表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
70/354

六九 清楚美人は激しいのがお好き

転送された場所は薄暗かった。

正確にいえば転送してきた場所のみ薄暗く、一寸先はもう闇かというぐらい暗い。黒マジックで塗りつぶされた世界の様だ。

どっちに行ったらいいかもよくわからん・・。

そんな暗闇に向かっていきなりタマキが魔法を放つ。

見ようによっては虚空に放っただけの光。おそらくは聖属性なんだろう。

暗闇が少し晴れて行く。ワシらが立っているいる場所と同じく薄暗くなる。

何かいたのか?気配とか全くないんだけど・・。

そう思いながら黒い空間と晴れた薄暗い空間の境を見ると、僅かながら黒い空間が蠢く。

あの黒の部分、動いた・・!?


「・・まさかと思ったのぢゃが、空間にダークマター、壁にシャドウ、地面にスライム・・闇の三点セットぢゃな。モリー、うかつに壁やらさわるでないぞ。ウチの近くに立っておけ。一気に浄化してしまうでのう」


あの黒いところ・・全部魔物というわけか!?全く気付かんかった・・タマキがいなかったら見事にやられていたかもしれん。見事な初見殺しである。

言われた通りタマキのそばに移動する。移動したのを確認するとタマキを中心に光が円状に広がって行く。

その光景はタマキ自身の可愛さも手伝ってまさに天使降臨といった具合だ。不思議と神々しい・・。

光が届いた範囲が徐々にではあるが、薄暗い本来の色に戻る。

暗いことには変わらないけど、周りの壁も見えるし短い通路の向こうには扉も見える。

部屋の全てが見渡せるようになるまでそんなに時間もかからなかったけど、この魔法は思いのほかタマキには堪えたようだ。


「・・なんといってもウチは魔物ぢゃからの。聖属性はあんまり得意ぢゃないし、久しぶりだしでちと疲れたな・・」


そうだった。つい忘れそうになるけどタマキはモン娘。魔物なのだ。

他の属性はいざしらず、魔と対極にある聖は得意でないのも納得だ。


「辛そうだし、この先はワシひとりで行ってもいいけど・・」


「・・そうぢゃな・・残念ぢゃがちと無理そうぢゃ・・しばらく休んで回復しておくでの。くれぐれも油断するなよ」


いつもならどうやってでも付いて来ようとするんだが、それも出来ないとなると本当にしんどいのだろう。

道具箱に入れていた昼飯のお茶と稲荷寿しを渡し、扉の向こうに一人で入る。

そこはまさに境内への入り口といった長い石畳。その脇で道を照らす灯篭がなんとも懐かしさを感じさせる。

ただし火は鬼火だったけど。

通りに抜けようとすると襲ってくるので拳の風圧で消しながら進む。来た道は火が消えて暗くなるけど仕方がない。

最後の鬼火を消すと、そこには一人の女の人が立っていた。

2メートルをゆうに超えているだろう身長に端正な顔つき。白いワンピース。同じく白い幅広帽子からは膝まで届きそうな綺麗な黒髪が流れている。

一見するとどこぞの清楚な美人モデルさんですかと言いたくなるような容姿なんだが、ここはダンジョン・・・残念ながら出会うのは人ではない。


「ぽぽっ、ぽ・・・ぽぽ・・ぽっ・・」


清楚美人はそう言いながらいきなり襲いかかってきた。

バックステップで避ける。今までいた場所が女が振りおろした腕によってえぐられる。

見た目に寄らずパワー系の魔物だったらしいな。

ワシの記憶だとこの方は呪い殺すとか取り込む系の方だった気がしたんだけど。

しかしね・・・ちょっと相手が悪かったね・・・。力では負ける気がしないのよ、ワシ。ワシの記憶通りの方がまだワシを倒せたかもしれないよ。

第二波とばかりに再び地面を蹴り襲いかかって来る清楚美人。

だが今回はよけない。真っ向から拳を合わす。

タイミングは相打ち。だけど威力はワシの勝ちだった。

清楚美人の腕を弾き、そのまま威力を衰えさせることなく腹をえぐる。

綺麗に鳩尾にはいった。息もできないだろう。

もっともその苦痛を清楚美人が味わったかは分からない。

そのまま地面に転がって、大の字に倒れたところで消えてしまったからだ。

残るのはいつも通りのアイテムと、今回は後味の悪さだ。

男を殴ってもおそらくここまでは思わないだろうけど、いくら襲ってくる魔物だったからとはいえ、人の形をした女を直接殴ってしまったからな。

羅刹女のときは風圧だったから良かったけどけど、あんまりいい感触ではないな・・・。

前世の子供のころから女に手を上げるのは最低の行為だと教え込まれてきたので、フェチ系のAVとかで女を殴ったりするのもあったけど何がいいのか理解できなかったし。

今現在もこんな気持ちになるってことはその教訓が生かされてるってことなのかな?

まさに雀百まで踊り忘れずである。一回死んでるし、合わせれば百超えてるんだけどね。

さて清楚美人が倒れたところには魔法陣が出来ている。このフロアは攻略って事っぽい。

一旦戻って、タマキを呼んで来ないといけないけど、その前にアイテム回収しておくか。

回収しながらふと思う。彼女はワシが前世で憧れていた人外の一人だった。思うことはいろいろある。でも今一番思うことは、


「・・八尺様までいるのか、この世界は・・・都市伝説も網羅してるってことなのかな・・」


清楚美人の落して行った白い幅広帽子を拾いながら、底の知れないこの世界に更に期待せずにはいられないワシなのだった。




◆今回のフィギュア収穫◇

シャドウ

ダークマター

ダークスライム

オニビ

ハッシャクサマ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ