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七六 さらば辺境ダンジョン

「確かにダンジョンを確認したわ。あっちにも人をやらないといけないわね。それと特殊ダンジョンということだけど、あの条件での確認はちょっと難しいわね。モリーさんが言っているのが事実ならば条件を満たしても生き残れる人って心当たりないもの。というわけで普通のダンジョンを発見したということになって、報酬もそれになるけどいいかしら?」


戻ってきた辺境ギルドでお茶を飲みながらそんなことを話すライムさん。

タマキ、ミケ、ワシであればあそこで玉に入り、しっかりと休みをとりどうかすると一泊してから戻って来るのだがライムさんがいる為それはできず、強行軍で帰って来たのだ。

時刻はもう夕暮れである。

それにしても報酬ってなんだ?そんな話は聞いていないんだけど。


「あ、言って無かったわね。ダンジョンを見つけた者には報償がでるのよ。なにせ国の利益になりかねないものだからね。そういうもくろみもあってギルドには国の寄付とかあつまるんだけど、それをギルドの発展だけに使うのもどうなのかってことで見つけた者にもってことね。そのかわり見つけたダンジョンの所有権は国に頂戴よってこと」


ちゃっかりしてるなぁ、国。

そういえば未だに知らないけどここってなんていう国なんだろうか?


「ちなみにどれくらい貰えるのぢゃ?」


「う~ん、あのクラスならそんなに出ないけど・・・小金貨一つってところかしらね。階層一個、敵は中の上だし」


「しょ・・・っ!???!」


ミケがまた驚いている。多分これが常人のリアクションなんだろうけど・・・・。


「ワシら別にお金にこまってないから、別にいくらでもいいんだけど・・・。もっと言えばライムさんが黙って自分の懐に入れたところで軽蔑もしないし、むしろ専用窓口になって貰っているお礼と思って貰ってくれてもいいんだけど・・・。ミケを旅につれていけるように鍛えようとしてたまたま見つけちゃっただけだし・・・」


「そうぢゃのう・・・・あって困るもんではないのぢゃろうけど、あんまりあってもうっとうしいのぢゃ」


「・・・・大金をそんな理由で受け取らない奴なんて普通はいないのよ?君たちからは手に入れる珍しい槍を貰う約束してるんだからそれで十分なのよ」


呆れたようにいうライムさん。

そうだった。ギルドの人っていうのは品行方正で正直で中立なんだったな。たがえば失職、悪い場合はそれだけでは済まないんだったか・・・・。


「とはいうものの本当にお金はいらないんだよなぁ・・・今回のはさ、先程の道中でドロップした品々を頂くから、お金はライムさんにってことには・・・」


「ならないわよ。というかいつの間に集めていたのよ、ドロップ品・・・」


「じ、じゃあこうしてよ。せめていつもの四分割にしてワシらに現金で渡す分をライムさん、持って行ってよ。確認するのがギルド職員の仕事とはいえ、道中戦ってくれたし結構助かったんだから」


「・・・貴方達だけでも余裕だったように見えたんだけど・・・・はぁ、まあいいわ。そこまで言うんだったら貰っておくわ。こっちは別に余るほどの財産があるわけじゃないし。ただし最後に提案された四分割の方ですからね」


しぶしぶながら受け取って貰えた。

ヨーコさんの暮らしぶりを見ていると、討伐後に大変な資産をもらったように思えるんだけど、そうでもないのかな?


「それでいつここを発つの?」


「今夜これからもう出ようと思ってますよ。明日にはもう調査隊くるのでしょう?なんか巻き込まれそうな気がするのでさっさと退散します」


「取りあえずは北上ぢゃな。なんか面白いものがあればいいがのう」


「ボクにとってもはじめての土地にゃあ。にゃにせこの敷地からでにゃいんだからにゃあ~」


「・・いろいろありそうだけど、これをあげとくわ。この大陸、シンザン国の地図よ」


見せられた紙には初めてみる地図が描かれている。白地図みたいに書き込める感じだ。

道とかそういうのは全くなくだいたいどの辺に何がある・・・といっても中央に山があって北の端の方に城があること以外はなにも書かれていない、この大陸の形がわかる程度の簡単なものだ。

はて?どこかでこの形見たことが・・・?あ!そうだ九州にそっくりの形をしてるんだ。


「この国というか国に来たのが初めてなのよね。簡単に説明しておくと、この国の名前の由来は大陸の中央にある山・シンザンで、マタギから成り上がった王・・・といっても女性なんだけど、これはどこの国でも一緒だから。女王という名は廃ってしまって使わないの。ま、その王が治めているの。さすがの鉈使いよ。元準討伐隊だった人だし」


鉈使いでシンザン・・・・あの馬を思い出すなぁ・・・。今でもワシは思っておる。奴こそが戦後最強馬だと・・・!


「とりあえず行くところが無いなら、行ってみてほしい所があるんだけどいいかしら?」


「え、まあ、いいですけど。別に行きたい所がある旅に出るわけではないので・・・」


そう答えると、地図を指さしながら、ちょっと深刻な声色でライムさんは言う。


「・・・このあたりに村があったんだけど、数年前から無人になっているの。疫病がはやったからというのが建前なんだけど、見つかった死体は全てミイラ化していた。吸血鬼の疑いも有ったのだけどどうも違うらしいの。だから気が向いたらでいいから見てきてほしいの」


「そんな危険な案件をウチらみたいなルーキーに頼んでもいいものかの?」


「・・・・貴方達は普通じゃないルーキーでしょう?普通のルーキー、いや普通の冒険者にもこんな案件はなかなか喋らないわよ?」


ウインクしながら言うライムさん。

期待や信頼が重すぎる気もしないけど、旅の途中に寄ってもいいかもしれないな。

その後時間外だけどアイテムを送るということを承諾してもらうと、ライムさんは転送石で帰って行った。

行ったのを見送ったのと同時に魔法陣を広げ、道具箱から足止め期間中の成果を全て送る。

量が多く、時間外だけど承諾済みだからいいだろう。

送り終えると、いよいよである。この少ない行動範囲、貰った地図でいえば小指大でこれだけの出来事があったのだ。どれだけの出来事がワシらを待っているのだろう・・・考えただけで鼓動が速くなる・・・・・べつに不整脈じゃないよ。


ぼちぼち星が出るような時間だったが、まだ見ぬ土地へ歩みを進め始めたのだった。

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