいろいろあったけど、負けず劣らず圧倒される。
ただ残念なのは、この部屋は黄金のみではなく、いろとりどりの宝石が飾られていることか。なんだろう、すごく下品に感じるんだけど。
「またとんでもない所にでたのう・・・おそらくこの部屋の金だけで街五つぐらいの年間予算ぐらいぢゃろうか?」
「ほんと・・・なんでダンジョンなんだろう・・・」
「ダンジョンだからぢゃろう?こんな部屋普通にあったらおかしかろ?何でもアリがダンジョンのいいところぢゃないか」
もっともな意見なんだけど・・・・前世には普通にあったんだよなぁ。ダンジョンっぽいといえばそうだけどあれらは別にダンジョンでもなんでもない。
「あれはめっき、あれはめっき、あれはめっき、あれは・・・・・・」
ミケが呪文のように何かを呟いているけど、きっとまた金額とかの話しを聞いて腰を抜かさないように自分に言い聞かせているのだろう。一種の自己防衛策だな、そっとしておこう。
とりあえず部屋を歩いて回る。特におかしなこともなく、落とし穴の類もない。
奥に進むと棺があった。となると、ここは霊安室的な場所なのか。おちつかないだろう、こんなに眩しくては・・・。
中に何かいては困るのでとりあえずノックしてみる。
中から「入ってま~す」とか言われれば面白いと同時に恐ろしいのだがそんなことも無く、少々罰あたりかとも思ったけど、棺の蓋を開けてみたがなにもない。
部屋を何回も行ったり来たりしたり、壁をたたいたりしたり、柱にしがみついたり、いろいろしてみるんだけど不自然なものはなく、魔物も出ない。こんなダンジョンは逆に不自然ではあるんだが・・。
いい加減歩くのに飽きてきた頃あいでワシらがとった行動は・・・・諦めることだった。
果報は寝て待て、だ。堂々と部屋の中央に陣取り、ちょっと早めの夕飯をとることにした。
フィッシュアンドチップスのようなものを食べ、野菜ジュースを飲み、くつろいでいるとゆるりゆるりと時間は経ち、何も起きないしもう寝るかってことになってしまった。
金色に輝く周囲のせいでちかちかちかちか目も疲れていたしね。
なんだこの平和な時間は・・・本当にダンジョンの中かよ・・・。
なんやかんや言ってもダンジョンの中、危険かもしれないから代わりばんこに寝ずの番をしたんだけど、無駄に終わった。一晩経ってもなにも変わらなかった。
サンドイッチと野菜ジュースで朝飯を済ませるが昨日と同じで、手詰まりだ。
柱に埋め込まれた宝石を眺めながら、なんとなしに呟いてみる。
「そういえば昔やったゲームに宝石の色にあった魔法を使うと道が開けるなんていうのがあったなぁ・・・」
ほんとうに何の気なしに放った言葉だった。だが結果としてそれがこの停滞を打破することとなった。
ワシの言葉に反応し、「どうせ暇ぢゃし」ということでタマキが赤い宝石の埋め込まれた柱に火の魔法を放つとなんと柱を覆っていた金塊が崩れてきた。
・・・・まあ崩れただけだったんだけど。
崩れただけだったのでタマキの魔法が強すぎたんじゃないかとも思ったんだけどついでということで全ての柱に色と合いそうな魔法を使ってみた。
赤が火となると・・・雷が黄、土が橙、風が緑、水が青、黒が闇、透明が聖、二つ目の赤は炎、青は氷・・・ほぼタマキに任せっぱなしなんだけど全ての柱の金塊が崩れた。
崩れただけで終わりかと落胆し始めたころ、崩れた金塊がいきなり光り出し人の姿に変わっていく・・・・昨日と同じく壁画から出てきたような方が柱の数と同じ九体生成される。
なるほどこれは・・・九柱の神々。なかなか凝った演出だが、この世界にタマキと同じく全属性を使える魔法使いがどれほどいるのだろうか?
となれば、おそらく帰還の羽を持っていない冒険者は一生ここから出られず、兵糧つきれば餓死してダンジョンの養分になってしまうのだろう。とんでもないダンジョンである。
しかし、残念なのはこれだけのギミックがありながら、この九体の実力は昨日の十字路の団体さんとあまり変わらなかったということだろうか。
難なく九体を光へと還したところで、今度は奥に安置されていた棺が光る。
警戒してみていたんだけど、あの中って昨日見た時は空洞だったんだけどな・・・?
光り終わった棺の蓋が自動で開き、中からにゅっと出てきたのは・・・・半分ミイラ化した化け物だ!
しかも乾燥をしくじったみたいに半分生の生ミイラである。それが黄金の鎧みたいなのを着て仁王立ちだ。気持ち悪いにも程がある!
「に゛ゃ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」
余りのグロさにタマキのいつもの先制攻撃より早く、錯乱気味にミケの風魔法が吹き荒れる。
今までに見たことないミケの取り乱し様に思わずギョッとするワシとタマキ。
そしてミケの放つ魔法もまた今までに見たことのない威力だ・・・竜巻のような暴風が生ミイラに直撃する。
放ったミケは魔力切れで倒れそうになるので後ろから支えてやる。実際もう気を失っている。
そりゃそうだ、あんまり実戦で使ったことのない攻撃の魔法を、こんな盛大に・・・恐怖で錯乱してなくても、ぶっ放せば倒れるだろうよ。
しかし、甚大に被害を受けたのは相手だ。木っ端微塵にされ巻き上げられてそのまま天に昇ってしまったらしい。落ちてくるのは鈍く光る破片のみ、纏っていた鎧だろうか?
収まった竜巻の元に魔法陣が描かれていた。
「・・・人というのは追い詰められると何をしでかすか分からんというが、本当ぢゃのう・・」
この光景の一部始終をただ見ていたタマキが何かを悟ったように呟く声が、主を失った黄金の部屋に響くのだった・・・。
◆今回のフィギュア収穫◇
アトゥム
シュー
テフヌト
ゲブ
ヌト
オシリス
イシス
セト
ネフティス
ファラオ




