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七五 元討伐隊との珍道中

草木しげるお馴染の森を抜け、海岸までやってきた。

ミケの訓練もかねているのでここまでは手出し無用と断っている。

今のミケのレベルなら不覚をとることは皆無だし、戦うって事を体に覚えさせるにはどんなに雑魚相手だろうとも場数を踏んで欲しいし。


「へぇ~・・一般人だったミケさんがこの短期間でねぇ・・いい動きじゃない」


そうお褒めの言葉をライムさんから頂いた。

でも多分、あの言い方だとまだまだ私には及ばないけどって感じだな。

島に入ったらその槍技を見せて貰おう。


海を割らずに氷の橋を作って渡るんだけど、そうは考えていないライムさんにいきなり怪訝な顔をされた。

まあ、この距離なら泳ぐとか、泳げないなら丸太の浮力で浮きながら進むとか、それこそ簡易ないかだをつくると思うよね。


「・・・まあ、レベル9のダンジョン行くような貴方達なら、普通かなぁ・・?」


だが前科のあるワシらは驚かれさえすれど、一応ぎりぎりの納得は得られたようだ。

海底を進む時と違い、若干滑る不安定な橋を渡るといきなりアマゾネスの迎撃である。

つい先日根絶やしにする勢いで戦ったばかりなのに、あの数はどうだ。あきらかに前回の上陸時より増えているではないか。どこから湧いているのだろうか?

さすがにワシもタマキもそしてライムさんも戦闘態勢をとり応戦する。

あんまりミケにばかり戦わせているとまた倒れちゃうしね。


ライムさんの戦い方は美しかった。

実戦の中で鍛えられ、いくつもの修羅場をくぐりぬけてきたであろうその技は素晴らしい。

突き、薙ぎ、受け、動き・・・どれも一切の無駄が無い。

蝶のように舞い蜂のように刺すという偉大なボクサーがいたけど、まさにそれだ。

たしかにここまでの道すがらのミケの戦い方を批評するだけの事はある。

しかし・・・これが普通の人の戦い方なんだなぁ。

元討伐隊ということはレベルだって人最高レベル付近にいるんだろうけど、一撃でという戦闘は少ない。徐々に追い詰めてザクッて感じの老獪な戦い方だ。

ワシやタマキはほぼ一撃で終わっちゃうし、ミケは戦いのルーキーだしで参考としてはどうかというものだったからな。逆に新鮮だ。


戦い方がどうであれ、余剰戦力で来たのは間違いない。

3人で来るより安定突破のうえ早いのなんのって・・・危険な筈の道中が楽しいハイキングのようだ。

ほどなく社についた。

着いた途端にシーサーと狛犬が襲ってきたけど、タマキとミケにまかせた。

防御が高い魔物だから、耐久性があり訓練にはもってこいの魔物だったらしい。

タマキはその監督。危なくなったら助太刀するようだ。

その間ダンジョン内の詳しい説明をすると同時に突入する。

ここまできたら中まで見たいというライムさんの要望だ。


「中は最初の部屋に闇属性の魔物がいます。目を覆わんばかりの量ですね」


「・・・たしかに凄いわね。苔が生えてるがごとくね」


「こいつらを全部倒すと、扉が見えてきます。そこが分岐点みたいなんですけど」


「たしか、モリーさん一人で入った時と皆で一緒に入ったら違うってことだったかしら?」


「ワシが一人で入った時は石畳、一緒に入れば田園ですね。タマキとの話し合いでの推測では多分普通にはいれば田園でしょう。パーティーとか男女とか女だらけの場合ですね。扉を潜る時に戦えるのが男一人の場合のみ石畳だと思います。その場合は部屋への扉は消えていたそうです。おそらく後から入ってきれ邪魔されないようにという仕掛けでしょう」


「とりあえずはこの部屋を突破しましょうか。それで先に私が入るわ。その後・・そうね十分ぐらいして入って来てくれるかしら?」


「わかりました。それで行ってみましょう」


とりあえず闇の三人衆を片付けて行く。

槍に炎を纏わせて薙いで行くライムさん。その様は鎌でする芝刈りだ。

いいなぁあれ。気持ちよさそうだ。

刈り残した奴らをワシが倒して行き、アッというまに殲滅した。

目の前には扉である。ワシは一旦待機でライムさんだけが扉の向こうへ行ってしまった。扉はなおも健在のままである。

アイテムを広い集めながら時間を潰し、もうそろそろいいかなと扉をあけると、前回と変わらず田園風景が広がっていた。

さて、ライムさんは・・・お?あっちで戦っているのか・・ん?

逆側に白くてくねくねしているのがいるな。ライムさんも魔法を使えるようだけど、あれのことを知らずに近づいて戦い始めたら厄介かもしれん・・。

そう思ったワシはとりあえずライムさんに気付かれないように氷柱つららをくねくねに落としておいた。タマキが巨岩を落とした時と同じく消えてしまった。その場に近づくと魔法陣。雑魚を全部片付けんでもボスを倒せばでるらしいな。

雑魚を片付けてきたライムさんは「ボスらしきものがいないわね」とこぼしていたが、もう倒しましたと言ったらちょっと残念そうだった。

なぜ先に倒したのかを説明すると「それなら私にも火龍ひりゅうっていう魔法があるから問題なかった」と言われた。でも名前からしてそれ火属性だよね?こんなところで火魔法の大きいの撃ったらワシらにも被害が出かねないので勘弁して欲しい。


「でも、これで貴方達の言っていることが半分証明されたわね。私が男ではないからもう片方は証明できないけど・・・なにか証明できるものはあるかしら?」


「ドロップ品でしかできませんが・・。鬼火がおとした蝋燭とか、八尺様がおとした白い幅広帽子とかならありますけど・・・」


「う~ん、弱いわねぇ・・ま、ここにも調査団寄こして調べるしかないわね。もちろん男のね・・」


「その際にはそれなりの奴を寄こした方がいいですね。鬼火を消せるぐらいの魔法が使えて、大地を抉るような攻撃を避けたりできるようなね」


「・・・モリーさん・・キミ自分でどれだけ難しい事を言っているか分かっているのかな?」


誇張ではなく、実際それぐらいの人材じゃないと危ないと思うんだがなぁ。

ライムさんに呆れられつつ、魔法陣をくぐり田園を後にするのだった。

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