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七〇 あおいだら飛んじゃった

タマキの元に戻り、多少は回復した彼女をおぶって連れて魔法陣に触れると、ダンジョンから出てしまった。

どうやら今回のはワンフロアのみのダンジョンだったらしい。


「・・しかし、闇属性魔物があそこまで集まっておったのぢゃ。なにかしらの怨念を持ったダンジョンということになる。危険度もそれなりぢゃろうのう・・」


タマキがああなるほどの魔力を使わせるような所だ。危険な事には間違いないだろうけど怨念って・・・。

あ、でも確か八尺様って地蔵かなんかが結界となって閉じ込めているんだったっけな・・・で、その地蔵が壊れると村に降りてきて若い男や少年を魅入るんだったか。

それにあの顔・・・確かに襲いかかるまでは普通に美人だったし攻撃後も美人だったけど、踏み込んで飛んだ途端になんというか鬼というか異形の者の顔だったな。目とか光らせていたし。

そう考えると、なるほど怨念というのは言い得て妙だ。親玉だったわけだしな、あれが。


その日は一旦玉の中に戻り、そのまま休んだ。タマキも回復したと言っても万全になったわけではなないしね。

次の日、そのボスを見られなかったことが心残りだったタマキがもういちど社に行こうと言って来た。

入った途端の闇属性軍団をどうするのか、またあんな魔法使ったら昨日と同じようになるんじゃ、と思ったら、


「昨日はちょっと先が見たくてついやってしまっただけぢゃ。今日は急がないし奴らも別に他の属性や打撃が効かないわけではないのぢゃから、今回はあの聖属性魔法はつかわないのぢゃ。それにあの魔法つかっちゃうとミケにまで獲物が回らんからのう」


今日はミケも連れていく。体調も筋肉痛も大丈夫らしい。これが若さかね。

腕輪をしているから昨日の経験値は入っているけど、実戦をしなければ体が慣れないからこの間のはやりすぎだけども戦いに慣れないといけない。でないとこれから先も倒れちゃうしね。

ミケは社に入る前に尻尾を震わせていた。どうしたのと本人に聞いてもよくわからないにゃということなんだけど、世界眼で念の為視てみるといつの間にやら習得していたスキル・危険察知のせいらしい。説明を視れば自分が危険と感じる異変を見つけることができるのだそうだ。

猫が何もない所をじっとみたり、威嚇することがあるけどそれと似たようなものなのかな。

ミケが警戒するレベルのダンジョンということが分かったところでどうするでもなく、中に入って行く。


そこはやっぱり薄暗く、目の前は漆黒の闇である。


「一面が埋まっていますにゃあ・・モンスターボックスですにゃあ・・・」


この薄暗いなかでその闇の正体を魔物の群れと認識するミケ。

猫の目って夜目が利くってきいたことがあるけど、猫人族もそうなのかな?

さっそく戦闘開始か、と戦闘態勢をとるワシとミケ。

そんな張りつめた空気に水を差すタマキの声が。


「のうモリー、この間のドロップ品に扇があったぢゃろう。ほれらせつにょが使っていた奴。あれを使ってみたいのぢゃ」


今言うことかね?それなら社に入る前に言ってよ、別に反対はしないから。

普通こういうのって装備してから向かうものじゃないの?ワシらみたいに常識外れじゃない一行だったら『お前舐めてんのか!』って怒られそうなんだけど。

どうもタマキはダンジョンに入る心構えというか準備が足りないんだよなぁ・・。

しかし道具を使うってことは魔法を使わないってことで、先に言っていたミケに獲物を残すということを実践しようとしてる証拠だから文句を言いにくい。

道具箱から扇を出してやり、渡すと同時に闇に向かって一仰ぎかますタマキ。

それがいけなかった。ワシももう少し考えるべきだった。

この芭蕉扇は神話級の武器。威力は体験済み。どうなるかは予想できていたはずだった。

途端竜巻のような豪風がまきおこり、タマキが魔法を使ったより早く闇が飛んでいく。

壁に激突して消えていくものとぎりぎりで耐えしかしもう戦える状態ではなさそうなものが入り乱れた阿鼻叫喚の図が出来あがった。

三人ともがあっけにとられているが、油断してはいけない。ほうほうの体の奴らが合体し始めた。スライムが多かったみたいで、普段の五、六倍ありそうなスライムが出来あがりこっちにいかりの突進である。

「ここはボクがやるのにゃ」と勇ましく言ったミケにスライム任せて傍観した。

危なくなったら助立ちするし、まあなんだかんだ言ってもスライムだから大丈夫だろう。

スライムがミケに乱れひっかきを喰らい、しぼんで消えていくと同時にそっとタマキが扇を返してくる。


「・・・ウチには他の人と違い力がある。この武器を使うには実力はともなっておるぢゃろう。しかしのう、ウチには過ぎた武器ぢゃないかもしれんが、敵をああいうふうに一網打尽にするのは実力・・つまり魔法でやりたいのぢゃ・・なんか戦っているという実感がなくて経験値になる奴らに申し訳がないのぢゃ・・・」


タマキなりの正義があったらしい。

でもその考えはわかる気がする。今回のは道具に頼って勝ったみたいな感じなんだろうな。

良い道具をつかうには、それなりの腕が必要というけれど。それが必ずしも幸せな結果とはならないっていうことだな。

ワシは扇を受け取るとそっと道具箱へ戻した。タマキがこれを使わないとどうにもならないっていう場面がくるまではお休みいただこう。

・・・次にこいつをつかうのはいつになるんだろうなぁ・・・。

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